アヘン王国潜入記 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.10
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本棚登録 : 1130
レビュー : 140
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461381

作品紹介・あらすじ

ミャンマー北部、反政府ゲリラの支配区・ワ州。1995年、アヘンを持つ者が力を握る無法地帯ともいわれるその地に単身7カ月、播種から収穫までケシ栽培に従事した著者が見た麻薬生産。それは農業なのか犯罪なのか。小さな村の暖かい人間模様、経済、教育。実際のアヘン中毒とはどういうことか。「そこまでやるか」と常に読者を驚かせてきた著者の伝説のルポルタージュ、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 図らずもビルマ(ミャンマー)での軍部によるクーデターが発生したタイミングで読んでいた。(2021/2/4現在)

    国際的な報道では、民主化or軍政の観点からの記事が主を占める中、背景にあるビルマの歴史や民族について知った上でそれらのニュースに触れる事が出来ているのはラッキーだったと思う。

    本著に描かれた時期から時間も経ち、ワ州を取り巻く状況や、アヘンにまつわる実態も変わっていることも多いとは思うが、ビルマの民主化がいかに複雑なバランスで成り立っていたのか推察できたし、軍部の力が衰えない背景もこの本に描かれている現実が大きく関わっているのだろう。

    高野秀行さんの体当たりルポ。
    そこに行った人だけが語る事ができる、当事者たちの営みや不条理。
    本物の情報だと思う。

    表紙とタイトルのパンチが強すぎて、久しぶりにブックカバーをかけて読んだ笑

  • 未知が詰め込まれてる本。好奇心に誘われてどんどん読めてしまった。

    アヘン栽培を生業とする辺境の国に長期滞在して実際にケシの種まきからアヘンの収穫までやってしまいました。という本。滞在の中での現地の人との交流や気づき、発見などなど。

    地に足がついた、俯瞰ではなく現地目線でのレポート、ハードな現地の生活に溶け込む筆者の強さ、現地の人々と絆を育んだり、アヘン中毒になってしまった時に見せる人間臭さ。とても面白かった。

  • ミャンマー国ワ州というアヘン栽培の拠点がいかにも古き良き村落共同体といった感じで大変興味深かった。ギャップがすごい。
    辺境の村に分け入った著者が長期の滞在で村人に受け入れられていく様が愛おしい。
    村人との素朴な交流の背後に時折垣間見えるワ州の政治的背景が、ラストで覆されるのはスリリング。そして著者のワ州との縁が切れてしまいワ州に入れなくなるのがとても切ない。村人たちとの涙の別れの後に書かれているために、落差にびびる。
    アヘンを栽培する農家への密着という企画の趣旨からしておりこうさんなグローバルスタンダードへのアンチテーゼであることだなあ。

  • アヘン生産地に行き、そこで実際に半年以上も生活し、村人と一緒にアヘンを作り、そして実際にアヘンを吸って…この人しかできないし、それをこうやって活字にして世に出すのもこの人しかできないだろう。
    「誰も行かないところに行き、誰もやらないことをやり、それをおもしろく書く」という高野さんの真骨頂だと思う。
    他の作品(ソマリアランド)も読んだが、その体験の凄さと反比例して内容はその国・地域の日常やジョーク、下ネが多く含まれていて、ほっこりすることも多い。外から見て調べるルポではなく、実際に現地に溶け込むスタイルにしか書けない内容だと思う。

    • workmaさん
      高野さんはチャレンジャーですよね! 高野さんの本を読むことで疑似体験させてもらってます
      高野さんはチャレンジャーですよね! 高野さんの本を読むことで疑似体験させてもらってます
      2021/03/14
  • 最後まで読み切れなかったが、なかなかすごい体験してるということはわかった

  • 親から聞いた昔の沖縄とそんなに変わらないのでは?と思いながら読んだ
    村は先祖を敬う儒教のようだし、女性一人では生きるのに厳しいところとか、ケシ栽培がサトウキビ畑に変われば昔の沖縄なんだと思う
    ワ軍はアメリカ軍と考えたらさらにそうかも
    世界地図のミャンマーの場所すらちゃんと知らないのに共通点があっておもしろい

  • 2020/08/24

  • タイトルの通りたしかにアヘン王国に入ります。
    種まきから採取までやりたいという熱意をもってビルマへ行き、理想の村を探した結果ワ州の村に滞在することになります。
    そこでの村人との関わりや、仲介者、軍部との関わりを通じて段々とワ州、ビルマを取り巻く軍事、政治、国交の状況が見えてきます。
    またワ州の村での原始的で閉鎖的な生活や周辺の文化を日本と比較して新たな発見や気づきが見えてきます。
    デジタルな生活、グローバルな社会に慣れた現代人が失った大切な何かも見つかるかもしれません。

  • 1998年出版の本を文庫化したもの。高野さんは語学の天才だから、すぐ現地の言葉ができるようになる。そしてすぐ現地の人と友達になれる。頭が良くて文章が上手い。
    これは比較的初期の著作なので、のちの著作よりちょっと文章が硬いが、若々しさを感じる。
    それにしても、アヘンを栽培している地域で、現地の人の目線で考えたいと言っても、普通の日本人はこんなに長期に滞在はできない。他の本で書いていたが、毎日食べるモイックという、水加減適当に炊いた、菜っ葉(水が少ない地域なので洗わない)の入ったご飯が大変不味い、ということが最大のネック。普通の外国人なら、自分だけ持参した食糧を食べるところだろうが、高野さんは現地の人と同じ生活をすることが信条なので、この不味いモイックを毎日食べる。冠婚葬祭の時は肉が入るが、ほとんど丸ごと動物を投げ入れただけみたいで、普通のモイックよりもっと不味そうである。最後に出てきた、水を半分、牛の血を半分で炊いたモイックはことのほか不味そうで、ちょっと食べられそうにない。そんな食事を7ヶ月も。
    しかし、現地の人は、これがご馳走様なんだから、不味くて食べられないなんてのが分かったら、とても仲間と認めてはくれないだろう。この食事とシラミ、風呂にも入れない(水が少ないから)生活を耐えられる日本人なんてそうはいないい。その上に現地語ができて、面白い文章が書ける、そんな人はさらにレアである。
    まあ、正直、アヘン中毒はなりたくてなったみたいなところがあり、大丈夫か?とは思うが、大丈夫であって欲しい。
    たくさんの少数民族がミャンマーの人口の3分の1、居住地域の半分を占めることはあまり知られておらず、というかこの本で知ったのだが(P229)、だとすればミャンマー政府のロヒンギャへの対応も、意外な事ではなく、もとからそういうこと(差別的扱い)を少数民族に対して行っていたということだろう。ノーベル賞を受賞したので、アウンサンスーチーは凄く人徳のある人のイメージだが、ビルマ人の民主化や地位向上には熱心だが、少数民族にも同じ権利を認めるかは別と考えているのかもしれない。
    アヘンを作らなければ生きていけず、作っても軍に巻き上げられ収入にはほとんどならない。多くの人々が政府軍との争いで死んでいく。教育もなく、娯楽もなく、情報もなく、医療もないこういう村が今も世界にあり、それでも何らかの楽しみを見出しながら生活し、死んでいく人々がいる、ということを、時々思い出したいと思う。

    • workmaさん
      感想の後半部分…

      「教育もなく、娯楽もなく、……(中略)それでも、何らかの楽しみを見出しながら生活し死んでいく人々がいるということを、時々...
      感想の後半部分…

      「教育もなく、娯楽もなく、……(中略)それでも、何らかの楽しみを見出しながら生活し死んでいく人々がいるということを、時々思い出したいと思う」

      という文章に心が動かされました。ほんとうに、そうなんですよね。知らない世界を知ることができる…、想像することによって。本を読む醍醐味ですね!
      2021/03/17
  • 僻地への冒険を追体験しておくことで、異世界があるという自覚が芽生え、自分の経験からは何か分からないことに出会くわしたとしても臨機応変に対応できる強さを得られると思った。
    自分自身のアフリカでの体験を思い出すシーンがいくつもあって面白かった

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