- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087461572
作品紹介・あらすじ
キャバクラ嬢のアヤは大学時代の同級生であるホクトと些細なきっかけから同居を始めた。彼は小児性愛者で、大人の女には見向きもしないのだった。ある日、ホクトの知人である村野という冷淡な男に出会い、アヤは強い執着を抱く。しかし、ホクトが家に赤ん坊を連れ込んだことから、すべてが歪み始めた…。欲望の極限まで疾走する愛を描き、いびつな真珠のように美しく衝撃的な恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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自分ごときが持ちあわせている固定観念や倫理感のスケールで、今作を語ったところできっと意味をなさない‥‥とにかく拝読しました。
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本書による詳しい奥底への内部的批評が読みたいなら文庫本の解説を書いた斎藤環さんを読んでもらいたい。作者自身をリスペクトした素晴らしい解説文になっている。
では、私の感想文はというと、最初一気に惹きつけられてしかし下降したまま堕落した各々の顔を見ながら吐瀉物や血や光明などが空に打ち上げられ満面の笑みを浮かべている自分と、興味関心を向けることが眼に刺されるような罰意識的な自分との対比によいどれを起こした気分だった。これはハッピーエンドなのだろうか。わからない。ただ、じゅくじゅくと腐った肉が放り込まれ、唖然としていた。
惹きつける線と、退いた線。 -
芥川賞作家の本ということで読んでみたけど、馴染めませんでした。もう少し、押さえた書き方をしても作者の思いは伝わると思うが、個性と言ってしまえばそれまでかな?考えさせられました。
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83点。芥川賞をとった『蛇にピアス』がつまらなかったので後の作品は読んでなかったが、かなりよかった。
キャバ嬢のヒロインによる口語体の小説で、オナニーして一発抜いとくか、濡れてきた、セックスしてー、みたいなことばっか言ってるんだけども実際かなり考えながら文章は書かれている。まぁ当たり前だけども。
ヒロインのルームメイトの男がまた凄くて、ロリコンどころか真正ペドファイルで赤ちゃんに欲情する。赤ん坊の性器に顔をうずめながら自慰行為に耽り、さらには兎や鶏と性交する。そんなルームメイトに対するヒロインのリアクションがまたすごいんです。
恋愛ノワールというかエログロ要素満載でこんなのドコがいいのさ?と言うかもしれないけど異常性愛を肯定してるんでもなんでもなくて、そういう人間を醒めた視線で描くことで、どこまでもドライにつきぬけた「いやーみんな結局どうしようもないんだよな」みたいな諦念にも似た感慨を誘うのだ。
唐突な終わり方も秀逸でラスト一文が“悲しすぎて、私はもう涙ダクダクで、マンコも泣いて”句点なし。
有害すぎていくら芥川賞作家の本でも図書館には置けないかも。 -
酷評が非常に多そうな作品ですが、私としてはこれくらいぶっ飛んでいる内容は嫌いではありません。主人公アヤの生々しい叫びというか、本を切ったら血が出てきそうな本ですね。こういうのがあってもいいと思います。
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これも昔に購入してたが読んだか読まなかったのさえも覚えてない作品。
流石に何を表現したいのか理解できず、只ぶっ飛んでるだけで内容が伴ってない感じがした。
読後感の悪い作品。 -
初期の村上龍っぽい危うさがある。斎藤環の解説には学術的な心身不一致について記述があり、果てしなく続く肉的なセックスの話と、どこまでも突っ走るような心的な衝動の話で、確かに現実離れしている感はある。対比される同居人のフェテシズムを「変態」と貶めることによって、自己を確認しているような。終わり方鳥肌立ちました。なんやこれーーー!って。
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蛇にピアス以来の金原ひとみ。
綿矢りさのほうは何かと読み続けてたけど、金原ひとみの方はちょっと敬遠気味だった。わざわざ比較するべきでもないけど、文藝で綿矢りさ10周年特集号が出てるということは、金原ひとみも10周年(と思いきやいま調べて見たら金原ひとみは蛇にピアスがデビューなのでまだ7年くらいだった。)
なんで読まなかったんやろ、と思うくらいひきこまれた。
ケータイ小説的というか、それこそ彼女が芥川賞取って以来の若い女性作家の文体的というか、読みやすい文であることは確かだけど、文自体にすごく魅力がある。
「肉体の反乱」と作中で表現してるような、肉体と精神の乖離(「精神が肉体を支配してるなら精神も反乱してるのか」)、「水商売の女の精神異常」みたいな、飛んでる感がいい。
描写とかが淡々としてるのに、独白が異常に饒舌で、やってることといってることがちがう、のがはまる。
淡白な感じに表わされてる登場人物もみんなやってることやばいし、でもそれがシンボリスティックな次元にとどまらずに、身体的なリアルさも持ってる。
あんまり読まないタイプの小説なので感想も書きにくいけど、もうちょい他の作品も読みたいと思う。 -
バイオレンスな表現が多くて、読み続けるのがコワい気もしたけれど、それとは相反する不思議な魅力があったので夢中で読めた。