ZOO 2 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 737
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460384

作品紹介・あらすじ

天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集その2。目が覚めたら、何者かに刺されて血まみれだった資産家の悲喜劇(「血液を探せ!」)、ハイジャックされた機内で安楽死の薬を買うべきか否か?(「落ちる飛行機の中で」)など、いずれも驚天動地の粒ぞろい6編。文庫版だけのボーナストラックとして、単行本に入っていなかった幻のショートショート「むかし夕日の公園で」を特別収録。

感想・レビュー・書評

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  •  分冊化その2です。映画化されなかった5編+単行本未収録の超短編(4p)1編が収められています。

     『ZOO1』のレビューで、共通テーマはないと書いてしまいましたが、強いて挙げると「生と死」でしょうか‥。ただ、本作もそれぞれテイストが違うというか、タイプが異なる作品が並んでいます。
     乙一さんの個性豊かな作品群と言うべきか、ひょっとしたら実験的な取り組みをしているのか、とさえ思ってしまいます。
     『ZOO1』以上に、ホラーとギャグ、ドタバタの共存? ブラックコメディ? の気も加わっているのが新鮮です。そのジャンルの域を超越した多種多様な作風は、デパ地下の美味しいものを摘み食いする感覚です。

     特に、声で人の心を操る話なんかは、カルト宗教の洗脳のような生身の人の怖さを感じました。
     また本書は、その題材・発想が、後のテレビ番組や出版業界へ大きな影響を与えたのでは? とも感じました。それくらい、将来を暗示する事件的小説とも言える気がしました。「〝◯◯の原点〟的なもの」がたくさん散りばめられていますね。

     強烈な吸引力のある表現、それでいてスルリと読者を煙に巻くような文章を、もう少し体験したくなります。(これって沼? 中毒の始まり?)

  • 乙一 著

    ZOO 1の続きのようで続きじゃない!
    こちらも6つの短編集で構成されている作品。
    解説の島本理生さんも書かれてたように…
    北上次郎さんの『何なんだこれは。』という
    腰帯のコメント!確かに〜と唸る(・_・;)
    乙一氏が異彩を放った作家さんであることは
    間違いない‼︎
    ZOO 2は不気味さが増すような、それでも
    コミカルに描かれていたり、(" ̄д ̄)ゲッ!異常じゃ、とゾッとする思いとはまた別の、何だろう…異様な不思議な感覚に誘われる。
    確かに形容し難い。これが所謂、乙一ワールドとしか表現出来ない世界なのだろう。

    ZOO 2は 
    『血液を探せ!』『冷たい森の白い家』
    『Closet』『神の言葉』
    『落ちる飛行機の中で』
    『むかし夕日の公園で』の6編。

    “血液を探せ”は物語の入口がホラーかと思わすような…サスペンス仕立て?けどコミカルな、何なんだこれは⁉︎の世界ですな。

    “冷たい森の白い家”は不気味(゚д゚lll)でも…

    “Closet”う〜む、何だかミステリー劇場か?

    “神の言葉”不気味、不気味、異常で哀しい。

    “落ちる飛行機の中で”はこれまた何なんだ!
    でも、現代を象徴するような笑えるのに、虚しさと切なさが入り混じって、ラストはどうして⁈という気持ちもあったりする。
    でも、この6編の中では私的には一番好き。

    ラスト6編目”むかし夕日の公園で”
    本当にショートストーリー
    でも、この短いストーリーの中にグッと詰め込まれる感覚は幼き自分の記憶のどこかにあるような気持ちにさえしてしまう。

    この不思議な魅力が多くの乙一ファンを惹きつけているんだろうなぁ。
    また次はどんな乙一ワールドの世界を楽しめるかな…と読み終わった後に考えているのだもの。
    全く油断も隙もない(^^;;笑

    ところで、私も表題の『ZOO』
    何で”ZOO”何だろう?って思っていた。
    解説の中に説明があった、、
    グリーナウェイの映画…(*'ω'*)なるほどね〜

    • 土瓶さん
      う~~~ん。
      ほとんどおぼえてないや('_')
      あれから何年経ったのかなぁ。
      血液の話と落ちる飛行機の話は、かすかに……。
      ああ、読...
      う~~~ん。
      ほとんどおぼえてないや('_')
      あれから何年経ったのかなぁ。
      血液の話と落ちる飛行機の話は、かすかに……。
      ああ、読み返したい( 一一)
      2022/07/20
    • hiromida2さん
      紹介して頂いた、流石のどんチャンでも…
      読みすぎて記憶を辿るところですね。
      私は読んだばかりだから新作の域、グフっ(^ν^)
      短編だから、即...
      紹介して頂いた、流石のどんチャンでも…
      読みすぎて記憶を辿るところですね。
      私は読んだばかりだから新作の域、グフっ(^ν^)
      短編だから、即読みし易いですよ〜
      と、言いたいところだけど…控えし本が多い
      だろうから(^^;;笑
      余裕の時間がある時に、飛行機の話は面白かったです♡
      2022/07/21
    • hiromida2さん
      PS.時間の余裕がある時ですね(⌒-⌒; )
      言葉までおかしくなってきた!(◎_◎;)
      乙一ワールドの世界教えて頂き感謝!
      おーきにです(о...
      PS.時間の余裕がある時ですね(⌒-⌒; )
      言葉までおかしくなってきた!(◎_◎;)
      乙一ワールドの世界教えて頂き感謝!
      おーきにです(о´∀`о)
      2022/07/21
  • 続けて再読。短編5.5編っていう感じ。
    どれも切れ味ある短編。
    すごく頭が良くて文章が書ける少年が、その時期のパラドックスをそのまま表現している感じ。

    「冷たい森の白い家」
    馬小屋で虐待を受け育つ子供。理不尽な待遇は続き遂に追い出される。一人で生きる為、死体で家を作る。家の壁の一部として使った姉弟の遺体を家に返しにいくと昔優しくしてくれた女の子の子供達だった。無感情表現極まる。

    「血液を探せ」「クローゼット」は、ミステリー仕立て。思いの外、手が込んでいる。

    「むかし夕日の公園で」
    4ページの超短編。一度読んだら忘れられない一作になりますね。

  • R1.8.14 読了。

     「血液を探せ!」と「むかし夕日の公園で」が良かった。

  • 血液を探せと飛行機の作 犯人探しと結末を想像しながら読む 面白かった。
    神の言葉はラストまでゾゾっとしました。

    短編だけど読み終えた後余韻にひたる

  • 前作に続き一気読みしました。

    改めて乙一さんの魅力に気付かされました。
    どの短編もオチが読めず、驚かされるものばかりでした。
    個人的には「Closet」と「神の言葉」が好きでした。

    「Closet」は読者の先入観を利用した見事なトリックで読み終わった後、もう一度読み返しました。お見事としか言いようのない作品です。

    そして「神の言葉」では、他人からの評価や世間の目を気にして生きている人が多い現代では、より多くの人に刺さる話だと思いました。勿論、僕自身にも刺さるところがあり感情移入してしまう場面が多く存在し、読んでいてせつなさを感じさせる作品でした。

    乙一ワールド全開の「zoo」2作品は本当に読んでよかったと思えました。未読の方は是非。

  • 時に淡々と…時にコミカルに…乙一さんワールドのアラカルト集みたいだった。乙一さんの小説を何冊か読んでからだったから 余計に楽しめたかも。

  • 単行本『ZOO』(‎9784087745344)の分冊文庫版・2巻目。単行本でも336ページだったものが2冊組になるとこんなにページが増えるものなのか。文庫の方が字が大きいから??

    さて、1に引き続き15年振りに読み返しました。


    《血液を探せ!》…ちょっと奇を衒い過ぎな感じが。

    《冷たい森の白い家》…薄気味悪いのに美しく、不思議と読んでいる間は雪原の中にいるような、シンとした静謐さを感じた作品。けど赤毛の少女に対してのこの幕の引き方でいいの?とも思う。モヤモヤ。

    《Closet》…何度も読み返しちゃったよ。トリック炸裂。けどスペアキーの件は偶然だったって事よな。

    《神の言葉》…いいなあこの中二っぽく邪悪な感じ。正直、机のくだりとかはあまりよくわかってないけど、そういう雰囲気への没入を楽しむのが大事、という事で。

    《落ちる飛行機の中で》…面白い!墜落する飛行機内という究極の緊張状態かつ時間制限の中で繰り広げられるゆるーく雑な会話劇。なのにハードロックなソウルまで感ぜられる変な作品。人生に絶望し「世界中にいるすべての人間を殺してまわりたい……。」(p199)と希っていた彼が奇しくも救った幾つかの命。こんな形でも人生はままならないなんてね。真っ赤な夕焼けの向こうに消えゆく背中。

    《むかし夕日の公園で》…オビで「幻の短編」と紹介される、4ページで終わる極短編。子供時代、部屋の天井四スミの陰には何か潜んでいてこちらを見ているような感じがしたし、なんかよくわからない雑木林にも何か潜んでいてこちらを見ているような感じがしたし、風呂で髪を洗っている時や歯を磨いている時も後ろに何か潜んでいてこちらを見ているような感じがしたし、絶えず何らかの‘モノ’が身の回りに居るような感覚があったものだが、いつしかどこかに忘れてしまった。そんな懐かしさを思い出したやわらかなホラー作品。


    なんだか1・2を通して、全体的に腐臭とか死臭とか血の匂いとか、『ZOO』即ち動物園というタイトルらしく臭くて賑やかな作品群だったなあという感想。
    長編も読んでみたくなりますね。


    19刷
    2024.4.14

  • zoo1と比較して私は2の方が面白かったです。

    前作に続き、更に尖った乙一ワールドと
    言えるかな笑

    神の声、落ちる飛行機の中でがオススメです!

  • 乙一ワールド。と世間では言うらしい。この青い表紙の方は「神の言葉」が良かった。後半なんだかよく分からなくなったが、何だか好き。「血液を探せ!」これもバカバカしくて好き。三谷作品の「ザ・マジックアワー」的な感じを思い出した(雰囲気レベル)。
    このところ短編ばかりだったので、読み応えがなかった。次は長いのを読もうと思う。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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