そっと耳を澄ませば (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 61
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461398

作品紹介・あらすじ

光を失った著者は、音を聞き情報を補ってきた。やがて、音自体が、不思議な世界を作りだしていると気づく。大地を渡る風の息吹、折々に表情をかえる雨音、干潟の生物の躍動…。自分なりの"音の目線"を掴んだ解放感は、これまで支えてくれた人々と繋がる音をも、温かく思い出させてくれた-。日常に潜む豊かな世界を瑞々しい感性でとらえたヒーリングエッセイ。日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 前作に引き続き、著者の多才さとバイタリティに脱帽。

    パソコンを使って仕事する一方で、自然への感性を磨く。鳥の声を聞き分け、英語もできるし、ピアノも弾ける。俳句も作れば味噌まで作る。私には真似できそうなのはパソコンぐらいである。晴眼者に比べると日常生活だけでも時間がかかってしまうというのに、いったい、どうやったらここまで有意義な生活を送れるのだろう。

    何より、こうしてエッセイを残してくれる彼女の文章能力には感謝。視覚以外の感覚がここまで潜在的な力を秘めていること、そして、この世界を「感じる」ことがいかに素晴らしいことであるかを、こうして教えてもらえるのだから。

  •  本書を読んで、我々が感じる自然の多くは、視覚情報に頼っていることを改めて感じました。自然の音、匂い、触覚も含めて全体として感じ取れる感性を持ちたい。
     小さい頃、布団の中で外から聞こえる音を一つ一つ距離を伸ばしていく遊びを思い出しました。隣の田んぼのかえるの声、遠く夜汽車が鉄橋を渡る音、雪の日の朝、当たりが静まりかえった空気に包まれているのはとても不思議でした。

  • エッセイの名手。本当に文章のうまい人の本を読むとほっとする。良い本にめぐりあえることは本読みの最高の喜びだ。遡ってこの著者の本をこれから全部読もう。楽しみです。

  • 中学生の頃すごく好きで、作文を書く時よく文章を真似した。思えばこの本からエッセイが好きになったかも。

  • 講演会あとの質問。見えるようになりたいか?
    について
    「いつもいつも見えるようになりたいと思っていなければいられない人生より、見えなくて不便だけれど、これで十分幸せだって思える人生のほうが、本当の意味で幸せではないかと思う」
    なんて素晴らしい答えだろう!

    京都・竜安寺
    吾唯知足を思い出す。

  • 「いつもいつも見えるようになりたいと思っていなければいられない人生より、見えなくて不便だけれど、これで十分幸せだって思える人生のほうが、本当の意味で幸せではないかと思う」という三宮麻由子さんの2作目。1作目=「鳥が教えてくれた空」

    三宮さんの人生の捉え方にとても感動しました。
    感覚はそれぞれ独立していて、足りないものの補強のためにあるのではないという言葉から、自分がどれだけ世界から感動することに感覚機能を使っていないかということを感じました。

    毎日そんなに危険と隣り合わせなの?!
    音からそんなことがわかるの?!
    もっと世界を感じたい!
    そんな風に思える一冊でした☆

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著者プロフィール

エッセイスト。東京都生まれ。
高校時代、米ベンロマンド・ハイスクールに留学。上智大学文学部フランス文学科卒業。同大学院博士前期課程修了、修士号取得。現在は外資系通信社で報道翻訳に従事。
デビュー作『鳥が教えてくれた空』(NHK出版/集英社文庫)で第2回NHK学園「自分史文学賞」大賞を、『そっと耳を澄ませば』(NHK出版/集英社文庫)で第49回日本エッセイストクラブ賞を受賞。そのほか、第2回サフラン賞、第11回音の匠賞、第46回点字毎日文化賞などを受賞。
主な著書に『ルポエッセイ 感じて歩く』(岩波書店)、『ロング・ドリーム──願いは叶う』『世界でただ一つの読書』『四季を詠む──365日の体感』(以上、集英社文庫)、『おいしい おと』『でんしゃはうたう』『かぜフーホッホ』『センス・オブ・何だあ?』(以上、福音館書店)などがある。
失明直後からピアノ、リトミック、ソルフェージュなどのレッスンを開始。複数の専門教師のレッスンを継続し、現在はパリ国立高等音楽院教授の上田晴子氏に師事。大学・大学院時代は学内の古楽器アンサンブルでリコーダーとチェンバロを担当。新井満氏との合作で『この町で』を作曲したほか、講演やトークコンサートなど幅広く活動を続けている。
趣味はバードリスニング。

「2022年 『フランツ・リスト 深音の伝道師』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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