水滸伝 12 炳乎の章 (集英社文庫 き 3-55)

  • 集英社
4.22
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感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462081

作品紹介・あらすじ

青蓮寺は執拗に闇塩の道の探索を続け、ついに盧俊義の捕縛に成功した。過酷な拷問を受ける盧俊義を救うため、燕青は飛竜軍とともに救出へ向かう。一方、北京大名府に残る闇塩の道の証拠を回収すべく、宋江自らが梁山泊全軍を率いて出動する。それに対して青蓮寺は、雄州の関勝将軍に出陣の命を出した。宣賛と策を練り、梁山泊の盲点を見極めた関勝が静かに進軍する。北方水滸、極限の第十二巻。

感想・レビュー・書評

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  • すごいな〜、すごい!
    この構成力ね、すごすぎる!

    青蓮寺の執念により、梁山泊の軍費を賄う闇塩の道を動かす盧俊義が捕らえられ拷問にかけられる
    盧俊義を救い出すため、浪士燕青と宋江を総大将とする梁山泊軍が動き出す
    といった感じで始まる第十二巻

    人の想いが鮮やかに交錯しまくる『北方水滸伝』、漢と漢の泣かせる絆が全ページに溢れております

    読んで心を震わせるしかないじゃね?と強く訴えたい!

    はい、一〇八星ぜんぜん違うじゃん!のコーナー❤

    今回は第四十位の好漢、地傑星の醜郡馬(しゅうぐんば)宣賛です

    郡馬は郡王の婿と言う意味なので、醜い郡家のお婿さんてことですね
    武芸に優れて功をあげたため、さる王族のお婿さんに迎えられましたが、あまりに醜くかったため、お相手が自殺してしまうという
    ひ、ひどい

    『北方水滸伝』では、いい男で女性にモテ過ぎだために嫉妬され、罪を着せられて捕まってしまう、とまるで真逆です
    ですがその際に受けた拷問により鼻や頬を削がれ恐ろしい顔にされてしまったために普段は黒い覆面をしています

    また、オリジナルでは武勇に優れ、関勝の副将という立場ですが、『北方水滸伝』では軍略に優れた軍師の立場で、本巻でも鮮やかな献策をしています

    そして注目すべきは奥さんです
    金翠蓮という『水滸伝』でも一、二を争う美女と結婚してるんですね
    これがまた出来た女性なのよ

    ちなみにこの金翠蓮、オリジナルではかなり序盤の魯智深のエピソードに登場し、『北方水滸伝』でもそのエピソードに近いかたちではあるんですが、宣賛とは全く関係ありません

    『水滸伝』一の醜い漢と『水滸伝』一の美女をくっつける
    北方謙三アニキ、粋だわ〜

    • ひまわりめろんさん
      汝の隣人を愛せよ
      汝の隣人を愛せよ
      2023/09/29
    • 1Q84O1さん
      イエス・メロンの有り難いお言葉!
      イエス・メロンの有り難いお言葉!
      2023/09/30
    • ひまわりめろんさん
      有難いことしか言えないつまらない漢です
      有難いことしか言えないつまらない漢です
      2023/09/30
  • 闇塩の道をめぐる攻防、特に燕青による盧俊義救出劇はこの巻のハイライトでスリル満点、手に汗握った。他にも宋江率いる攻城戦、関勝の梁山泊入りなど読みどころ満載。寝不足になる。

  • 晁蓋という存在が消えてしまった梁山泊。
    宋江の言葉は、晁蓋の死を受け入れてなかった。これからも一緒に闘うから。晁蓋が嬉しそうに打った刀を携えて。私もそうする。もしこの本を読んだことを忘れてしまったとしても、私の中の見えないどこかで晁蓋は生き続ける。そして私も強く暖かく生きる。それくらい大好きな人だった。

    郁保四と楽和が饅頭を食べて泣き出すシーンがリアルだった。安心するはずのおいしさと暖かさが、逆に張り詰めている気持ちをぷつんと切ってしまう感じ。私もこれ以上泣いていたら梁山泊を追い出されちゃうな。

    少年のころから女にもてた宣賛×金翠蓮ちゃん尊〜〜〜!!!!!!!心通じちゃうラブラブカッポー英傑たちの死の中で一際尊〜!!!ピンク〜〜!!!あ〜!!!!!ハート回復
    (晁蓋の死に嘆く読者のためにこのシーンいれたよね?北方謙三様よ)

    宣賛と魯達の賢さって似てるような気がする、会話のテンポが同じ。
    魯達「片方には死んでもらいたかった」ね。このままじゃ立ち行かないと感じてたんだろうね。でもやっぱり寂しい。魯達に言われると、それもそうだな、、、と思わざるを得ない。

    盧俊義と燕青の関係性が衝撃だった。
    男色なのかと誰かが思う度に燕青に冷たいものを感じていたけど、そういうことだったのか。
    この二人は親子のように感じるって言っていたのは誰だっただろう。李逵かな。李忠かな。李がつく人だった気がする。

    馬の上で史進投げ飛ばしちゃう燕青最強じゃねえ?!?!
    燕青やっぱり最推し。私、見る目あるな。

    関勝と宣賛、天晴れ。
    韓滔が雄々しく死んでしもうた。やっぱり片方が先に死んだ。韓滔の話し方がとっても好きだった。安心させてくれる雰囲気。彭玘が真似してみんな笑っていたけど、最後に滴を落とした呼延灼、無理して笑ってたんや。本当に大好きで信頼してた人やったんやね。
    人間らしくて良いな、呼延灼。

    解説コーナー
    前半の解説は基本的におもしれー!すげー!北方水滸伝!だったのが後半になって内容が変わってきた。すげー!おもしれー!はもうここまで読めば分かるでしょ?ほなちょっと違う切り口で水滸伝語っていきましょか。の解説。
    中国での夢は絵空事、かなわないことの意味だけれど、北方謙三は水滸伝に壮大なドリームを描いた。中国版水滸伝と対照した小説の書き方の違い、などなど興味深い内容でした。

    「北方謙三は水滸伝の英雄たちに夢を与え、読者たちには眠れない夜を与えた」

  • 4.2

    青蓮寺側にさえ「惜しい」と言わせる英傑、晁蓋。
    晁蓋は宋江の事だけを想って死んでいったけど、宋江も同じだったんだな。
    この2人の関係は魯達と宣賛の会話がメーチャメチャ腑に落ちた。魯達の言語化能力高すぎ。

    それと関勝ファミリーすーげえ愛おしい。
    超絶ブレインの宣賛が呉用を助けるのも楽しみだし、関勝×呼延灼との夢の共闘も楽しみ。
    どこに配属されるんだろか。

  • 晁蓋暗殺の喪失感が消えないうちに、青蓮寺により盧俊義が捕えられる。そして、燕青の決死の救出劇と明らかになる二人の関係性。
    どうしても、ダイナミックな合戦に目が行きがちだが、その裏で繰り広げられる青蓮寺との暗闘も緊張感とスピード感があってかなりアツい!
    朱冨の店での語り合いも絵になる場面。
    酒を酌み交わしながら感情や弱さを吐露する男たち。それを見守る店主。男心を掴まれる名シーン。

  • 晁蓋という梁山泊のひとつの支えを失ってしまってからのお話。
    私は、晁蓋が死んでしまって、かなりショックを受けてなかなかこの巻を読み始めることができていなかったのですが、この巻を読み始めると、皆が己の悲しみややるせなさ不安と闘いながら、それぞれの役割を果たそうと必死に過ごしていて、その姿に読んでいるこちらが元気づけられました。

    そして、頭領が宋江一人になってしまった梁山泊は、盧俊義の捕縛という大きな危機に見舞われるのですが、ここで活躍するのが燕青です。盧俊義の従者としてずっと傍にいた燕青。二人の関係性、過去が明らかになり、燕青の盧俊義への並々ならぬ想いが盧俊義を救出することになるのですが、この時の燕青はすごくかっこいいです。今まで燕青は、いまいち人物が掴めないような感じだったのですが、こういう形で燕青を知ることになるとは、と驚愕しました。と、同時に燕青がかっこよすぎて好きになりました。これで美青年っていう設定はずるい!です。女の子の読者は好きになっちゃうんじゃないかな、と思いました。
    燕青自身の話だけではなく、周囲の人々の燕青に対する気持ち、評価みたいなものがちょこちょこ出てくるのも、良かったです。盧俊義を通しての燕青ではなく、燕青自身が梁山泊メンバーと近づいている気がして、うんうんとなりました。

    最後の、韓滔の死に胸を痛めている呼延灼将軍の姿は辛かったです。普段強くて厳しい人も、大切な人の死にはもろくなってしまうんだな、と。

  • p.2007/9/21

  • 官軍により闇塩の道探索が続けられていた。ついに、盧俊義が捕縛される。過酷な尋問に耐え続ける盧俊義を燕青は、飛竜軍とともに救出に駆けつけて、王英とともに、助け出す事に成功する。
    一方、雄秀の関勝将軍は、堂々と梁山泊に入場する。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    晁蓋が死んだことは宋江に大きな影響を与えたようだ。
    打って出るタイミングのことで対立していた二者だったが、一方が消えることでもう一方も方針を変えざる得なくなったということだろうか。
    青蓮寺は第一巻から追い続けた闇塩の道を突き止め、盧俊義の捕縛に成功した。盧俊義もここまでかと思ったが、燕青の超人的な行動で救出できた。
    全軍で出撃した宋江は梁山泊の盲点を見極めた関勝に一杯食わされたが、関勝に梁山泊を攻撃する意思はなかったようだ。

  • 梁山泊の生命線である闇塩の道を取り仕切る魯俊義が捕縛され、拷問を受ける。全軍で救出に向かう梁山泊軍。奇跡の救出ストーリーが12巻のクライマックス。
    ここから終盤にかけて、官軍と梁山泊軍との決戦の場面が増えるのだろうな。北方謙三の得意とするストーリー展開、描写が楽しみ。

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著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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