水滸伝 6 風塵の章 (集英社文庫 き 3-49)

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  • 集英社
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感想 : 108
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  • / ISBN・EAN: 9784087461336

感想・レビュー・書評

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  • 梁山泊対青蓮寺の構図がどんどん表面化して進んでいく巻です
    わりと静かな巻なのに面白い
    やっぱり裏側の描き方が上手いからなんだよ
    上手いしちゃんとしてる
    だから戦の説得力が凄い

    梁山泊側はどんどん人が集まります
    特筆すべきは青州軍の将軍、秦明と副官花栄、その部下黄信の合流です
    若いヤツが多い梁山泊にあって苦み走った大人の漢秦明が渋い!しぶカッコイイ!
    第六巻は秦明の巻と言ってもいいかも

    そして青蓮寺側も遂に天才参謀聞煥章が登場!あっという間に青蓮寺を自分色に塗り替えて行きます
    完全に出来上がってるチームに経験のない若造が入っていくのは難しいし、才能があったらあったで嫉妬されるはずですが、圧倒的才能で納得させちゃうっていうね
    おそらく長く梁山泊の前に立ちふさがるんだろうなっていうね
    そしてこの圧倒的的天才で圧倒的に人間としての中身がない聞煥章の登場で苦悩だらけの李富のキャラクターも際立ってくるっていうね
    く〜上手い!

    はい!一〇八星ぜんぜん違うじゃん!のコーナー!
    今回は梁山泊第四位の好漢、天間星の入雲龍(にゅううんりゅう)公孫勝です
    『北方水滸伝』では致死軍という特殊部隊の創設者であり総隊長です
    人を寄せ付けない雰囲気を持ちつつなにか秘めたものがありそうな
    冷酷非情でありながら暖かさもあるという二面性を持った人物として描かれています

    オリジナルでは呉用と並ぶ梁山泊の軍師で、特筆すべきは「妖術使い」であるということなんですよね
    「妖術使い」、はいもうカッコいい!語感だけでカッコいい!
    オリジナルでは梁山泊の敵となる陣営にも「妖術使い」は多数登場して、妖術による戦いもたいへん大きな見せ場となっています
    龍や鳳なんか召喚しちゃいます
    中学三年生のときに高校進学と就職して妖術使いになるかの二択で悩んだ経験のあるワタクシとしては大好きな好漢のひとりなんですが、『北方水滸伝』では妖術の類は一切出てきません
    もちろん致死軍を使うというのが妖術使いから発生したアイディアだとは思いますけどね

    では、なぜ『北方水滸伝』には小説としてはある意味飛び道具的な「妖術」が出て来ないのか?ま、単純な話邪魔だからですよね

    「妖術」って冒頭に述べた戦に至るまでの裏側の積み上げをすっ飛ばしちゃうんですよね
    戦だけの記述で問題なくなっちゃうんです

    「人」「国」「志」みたいな『北方水滸伝』が大切にしてることを全部台無しにしちゃうんです
    派手なことに目を奪われずに、コツコツと積み上がっていく物語だからこそこんなに惹きつけるんですよね

    • ひまわりめろんさん
      いやうろ覚えに決まってるやん!ウィキペディアで確認してます
      それこそ現役の時は108人全員言えたけど、っていつだ現役の時って!
      いやうろ覚えに決まってるやん!ウィキペディアで確認してます
      それこそ現役の時は108人全員言えたけど、っていつだ現役の時って!
      2023/09/13
    • kuma0504さん
      副読本の「替天行道」は、第一部ネタバレも含んでいるからその終わりで読んだ方がいいのかもしれませんが、山田某という編集者が、やはり原作との比較...
      副読本の「替天行道」は、第一部ネタバレも含んでいるからその終わりで読んだ方がいいのかもしれませんが、山田某という編集者が、やはり原作との比較を延々とやっています。最後の副読本「尽忠報国」のせいで、この山田大嫌いなのだけど、めろんさんとは気が合いそうです。
      2023/09/14
    • ひまわりめろんさん
      クマさん
      おはようございます!

      いやー実は副読本、今から読むの凄い楽しみにしてるんですよね
      アニキがどんなこと語ってるのか
      山田某の記事も...
      クマさん
      おはようございます!

      いやー実は副読本、今から読むの凄い楽しみにしてるんですよね
      アニキがどんなこと語ってるのか
      山田某の記事も要チェックです
      2023/09/14
  • 秦明を口説き落とす魯達、楊令を抱きしめる林冲…胸熱になる、この巻屈指の名シーンかと。

  • 宋江の歩みのように、物語が少しずつ進んでいく巻。

    輝きながらカムバした史進。
    楊令へ、ムチムチムチムチ抱擁の林冲。

    聞煥章も恐ろしいけれど、志のなさはどう転ぶのか。このフラットな感じが一番危ないのか。むむむ。

    宋江〜!!!にげてぇ。

    本巻も解説が素晴らしかったです。
    書評家の吉田伸子さん。私も水滸伝を読み出したのは友達に勧められて無知識のままここまで来たので、この解説は赤べこ並みにうなずきました。
    「面白いから、読め!」これに尽きる。

  • 4.1

    前巻の楊志のこともあって、同志たちの嫌な予感を感じる瞬間が息苦しい。ただめちゃくちゃ面白い。

    あとこの巻に関してはあとがきの解説も良かった。"勧めてくれた人と実際に読んだ自分"ってのがぴったりリンクしたのもそうだし、自分の感想をより高尚にして代弁してくれてる感じ。ネタバレが無いかビクビクしながら全部読んだ。無かった。

  • 楊志が死んだことは、読者にも大きな影響を与えることになる。
    なぜなら、あれだけ大きなポジションを占めていたというのにあっさり死んでしまったのだから、ほかの人たちだって予断は許さないわけだ。
    『ハイカラさんが通る』の紅緒さんが「主人公は死なない」と言っていたが、この群像劇では誰が死ぬこともありというわけだ。

    というわけで、宋江。
    大丈夫だよね。
    彼は全然追い詰められていないけど、彼を守っている、「死ぬために生きている」武松なんかがそのまま死んじゃいそうで、心配でたまらない。

    第一巻に登場した時は、人間味のかけらも見せなかった李富が、自分の恋情を正当化するために梁山泊追及の手がゆるくなってしまっている今、降って湧いたような聞煥章の登場。
    これは李富の命も風前のともしびか…。

    秦明将軍だって、結構ないい年という設定なのに恋ですか?
    この話、恋愛がからむとどちらかが、または両方が死ぬよ。
    ああ、もう。

    官軍にあって、腐敗を断じることを恐れなかった秦明将軍。
    自分が清廉であれば、処断されるはずがないと信じて官に留まっていたが、魯達の言動に心を動かされる。
    “人は、信で繋がっていなければならない。”
    “志があるから、信じられる。それは確かなことです”

    物語として大きな動きはなかったけれど、秦明将軍と魯達の会見がひとつの核になるのだろう。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    5巻も宋江の話が続くが、梁山泊の方も死んだ楊志の代わりとして、官軍の秦明を味方に引き込み、清風山を攻撃しようとした官軍を二竜山、桃花山と連携して殲滅することで宋と明確に敵対することになった。
    一方で梁山泊の攻勢に危機感を覚えた宋と青蓮寺は新たに文煥章という人材を迎え、梁山泊を単なる賊ではなく、敵対する国として対応してきて、本格的な戦争になってきた。
    その最初の作戦が宋江の捕縛で街道を封鎖し、大きな円を少しずつ狭めるように追い詰めてきた、今までから遥かに大規模な作戦で驚いたよ。

  • 止まらないなぁ。
    あとがきにもあるけども。漢←オトコの生き様。
    っていうの。ホント!!!!!!

    もう。ただ、ただひたすらにこんなオトコたちに魅了されまくります。

    もう。たまらんのよね。

    そうか、推し活とかアイドルとか好きな人の気持ちってこんな感じなんか!!!!!!

    と、思ったりしてます。

    好きなオトコのタイプは、馬に乗りこなす槍捌きの上手い人。笑

    わたしの好きな九紋龍史進が出てこないですが、楊志の息子の楊令が、このオトコイケメンに育つ気がする。そんな成長過程を楽しめるのも、水滸伝の楽しみの一つです。

    ダメ。夢中になりすぎる。。。

  • 6巻ともなると、最初から登場する人物の人生に大きな変化があったり、戦死してしまう人物も出てくる。そして、新たなリーダーが登場したりする。ひとりひとりの人物のキャラはとても尖っていて、読み飽きることがない。これでまだ6巻、中盤戦に入ったところ。まだまだ楽しみだ。

  • 中華版フォレストガンプのお話し

  • 林冲による楊令の修行が良い。秦明将軍の安定感。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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