水滸伝 11 天地の章 (集英社文庫 き 3-54)

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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461978

作品紹介・あらすじ

梁山泊の頭領の対立が深刻化していた。兵力をもっと蓄えたい宋江。今すぐ攻勢に転じるべきだと主張する晁蓋。しかし、青蓮寺は密かに暗殺の魔手を伸ばしていた。刺客の史文恭は、梁山泊軍にひとり潜入し、静かにその機を待ち続ける。滾る血を抑えきれない晁蓋は、自ら本隊を率いて、双頭山に進攻してきた官軍を一蹴し、さらに平原の城郭を落とした。北方水滸、危急の十一巻。

感想・レビュー・書評

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  • 梁山泊の二人の頭領、晁蓋と宋江
    好対照の長所と短所が互いを補い合ってがっちりと組み合わさっていましたが、それぞれの持つ譲れない思いから次第に綻びが見え始め、ついにあの時がやってくる第十一巻

    今回も戦の裏側にある、調練や諜報、謀略をしっかり描くことで、物語にとんでもない深みをもたらしています

    クライマックスは『水滸伝』のスーパーアイドル扈三娘の絶体絶命の危機に颯爽と現れ、間一髪で救い出す王英先生です
    カッコいい!
    謙三アニキ!わいの大好きな王英先生をこんなにカッコよくしてくれてありがとう!(´Д⊂ヽ

    王英先生についてはまた後で語りたいと思います

    というわけで、一〇八星ぜんぜん違うじゃん!のコーナー!

    今回は第百六位の好漢、地耗星の白日鼠(はくじつそ)白勝です
    白日鼠とは昼間からつまらない悪さばかりしていることから名付けられたからなのですが、『北方水滸伝』では色白で出っ歯の顔がねずみに似ているからという少し残念な理由も付け加えられています

    特に強いわけでも、一芸に秀でてるわけでもなくそれほど目立つ存在ではありませんが、『北方水滸伝』では獄中で出会った林冲、安道全と硬い友情を結び
    志のためではなく、友のために梁山泊に入ったとはっきりと言い放ち、漢としてのまた違った生き方を示しています

    そしてなんとこの巻では、安道全の元で学んで医師としての道を歩み始めます
    凄すぎです!
    凄十です!

    オリジナルではただの博打好きのチンピラですからね
    まさか白勝を医者にするなんて…やっぱりちょっと頭おかしいな(最大級の賛辞)

    そしていよいよオリジナルにない星も作ってきやがった!w
    てことは全109章あるのかな?

    追記)1巻5章だからどう考えても108章いかんわwそれとも『楊令伝』でも続くのかな?

    • 1Q84O1さん
      バラエティ要因なんだw
      だから、ひま師匠に王英からOh!Yeah!に改名されてしまったんですねw
      バラエティ要因なんだw
      だから、ひま師匠に王英からOh!Yeah!に改名されてしまったんですねw
      2023/09/29
    • kuma0504さん
      史文恭の殺しの理論、北方謙三の発明だと思うんだけど、結局この殺し方がシリーズそのものを大きく動かしたと今になって思うんだよね。今のところは、...
      史文恭の殺しの理論、北方謙三の発明だと思うんだけど、結局この殺し方がシリーズそのものを大きく動かしたと今になって思うんだよね。今のところは、ひまわりめろんさんは分からなくてOK。
      2023/09/29
    • ひまわりめろんさん
      ほほう
      また楽しみが増えましたw
      自分的には史文恭を再登場させるって事自体が衝撃なんですけどね
      ほほう
      また楽しみが増えましたw
      自分的には史文恭を再登場させるって事自体が衝撃なんですけどね
      2023/09/29
  • 本来の水滸伝に存在しない「天地星」創作も北方版ならでは。百八星のさらに上位の星、つまり晁蓋ということだろうが…。まだ加わっていない星もあるのに戦死者は増えるし、官軍は精鋭化するし、もう先行きが危ぶまれる展開。目が離せない。

  • いつもにも増して雑多な書き方になっている殴り書きメモ。

    みんなが無性に楊令に会いたくなるのかわいい。
    楊志の魂を引き継いでるからや!
    楊志の遣った剣が楊令には刻み込まれている
    楊令が子供らしくはしゃぐところを見れて安心した。かわいい。

    孫公勝と樊瑞の死についての会話もよかった。暗殺は運命に対するちょっとした手助け。
    死を友人に喩えるのはどの国も同じなのかしら?ハリーポッターにも出てきたから

    やっぱり麦を待っていた晁蓋
    李忠、、、戦いたかったよね、、、なんで足を切り落とすだけで私は泣いているの

    李応ーーーー!!!!!スキー!!!!!!
    李応の執事という生き甲斐を失った杜興。自分の価値に悩んで、心を病んだ兵たちを苛めながら自分の心を苛めた杜興。でもいざ実戦になると一番に突っ込んで行って誰一人死なせなかった。「腰抜けだ、おまえらは。一度勝ったぐらいで、いい気になるな」「腰抜けが」これは自分に言い聞かせてる言葉だ。
    50にもなって自分の生き方を変えるって、相当ストレスがかかるし、兵の命も握ってると思うと苦しいだろうな……
    腰抜けだとしても生きて戦うことを選ぶ漢たちは格好いい。眩しいくらい。

    本能で動き出す王英に胸キュン。 
    え、晁蓋殿、え、ごさ、え?

    杜興かわいい…
    意地でも主人は李応、これだけで漫画一本いける
    スパ執、、、

    飲み会で史進が兵を持ち上げて投げるの可愛すぎてびっくりした

    史文恭さん、やはり長い暗躍の人生でひねくれてらっしゃるね、彼にとって晁蓋は眩しすぎる
    そして暗闇に引き摺り込むことで自分の物にしたいんだ 自分の名を書いた矢を、なんと、ヤンデレ、やだ、きらい
    小指を噛みちぎられたくらいで、理不尽になにかを奪われたなんて言うなよ、お前はいままでもそして今も私たちの大切な晁蓋を奪おうとしているじゃないか

    顔が見たいって言われて宋江は喜んでたのに
    毒で倒れて目に入るのが木の小さな芽で、もう春なのだと思った晁蓋はこの国の人のことを想っているのに、こんなに陽だまりみたいに暖かくて明るくてそこにいるだけでみんなが安心する、そんな人がいるから志がより意味を持つのに
    宋江が待っているのに
    お願いやから死なんとってよ。。。

    解説コーナー
    心が乱れたまま読んだ解説。今回は水滸伝の原典について淡々と書かれていて逆に助かった。実際の宋での叛乱についてとか。でもあまり頭に残っていない。

  • まったく息つく暇が無い。

    11巻を物語を追ってきて、やはり惹き込まれていると感じる。悪として描かれてきた「国」の側の変化が物語に厚みを持たせている。

  • 水滸伝第11巻
    梁山泊のツートップの一人、晁蓋死す。
    戦ではなく暗殺で殺られるのか。
    晁蓋の戦いぶり、もっと見たかった。
    晁蓋の死はもちろん悲しいのだけれど、それ以上に残された宋江や林冲たちの心中を思うと涙が溢れた。
    晁蓋なき後の梁山泊がどう進んでいくのか、今後の展開にも目が離せない。

  • 原点の水滸伝と比べて、大幅な改訂が加えられているそうですが、原点を読んでいない俺にとってはどうでもええ事やな。
    原点ら読んでなくても充分楽しめる!めちゃめちゃおもろい!!
    原点では妖術とかの要素もあるらしいんやけど、北方版ではそれも省かれたあた。
    俺は小説でそんな魔法とかファンタジー的な要素が入ったあるのは嫌いやし、ましてやこんな熱い話でそんな非現実的要素はいらん。

    水滸伝のストーリを超端的にまとめると、梁山泊百八傑と言うように、108人の豪傑(女性含む)が織りなす一大叙事詩です。腐敗が進む宋において、『替天行道』の志のもとに集いし者達の熱い闘い。


    最初108人の豪傑を全員書き分けれるんかよとか思いやったんですが、そんなんは杞憂でした。
    108人全員が個性的でなおかつ熱い!!
    『三国志』を読んだ時も思ったけど北方謙三という人は、豪傑とか漢とかを書かせると右に出るものはいないのではないだろうか。
    また、全員死に様がかっこ良過ぎる。
    漢とは死に様までカッコ良くなければならないと思いました。
    豪傑達一人一人にすごい愛着が持てたので、そいつらが死ぬたびにものすごい落ち込んだ。

  • 呼延灼戦の敗北が梁山泊に残した爪痕と、兼ねてから勃発していた晁蓋と宋江の意見の食い違いに焦点があてられた巻。

    冒頭の方は、呼延灼戦で負傷した者、友であり兄弟であり仲間を失った者たちが、死とは、生き残った自分(負傷した自分)とは、ということについて悩んだり落ち込んだりしている姿が痛々しくも、梁山泊のメンバー同士が一人一人をよく見ていて支えあっているな、と思いました。
    そこから樊瑞なんかは、致死軍という自分の新しい道を見つけていたりもして、多くの仲間が死んでしまったという現実を、それぞれが受け止めて乗り越えて進んでいくんだな、と、読んでいるこちらも、メンバーの死を悲しんでいるだけではダメなんだなと逆に力づけられました。
    (私は特に施恩が死んでしまって打ち拉がれていたので)

    後半にいくにつれて、晁蓋と宋江が考えるこれからの道について、それぞれの想いが描かれていました。
    二人の描く未来は同じなのに、その過程が食い違ってしまうのは、お互いに辛いことだと感じていて、そこに頭領であるという重圧のようなものが更にのかってきている二人は、本当に苦しいところにいるなあと思いました。思わず、こちらが二人のためになんかいい案はないかと考えてしまうくらいです。
    本人達がやきもきしている分、下もやきもきしてしまうから、早くお互い譲歩しなよ!と言いたくもなりますが……。
    それにしても、今まで私はあまり晁蓋にぐっときてなかったのですが、この巻であまりにも晁蓋という人物がキラキラと描かれているというか、誰から見ても爽やかでかっこよいと思われているので、私もだんだん彼に惹かれてしまいました。びっくり。

    ところで、今回も秦明と公淑の話にはほっこりしました。
    楊令も着実に大きくなっているようで、成長が楽しみです。

    そして、晁蓋が死んでしまった梁山泊はこれからどうなってしまうのか。続きがかなり気になるところです。

  • p.2007/8/22

  • 宋江と晁蓋の対立が深刻化していく。晁蓋は宋江の意見を聞かず、遠征を繰り返していた。
    一方、官軍の史文恭は梁山泊に潜り込んで、晁蓋暗殺の機を狙っていた
    史文恭が矢を射ったとき、張青に見られる。史文恭は、張青に小指を噛みちぎられる。
    ついに晁蓋は暗殺されてしまう。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    水滸伝における転換点の巻になるな。
    全19巻のうち、11巻目にあたる本書は今後の物語の行先を決まる巻であると言えるだろう。
    その巻でこのような結果となったことは梁山泊が大きく動き、それに振り回されるように宋も大きく動くことになる。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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