ジャージの二人 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 187
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461183

作品紹介・あらすじ

恒例の「一人避暑」に行く父親と犬のミロにくっついて、五年ぶりに北軽井沢の山荘で過ごす小説家志望の「僕」。東京に残った妻には、他に好きな男がいる。危ういのは父親の三度目の結婚も同じらしい。-かび臭い布団で眠り、炊事に疲れてコンビニを目指す、アンチスローな夏の終わりの山の日々。ゆるゆると流れ出す、「思い」を端正に描く傑作小説。翌年の山荘行きを綴る『ジャージの三人』収録。

感想・レビュー・書評

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  • 2度の結婚に失敗し、3度目の結婚もうまくいっていない父。
    妻から本気の婚外恋愛を告げられ、仕事も執筆も放棄しかけている息子。

    軽井沢の別荘(と言えば聞こえはいいが、実際は携帯はほぼ不通で虫や黴との共存生活)で過ごす不器用なジャージの二人。
    壊れてしまっているのになんとなく妻からの電話を待ちわびたり、相手の男とのあれこれを想像して落ち込んだり。

    「永久(とわ)の愛なんてあり得ないということは既に思い知っているけど、永久が八十年もあるからつまずくのであって、八十年じゃなく十年ぐらいの永久の愛なら、誓い合えるかもしれない」という言葉がまた、結婚生活に破れた男のしょっぱさを醸し出す。

    「ジャージの三人」になってからの展開もまた、もの悲しい。
    余計な邪魔が入って壊れてしまったら、その異物が消えたとしてももう戻れないんだなぁ。
    映画版は観ていないけど、堺雅人さんはイメージ通りだな。。

    好きな人の高校時代の部活は弓道部で、県大会などにも出場していたと聞き、あのかっこいい和服で弓を引いていたのかと思いきや、「いや、ジャージで」とはにかむ姿にキュンとし、その頃に知り合っていたかったとほぞをかんだ。ジャージ姿を見たいと思うのなんて後にも先にももうないだろう。

  • 何も起こらなくて、なんとなく読んでいるうちに終わってしまう。「ジャージの二人」というタイトルからしても、他の長嶋作品と比べても「脱力しながら読んでください」と言ってもらえているようである。

    「父」が口癖として「死んじゃえ」って言うところがあって、なぜかそこが可笑しいというか印象に残る。

  • 特に周りの風景が強調されて書いてあるわけじゃないけれど 少し落ち着いた 気持ちになれる物語。

  • ねたあとに、と同じ山荘のお話で「ここ知ってる!」という感じが面白かったです。ストーリー的には何があるというわけではないのですが、何となく好き。読みやすいし。なんか好き。

  • 長嶋氏独特の距離感がたまらない。モノゴトに一方的な思い込み方をしない、モノゴトはモノゴトとして捉える(あるいは、そういうふうにしか捉えられない登場人物たち)姿勢、そんな感じを読んでいると、毎度のことだが、力が抜けていく。
    自分で騒いで、自分で疲れて、な方にオススメ。

  • ジャージの二人、というのは、軽井沢の(ぼろい)山荘で過ごす親子二人が、近隣小学校のジャージを着て過ごしているから。それで、じゃあ何が起こるわけでもないが、話のつなぎ方がうまい。ジャージに書かれた「和小学校」の書き方でずっと押し通すのだから恐れ入る、でもそれが小説を読むっていうことではないか、と思ったり。

  • 母校の大学の学祭の古本屋にて。初めての作家さん。タイトル・表紙のイラスト・裏表紙のあらすじから感じたゆるさになんだか惹かれて購入。

    特に事件が起こるでもなく、ゆるゆるとした避暑を淡々と描写してる感じが、「この時の登場人物の心情を説明せよ」って聞かれそうな、現代文の文章題に出そうな話だなぁと思った。なんかこういう小説は久しぶりな気がする。

    …そんなことを思っていたら、巻末の解説に「ただ普通に小説を読むときに、特にその小説に最初に接するときは、「この話はなにが言いたいのか」と考えなくてもいいと思う」とあって、それもそうかと思った。
    描かれている避暑同様、ゆるゆる楽しむのが良さそうな話。

  • 86:長嶋節としか言いようのない、まったりゆったりした時間。時にピンポイントでマニアックな突っ込み。それぞれにシリアスな事情を抱えているのに、ちょっと浮世離れしているというか、シリアスな事情にシリアスに向かい合っていない自然体というか。好き嫌いは分かれると思うのですが、私はけっこう好きかな。映画版もぜひ見てみたい!

  • ブルボン小林のエッセイは読んだことがあったが、本業?の小説は初めて読む。想像どおりのまったり感。

  • 自分の父はこの父タイプかもしれないと思いながら…。
    ゆるゆると、核心には誰も触れず、でも不思議と皆進んで行く。
    本で読むと若干イラッとする面々だけど、実際こんなもんかもしれない。

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著者プロフィール

長嶋有(ながしま・ゆう)
一九七二年生まれ。二〇〇一年「サイドカーに犬」で文學界新人賞を受賞しデビュー。二〇〇二年「猛スピードで母は」で芥川賞、二〇〇七年『夕子ちゃんの近道』で大江健三郎賞、二〇一六年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2019年 『掌篇歳時記 春夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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