天使の梯子 Angel's Ladder (集英社文庫)

著者 :
制作 : 小瀧 達郎 
  • 集英社
3.58
  • (152)
  • (305)
  • (449)
  • (39)
  • (8)
本棚登録 : 2400
レビュー : 197
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462210

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 姉をなくした夏姫が主人公。
    亡くなった人に対して誰でも後悔はあるわけで。それでも、その後悔を持ち続けていくしかないけど、それでその故人まで縛り付けていることに気付く。
    それでその人を思い出さないで、悲しむ気持ちに蓋をしたらかわいそうだと。
    その通りだと思ったなあ…
    それぞれの悲しみを抱いた皆が、確実に再生へ向かっていく物語。

  • 「天使の卵」から10年後の夏姫と歩太。
    おばあちゃんに投げかけた最後の言葉が悪態になってしまった慎一を夏姫が包み込むシーンからはじまる物語は、夏姫を救済する物語でした。
    夏姫が恋した慎一は、皮肉にも姉の春妃と歩太の年齢差と同じく8歳年下。因縁めいたものを思わせる巡り合わせですが、春妃と同じような恋をしてどんな気持ちを相手に募らせるのか身を持って感じたことが何よりの良薬だったのでしょう。二人には別れることなくいつまでも寄り添っていてもらいたいものです。
    一方の歩太は、10年で随分と逞しくなったものです。男性ながら歩太には格好良さを感じずにいられません。

  • これも、「卵」どうように、今回が初めてではない。読んだのはハードカバーが出版されてすぐだったから…2004年か。歩太たちにとっては10年後、わたしは3年後の、再会だった。
    10年経ってなお、責めを負って生きてきた夏姫と、未だ心は春妃とともにある歩太、そして夏姫が教師をしていた頃の教え子である慎一。慎一と夏姫の年の差は、歩太と春妃の差そのままだった。
    時が経つことの意味は、こうして知るのかもしれない。忘れられないことなんて山のようにあるし、後悔し続けることもあるけれど、それを負うことが答えだと自分で見つけてしまったら、時と共に責と共に、生きていくしかないのだ。自分で自分を解き放ってあげられる、その瞬間に出会うまで。
    読み返しているのに、初めて読むわけではないのに、不思議なほど心が打たれる。「打たれる」というのがこういうことなんだと、この「天使」シリーズを読むと実感させられる。

  • 2019/2/5~2/7

    バイト先のカフェで耳にした懐かしい声。それはフルチンこと古幡慎一が高校時代に思いを寄せた先生、斎藤夏姫のものだった。8歳年上、29歳の夏姫に、どうしようもなく惹かれていくフルチン。だが彼女は、体はひらいても心を見せてはくれない。10年前の「あの時」から夏姫の心には特別な男が棲んでいるのだから―。傷ついた心は再生するのか。愛は蘇るのか。それぞれの思いが交錯する物語。

  • 恋愛をテーマにしたお話が昔からとにかく苦手で、読み始めても途中で投げ出してしまうケース多々あったのですが、こんな感じで静かに一定の速度で流れていくお話は自分の日記を読み返しているようなそんな錯覚に陥り、深く深く読み入ってしまった。そして、静かに涙を流しながら読んだ。冬から春へと季節が流れるような、静かで温かいお話だった。

  • 読んでよかった。前作の読後感の悪さを、すすいでくれる解毒剤のようだった。
    解説によると前作今作を、恋敵となった妹視点で書き直した作品があるとわかった。
    前作のような読後感だったらどうしようと心配しつつもどんな見え方がするのか読んでみたい自分がいる。

  • 天使の卵の10年後。
    大学生古幡慎一とおばあちゃんが新しい登場人物。
    精神科医で歩太と付き合ってた春妃の死後10年が経ち、夏姫は高校の教師をしていたが辞めて信販会社に勤めていた。カフェで偶然かつての教え子の慎一と出会い付き合うようになる。夏姫の言動に不安を覚えた慎一は歩太と夏姫の関係を疑う。慎一は偶然を装って歩太と出会う。
    夏姫や歩太は春妃の呪縛から卒業を決意する。

  • 古幡慎一 21歳、大学生
    ばあちゃん 75歳、タカノ理容室
    父:洋一
    母:七恵
    斎藤夏姫 29歳、元高校教師、信販会社勤務
    春妃 享年27歳、精神科医、夏姫の8歳上の姉
    一本槍歩太 29歳

  •  私が村山さんの作品に出会うきっかけとなった『天使の卵』。あれから10年後の世界を描いたのがこの作品です。

     作品の登場人物にとっても10年が経っていますが、実世界でも10年経っているというのが面白いところ。もちろん、読んでいる私も書いている作者の方も10歳、年月を重ねたことになります。

     『天使の卵』では恋人歩太にふられたばかりか、姉に歩太をとられ、しかも、姉が急に亡くなってしまうという役どころだった夏姫が、この『天使の梯子』では、姉と歩太と同じ、8歳年下の彼氏と付き合うという設定がなかなか面白い。姉の恋を追体験することで、夏姫にも大きな変化、成長のきっかけが訪れる。

     夏姫の彼氏はフルチンこと古幡慎一。正体不明の歩太と夏姫の関係を疑い嫉妬する。慎一が自分に自信がもてず、相手の言動に振り回されるのは、とてもよくわかるう気がします。読者は第三者なので、双方の気持ちが見えてしまっているわけですが、私が慎一だったら、きっと同じような感情に悩まされていたことでしょう。

     ちょっと残念だったのは、『天使の卵』のストーリーがわかっていると、夏姫の相手が誰なのか、想像がついてしまうところ。それでも、ちょっとしたどんでん返しが待っていますが、『天子の卵』を読んでいなければもっと楽しめてたかも。

     石田さんの解説がとてもいいですよ。p.294 『天使の卵』は死者の物語。『天使の梯子』は生者のものというとらえが絶妙。村山さんの気持ちの変化を上手に読み取って解説してくれています。

     というわけで、続編とかカバーには期待外れのものが多いですが、村山さんの作品には外れはありません。ぜひ皆さんも一度読んでみてください。

  • 2017.7.20

全197件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

村山由佳(むらやま ゆか)
1964年7月10日生まれ、立教大学文学部日本文学科卒業。不動産会社、塾講師などの勤務を経て作家となる。
1991年 『いのちのうた』でデビュー。1991年『もう一度デジャ・ヴ』で第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞佳作、1993年『春妃〜デッサン』(『天使の卵-エンジェルス・エッグ』に改題)で第6回小説すばる新人賞、2003年『星々の舟』で第129回直木三十五賞、2009年『ダブル・ファンタジー』で第4回中央公論文芸賞、第16回島清恋愛文学賞、第22回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞している。ほか、代表作として『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズがある。

天使の梯子 Angel's Ladder (集英社文庫)のその他の作品

村山由佳の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
有効な右矢印 無効な右矢印

天使の梯子 Angel's Ladder (集英社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする