水滸伝 10 濁流の章 (集英社文庫 き 3-53)

  • 集英社
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感想 : 102
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461855

感想・レビュー・書評

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  • 折り返し地点の第10巻でございます
    え?もう?っていうね

    ハードボイルドを始め、この『水滸伝』でもそうなんだけど無骨な漢たちを描くことから、無骨な文章を、荒々しいとっつきにくい文章を想像するかもしれませんが、ぜんぜんそんなことなくて非常に読みやすいんだよね
    一度試しになにか読んでみてほしいです
    余計な修辞がないんでまどろっこしい感じがない、キャラがしっかりしているので、いちいち説明しなくとも会話で物語が進むのも読みやすいポイント
    交わされる会話は荒々しいけどね

    さて本編は梁山泊軍が呼延灼率いる精鋭の部隊とぶつかり、初の大敗を喫しますか、ここで高俅が大きな存在感を発揮してくれます
    『北方水滸伝』オリジナルの青蓮寺によって影の薄い四姦ですが、やるときゃやります!
    しっかりとやっぱやな奴感を撒き散らして再登場を待ちます
    今後高俅にスポットを当ててくることもあるんかな?その辺も楽しみ

    はい!一〇八星ぜんぜん違うじゃん!のコーナー!
    今回は、第九十二位の好漢、地囚星の旱地忽律(かんちこつりつ)朱貴です

    まぁやってることは珍しくオリジナルとほぼ一緒ですが、オリジナルはお酒にしびれ薬を混ぜて旅人の身ぐるみ剥いで梁山泊の軍資金にするなどけっこう悪どいです
    『北方水滸伝』では、安道全に死期の近い奥さん陳麗から痛みを取り安らかに過ごさせてくれたことに恩義を感じ、また志のために晁蓋らが梁山泊を奪取する手助けをします
    王倫に不満を抱いて手引きしたのはオリジナルも一緒ですがもっと世俗的な理由だったと思います

    ちなみに奥さんの陳麗は『北方水滸伝』の創作です

    梁山泊の若き好漢たちを一歩離れたところから俯瞰で見てるようなところがありつつ、若い者に助言を与えることもあり、カッコいい中年という感じで、やっぱりオリジナルにはない深みがすごい

    最後は己の夢を弟に託してカッコよく死んでいきますが、オリジナルではけっこう長く生き残り、最後は病死でした

    • ひまわりめろんさん
      いかって誰やねん!
      いかって誰やねん!
      2023/09/20
    • kuma0504さん
      「夢が死ななければ、私も死なないのだ。お前がいだく夢の中で、生き続けている。」

      「人は、ひとりではない。」
      だからいろいろと面倒なこともあ...
      「夢が死ななければ、私も死なないのだ。お前がいだく夢の中で、生き続けている。」

      「人は、ひとりではない。」
      だからいろいろと面倒なこともある。きれい事ではない、こともある。そんなこんなを全て包み込んだ上で、「一度は、生ききった。」と言い切った朱貴を私は仲間として見送った気になる。仲間っていいものだ。
      2023/09/28
    • ひまわりめろんさん
      朱貴カッコいいおっさんでしたよね
      北方謙三アニキの死生観みたいなのを体現する死に様だったような気がします
      朱貴カッコいいおっさんでしたよね
      北方謙三アニキの死生観みたいなのを体現する死に様だったような気がします
      2023/09/28
  • シリーズ半ば、ちょっと中弛み感が出てきたところでの呼延灼戦。目が覚めた。

  • ドキドキ呼延灼×晁蓋の巻。
    もう無理かと思った、怖かったーーー!!!
    メモ取りながら読むほど余裕がなかった……

    呼延灼は絶対梁山泊に入る雰囲気やのに、ここで戦うの?!しかもお互い首討ち取る気満々やん。こういうパターンもあるの?!と動揺してたら、高俅の悪意ある暴走によって(ほんまに嫌い)、呼延灼getだぜ!

    麦待ちという名の睨み合いが素敵だった。民のために生きる姿勢。ハァ(泣いている絵文字)

    韓滔、彭玘の二人がスキ…
    基本呼延灼を支えて命令を聞くのに、梁山泊にだけは本人の意志で入ったのがカッコよかったな。
    でも片方先に死ぬんやろ。嫌やな。

    あとー!はい!私の推し燕青!!!やっと最近言葉を話し始めた燕青!!!!笑
    冷たい人なのかと思ったけど違うよねやっぱり……
    しなやかで優しい人な気がする。晁蓋との会話のシーンで李逵と友達になったって分かったのがきゅぅぅぅんとした。

    好きな台詞
    史進「死は死として受け入れますが、失った悲しみを忘れようとも思いません」
    朱貴「夢が、夢のままで終る。それも悪くない。その夢は、おまえが受け継いでくれる。」
    「夢が死ななければ、私も死なないのだ。おまえが抱く夢の中で、生き続ける」
    朱貴〜〜〜。陳麗と仲良くしてね。

    解説コーナー
    大森望さん。
    水滸伝の書評依頼を受けたけど、十九冊はさすがに入院でもしないと無理ですってメール返した何日か後に心筋梗塞になって入院。読まざるを得んくなり、6日で19巻読んだそう。
    私も友達に読書暴走家と呼ばれているけど、お呼びじゃなかった。大森定六さんとこれから呼ばせていただこう。

  • 4.3

    1日で、というか寝る前の6時間ぶっ通しで1巻分読んでしまった…
    あらためてテンポの良さと、章ごと節ごとの繋がりによる飽きさせなさが凄い作品だと感じた。

    色々ありまくったね〜
    呼延灼の梁山泊入りのときに感じたけど、志を持ったり、人間として大きいやつらは、懐が深くて割り切り方が気持ちいい。
    穆弘をより好きになった。

  • 水滸伝第10巻
    呼延灼率いる代洲軍(官軍)対梁山泊の戦い。
    呼延灼の用いた連環馬の勢いたるや凄まじいもので文章を追うだけで戦の臨場感をたっぷり味わうことができました。
    呼延灼の戦法、敵ながらあっぱれ。
    二人の軍師もいい味出してました。

    されど梁山泊軍も精鋭揃い。大将晁蓋を守る武松と季立と燕青の戦いぶりも見事でした。
    武松&李立のコンビはもうすっかりおなじみで以前から大好きでしたがここにきて燕青も度々登場していい仕事をするように(前からしてた)。李立が気に入るんだから相当いいやつ。なんせ盧俊義の側にいるときは男色の情報ばっかりだったからそのイメージしか持ててなかった。笑 
    今回もたくさん死者が出たのは残念だったけれど、林冲や晁蓋がまだ生きててよかった。

    それに引き換え禁軍の将軍高俅の傍若無人な態度ときたら!呼延灼を戦勝報告に行かせてる間に代州軍を勝手に使って大敗してさっさと逃げるなんてほんとあり得ない!この人に懐柔されてる帝も相当です。そりゃ呼延灼も梁山泊の仲間入りしますわ。

    水滸伝も10巻まで読んで遂に折り返しに。
    ここまで意外とあっという間だったけど内容は濃かったし志を持った男達の成長は凄まじいものでした。
    残り9巻も楽しみ!

  • 梁山泊軍対呼延灼戦。
    ただ一度きりの勝利。
    敵ながら好きにならずにいられない呼延灼将軍!
    そして大砲馬鹿の凌振いい。何かひとつのことに夢中な彼らが好きだ。

    林冲と公孫勝の喧嘩はもはやお約束。
    馬糞根に持ってる林冲可愛すぎかよ。戦ではあんなにかっこいいのに。

    『宋江は、あの弱さもまた愛しているのだ』

    晁蓋の方が魅力的だとおもうんだけど、やっぱりこういう面が宋江の大きさなのか。

  • p.2007/7/23

  • 官軍はついに切り札を切る。地方にある代州の呼延灼将軍が、一度切りの勝利ならば必ず勝てると言う。呼延灼は、韓滔、彭玘とともに、着々と進めていく。
    呼延灼は、凌振の大砲、連関馬の作戦で勝利する。しかし、その後呼延灼が闘いから抜けた後は、梁山泊が勝利する。
    闘い後、韓滔、彭玘は、李逵と武松に捕えられ、呼延灼とともに、闘いの怨念を超え、梁山泊に入る事になる。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    梁山泊の敗北が書かれている印象的な巻となっている。
    その相手は代州で将軍を努めている「呼延灼」。原典においては連戦連勝の梁山泊が敗北する印象的な物語を北方謙三がどのように書くのかをドキドキしながら読み進めた。
    結果としては大満足の内容で呼延灼が「一度だけ勝つ」という目的に対し、「一度だけの奇策」で勝利するというのがスカッとする感じだった。
    しかし、その後の展開で呼延灼が報われないと感じた。
    それ以外だと張青と講和の話が少し気になる。

  • ラスト数10ページ手前で、
    えーーーーん

    って泣いた。笑
    本当に、漫画みたいにね。
    本当に、
    風呂場で読んでたんだけど。
    えーーーーん。って声出して、泣いた。

    呼延灼。

    やってくれたなぁ。
    呼延灼。
    もう、なんだ、もうなんつーんだ、もうさ、
    なんだよ。本当。

    いや、世の中に水滸伝読んだことない人いるとしたら、死ぬまでに読んだ方がいい!!!!!

    本当に。

    人生の半分損するよ。

    これを知らないで生きてきたわたしの四十年に後悔するもん。これ知らずして、よく本好きって言えたわ。
    って、今思う。

    ラスト九巻。

    まじか。読み終えたくない。

    一生読んでたい。


    もったいなくて読めない。

    そんな本ですよ。水滸伝。

    #水滸伝
    #北方謙三
    #こんな天才
    #まじでなんで読んでなかったの?
    #わたし
    #本気で読み逃れてた
    #いや嘘でしょ
    #読んでよかった
    #読まずに死んだらマジで後悔
    #本好きだってよく言えたもんだ
    #水滸伝知らずして
    #恐ろしい

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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