水滸伝 1 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44)

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レビュー : 304
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087460865

作品紹介・あらすじ

十二世紀の中国、北宋末期。重税と暴政のために国は乱れ、民は困窮していた。その腐敗した政府を倒そうと、立ち上がった者たちがいた-。世直しへの強い志を胸に、漢たちは圧倒的な官軍に挑んでいく。地位を捨て、愛する者を失い、そして自らの命を懸けて闘う。彼らの熱き生きざまを刻む壮大な物語が、いま幕を開ける。第九回司馬遼太郎賞を受賞した世紀の傑作、待望の文庫版刊行開始。

感想・レビュー・書評

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  • 宋の時代,政府の圧制に立ち上がった漢たちが梁山泊に集まり,一つの国というようなものを樹立し,宋との決戦に挑む物語。フィクションではあるが,一応,宋の時代の36人の史実を元に脚色され,現在の108人の漢の物語になったらしい。北方水滸伝は,原本での辻褄が合わないような部分や,ファンタジーちっくな部分を,より現実的な描写に再構成している。敵対する宋軍側の考えにも,梁山泊側の考えにも,どちらにも正義があるように思える。
    宋側は現体制のまま政治を立て直して行こうとし,梁山泊側は一度宋をつぶし新しく国を作りかえると言うもの。普通の戦モノと違うのは,登場人物が軍人ばかりではなく,医師,鍛治,情報を伝達する飛脚,城壁等の石積みを作る職人など,様々な人間が登場するとことだ。
    北方水滸伝は,続編である楊令伝へと話が続く。
    ストーリーは面白いが,19巻ともなると,著者の人物描写が少しワンパターンとなるところ(次に何を言うかが想像がつく)や,登場人物の描写に終始するところ(司馬氏や宮城谷氏は,文書の所々に,自分の考えや地名の由来,雑学のようなものがちりばめられている),女性描写がしつこく,えぐいところなどが自分の趣向とは少し合わないので3つ星とした。決して面白くないわけではないが。。。
    全19巻

  • 「南総里見八犬伝」を読了したことに調子に乗って、「水滸伝」に手を出しました。
    が、登場人物の多さと地理不案内に、相当手こずりました。
    先が思いやられます。

    事前に知っていたことといえば、梁山泊というところにならずものたちが集まって、世直しを画策する、ということ。
    そして曲亭馬琴によると、どうも最後は彼らが負けて終わるようであること。

    ところがこの北方版「水滸伝」は、原作とはちょいと違うようなのであります。
    原作と言っても誰か一人の作品ではなく民間伝承が元になっているので、描写に矛盾があったり、尻切れトンボの部分があったりするところを、北方健三は物語を解体し再構築することで、矛盾の解消をしたようなのです。
    それに伴って、登場人物たちにもそれぞれ人間的な魅力を加味したと。

    そして、物語の背景をはっきり作り込みます。
    政治的にも経済的にも詳細に。

    さらに新たな登場人物を作り出して、物語を動かしていきます。

    これらの改変によって、ようやく自然な物語として読むことができるようになったのだと。

    ということで、あえて北方版「水滸伝」を手にしましたが、全19巻。
    その続きの「楊令伝」17巻。
    さらにその後「岳飛伝」19巻。
    長い旅になりそうです。

    とりあえず一巻ではまだまだ仲間を集め中。
    苦労人の林冲の動向を気にしながら読み進めました。
    人気者の武松はまだ伝聞でしか登場せず。
    ほんと、先が長い…。

  • うっかり読み出してしまいました‥‥これ以上長編併読してどうするんだ、と思いましたが面白いのですぐに惹き込まれました。
    大量のキャラクターを一行で印象に残すよう描きだす筆力すごい。
    男同士の友情いいですね。
    淋中が拷問を受け妻が陵辱され自殺し、地下牢に幽閉されるすさまじい痛ましさ。性格変わっちゃってる。でも狂うこともなく生きることを選ぶ。これがすごい。
    鮑旭が王進先生と母上に教育され、それを思うところ涙が出ます。人は人と繋がってこそ人たる。

  • ついこの間、岩波少年文庫の水滸伝を読了した際、KiKi はその Review で「天罡(てんごう)三十六星」「地煞(ちさつ)七十二星」についてちょっと触れたわけだけど、この北方水滸第1巻の章立てがどうなっているかっていうとこんな感じになっています。

    天罡の星(北斗星)
    天孤の星
    天罪の星
    天雄の星
    地暴の星
    天微の星
    地囚の星
    地霊の星

    で、因みにこれを水滸伝で108人に割り当てられた星と豪傑の相関図で結び付けてみるとこ~んな感じです。

    天罡の星: 玉麒麟・盧俊義
    天孤の星: 花和尚・魯智深
    天罪の星: 短命二郎・阮小五
    天雄の星: 豹子頭・林冲
    地暴の星: 喪門神・鮑旭
    天微の星: 九紋竜・史進
    地囚の星: 旱地忽律・朱貴
    地霊の星: 神医・安道全

    必ずしも章のタイトルとそこで描かれる物語が全て一致しているわけではないけれど、まぁ、まぁ、この第1巻で登場する重要な人物とはほぼ一致している感じです。

      

    この第1巻で一際輝いているのは「豹子頭・林冲」なんじゃないでしょうか?  実際のところ KiKi は初読の際、この第1巻で一発で林冲にやられ、その後も林冲の文字を見る度に心踊らされたものでした。  そして、岩波少年文庫の「水滸伝」では単なるハチャメチャ暴れん坊に過ぎなかった「花和尚・魯智深」もこっちの物語ではやっぱりいい味出しています。

    再読なのでこの後王進先生がどんな風に物語に絡んでくるのかを知っちゃっているだけに、今回は王進先生にはあまり萌えなかった(苦笑)んだけど、初読の際には彼の生き様はどこかLothlórien_山小舎暮らしに通じるものがある(あっちの方がず~っとストイックだけど ^^;)だけに、かなり興味を持ったものでした。

    この「北方水滸」で KiKi が一番気に入っていたこと。  それは単に「志」「志」と連呼する戦闘で戦う男たちだけの物語ではなく、そんな反乱軍を支える糧道の話がこの第1巻にして既に表れているところ、そして武勇の人だけではなく戦が始まれば必ず必要になる「医者」と「薬師」を早々に登場させているところが挙げられます。

    「世直し」「反乱」「豪傑」「英雄」な~んていうのは、どんな物語にも、そしてゲームにだって当たり前のように出てくるプロットだけど、反乱軍を養うためには金も食料も必要だし、まして戦が始まれば怪我人も出てくれば死人も出てくる。  そういう周りを固める言わば「脇道」的な話がどれだけ出てくるかが物語のリアリティに貢献する部分は大きいと思うんですよね。  

    KiKi の大好きな上橋菜穂子さんの作品でも「食」に関する記述はものすご~く多いけど、この北方作品にもそれに近いもの(但しやっぱり男性のしかもハードボイルド作家の筆致だから「美味い! 美味い!」の連発でちょっと残念だけど)があるように感じます。  朱貴の店の「魚肉入り饅頭」とか「阮兄弟の鍋」なんかは是非食べてみたいものです。  (この先に登場するとある暴れん坊のお料理もね 笑)

    王進さんと言い、安道全先生と言い、薛永と言い、「○○バカ」みたいな人が出てくるのもなかなかに魅力的です。  現代社会で生き抜くためには「可もなく不可もなく」みたいなバランスの良い人間の方が良しとされる傾向が強いわけだけど、「○○バカ」と呼ばれるぐらいに突出した何かを持っている人間っていうのは自分の身近にいたら便利ではあっても時に鬱陶しかったりもするものだと思うけれど、やっぱり物語世界では魅力的にうつります。

    さて、物語はまだまだ始まったばかり。  全19巻で恐らく全108章のうちまだまだ最初の1冊です。  引き続き第2巻に読み進もうと思います。

  • 腐ってしまった世の中を変えるために立ち上がった男達の物語の第一巻。
    これから長く続くストーリーに向けて、とにかくゆっくり背景を理解しながら読んだ。
    こういった時代小説からは本当に学ぶことが・心動かされることが沢山あるので、二巻からもすごく楽しみ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「立ち上がった男達の物語」
      男を通したためだったり、見て見ぬ振りが出来ないためだったり。と理由は様々ですが「義」の物語ですね、、、(北方水滸...
      「立ち上がった男達の物語」
      男を通したためだったり、見て見ぬ振りが出来ないためだったり。と理由は様々ですが「義」の物語ですね、、、(北方水滸伝は、これから読みます)
      2013/04/10
  • 出てくる男が全員恰好いい!
    元気を出したい時のカンフル剤です。

  • 水滸伝を読むならぜひ北方水滸を!
    書き方は淡々としていますが、胸を打つものがあります。
    やっぱり、男の死に様ですよね!!

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「男の死に様ですよね!! 」
      随分と大昔に吉川英治のを読んだきりで、その後駒田信二訳でも読もうかと思っていたのですが手付かず、、、こんな風に...
      「男の死に様ですよね!! 」
      随分と大昔に吉川英治のを読んだきりで、その後駒田信二訳でも読もうかと思っていたのですが手付かず、、、こんな風に聞いたら「北方水滸」にしようかな。。。
      2013/01/18
  • 北方さんの水滸伝は、ご本人の創作部分が多く、原典とは違っている部分が多いとのこと。

    それはそれで、ちょっと残念な気もするが、文章は読みやすく親しみやすい。

    1巻では反乱の人材収集のために、全国を行脚する「魯智深」や
    塩の闇ルートを作って、軍資金集めをする商人「盧俊義」そして
    反乱の中心者と思しき「宋江」や「晁蓋」などが登場。
    それぞれが個性的に描かれている。

    そんな中で、高俅の罠により妻を死においやられ、自らも拷問を受け地下牢に幽閉されたのち、滄州へ流罪となった「林冲」の部分が一番壮絶で、印象に残った。

    集まった人材は、最後まで同志を裏切ることなく、革命を全うするだろうか。

    2巻以降が楽しみ。

    • senna88さん
      こんにちは 
      原典と違っているのは、原典の話が、ときにに支離滅裂、ときにオーバー、そして最後は
      腰砕けになるからだと、思います。

      ...
      こんにちは 
      原典と違っているのは、原典の話が、ときにに支離滅裂、ときにオーバー、そして最後は
      腰砕けになるからだと、思います。

      北方水滸伝は、物語の柱に「志」をもってきて、そこに集う男たちの気概や絆を、熱く熱く描いて、最後まで貫きますので、今後をお楽しみに! 

      2010/09/29
    • 老舗の和菓子屋さん
      ありがとうございます♪

      原典は支離滅裂、オーバー、腰砕け。。。な部分があるのですか。

      でしたら、北方水滸伝にどっぷりつかってみる...
      ありがとうございます♪

      原典は支離滅裂、オーバー、腰砕け。。。な部分があるのですか。

      でしたら、北方水滸伝にどっぷりつかってみるのがよさそうですね。

      2巻以降が楽しみです。
      2010/09/30
  • 取っておいた北方版水滸伝を今年の読書テーマにします。初めて高校生で読んだ時は登場人物の多さをものともしなかったのに、歳はとりたくないものです。第1巻にして、人物辞典が欲しくなりました。オリジナルの水滸伝では、梁山泊結集以降の変節ぶりに失望しましたが、北方さんが筋を通して書き直したとのこと、改めて水滸伝ワールドを楽しみます。

  • 引き込まれる。

    本作は、水滸伝の設定とキャラ名を使った完全に別の物語だということをしらなかったので驚いた。
    が、こちらのほうが、価値観があう。
    「好漢」たちが弱いものいじめしないし。

    でも、史実からいって、宋王朝打倒はできないで終わるんだろうなあ・・

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