さようなら、コタツ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.28
  • (11)
  • (48)
  • (85)
  • (20)
  • (2)
本棚登録 : 383
レビュー : 57
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462234

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 完全なるタイトル買い。
    ちょっとシニカルで、ぞっとするような場面も時々ある、中島京子ワールド。な、7つの短編集。

    表題作は、15年ぶりに自分の部屋に恋人(未満?なりかけ?)の男を招待することになった36歳の女性が主役。
    しかもそれは自分の誕生日で、出張終わりの彼が夜に来る手筈なのでそれまで部屋の掃除やら料理やらに張り切るのだけど、時間になっても彼は来ず…。
    もう“いい大人”であるはずの主人公の由紀子の奮闘ぶり(と言ってもちょっと醒めてて、だけどどこかが興奮しているようなおかしなテンション)を醒めた視点で描いている。
    由紀子の行動を見ていると、少し切なくて愛おしくなる。そしてラストはほっと出来てひと安心。
    その他にも、ある相撲部屋の1日を描いた「八十畳」や、婚約者と暮らす部屋に昔の彼女を招いた男の悲喜こもごもを描いた「陶器の靴の片割れ」など、すべて“部屋”にまつわる物語になっている。
    少しの物悲しさと、そこはかとなく漂う“客観”の雰囲気が面白い。

    人ってけっこうおかしなことやってるんだよなぁ、と思う。自分ではおかしいと思ってなくても他人から見たらおかしかったり、その逆もあったり。
    日々色んな人と接していると、“普通”の人も存在しない、と感じる。言ってしまえば世の中の人間はみんなそこそこの変人だ。笑
    そういう、よくいるんだけど普通ではない人々が織り成す、日々の悲劇だったり喜劇だったりが詰まっている作品のように思う。
    他人から見たら大したことないことでも、その人的には大事件だったりとか。繋がっていてもやっぱり他人は他人よね、と思うこととか。

    こういうの書いてみたいな、と久々に思った。大して事件なんて起こらない物語のほうが、難しくて書き甲斐がありそう。

  • 序文に本作のサブタイトルは〝へやのなか〟であると書かれてある通り、これは7つの部屋で繰り広げられる、人生のひとコマを切り取った短編集です。
    そこに住む人、訪ねてくる人、転がり込んでくる人。そこで人が暮らすかぎり、それぞれの部屋でそれぞれの物語が生まれます。ここに登場するのは、取り立てて特別な境遇にある人たちではありません。ごくありふれた人たちの、ごくありふれた日常が描かれています。せつないような、愛おしいような、とても味わい深いお話でした。

  • 表題作を含む「部屋の中」をテーマにした7つの短編集。

    「好きな短編が二作あれば、短編集はそれで十分に思う」
    解説で伊集院静 が言っている。私は案外、短編集好きなので、その言わんとすることはなんとなくわかる気がする。二作無くても、一作でも好きな、良い!と思える作品があれば十分だと思う。損した、と思う人も多いみたいだけれど、その一作から広がる世界って結構あるよ。

    「ハッピー・アニバーサリー」がわりと好き。
    中島さんがこういう世界書くんだ〜 と。父親の戸惑いが面白くてせつない。

  • 全体を通じて私小説的。日常の断片を綴ったような短編なのだが、いつ「救助隊」が来るのかな? などと他の著作と混同してしまったwww 次に思ったのが「で、オチは?」ということ。それぞれの物語が中途半端に終わりにされている感じがして、読了後の爽快感がない。どれが良かったかを問われて、強いて答えるなら「私は彼らのやさしい声を聞く」かな。

  • 中島さんの、またまたタイトルがユニークな作品。
    色々な人が住む「部屋」を舞台にした短編集。
    切なくなってしんみりしたり、可笑しくて笑ったりと部屋の数だけ物語がある。

    特に笑ったのは最初の短編。
    独り暮らしの娘の部屋へやって来た父親に頑張れ‼と声をかけたくなった。

    一番好きなのは表題作。
    15年間使っていたコタツにさよならする女性。
    彼女に決断させた事とは…!?
    エピソードの数々に笑ったり頷いたり。
    句読点のない文章が彼女達の人となりをよく表していて面白い。

    沢山笑って、でもラストはほんわかした気持ちになる。さすが中島さん!

  • 部屋とそこの住人にまつわる短編集。短編集は読みやすいからやっぱり好き。表題『さようなら、コタツ』の主人公女性の心の動き。自分を励ましてみたりつっこんでみたり。よく表現できている。恋をしてるとさ、どんなに強い人間でもフラフラ動いてしまうんだよね。周りの意見も妙に耳に入ってくるし。でも結局は自分で決めて、自分で行動していかないと変わらないしさ。この女性、ほんとよくがんばった。そして温かみのある結末でほっとした。よかった。ハッピーエンドは嬉しい。たとえ虚構の世界でも。絵に描いたような幸福、味わってみたい!

  • 「さようなら、コタツ」が特に良かった〜。
    他の短編もそれなりに楽しめた。

  • 家にまつわる、ほっこりまったりな短編集。

  • タイトルとなっている「さようなら、コタツ」が一番よかった。
    あーわかるなぁと思い、思いっきり感情移入してしまった。
    「ハッピーアニバーサリー」も良かった。ちょっと可笑しくて可愛いらしかった。

  • 「ハッピーアニバーサリー」「陶器の靴の片割れ」が良かったです。

全57件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

中島京子(なかじま きょうこ)
1964年東京都生まれの作家。『FUTON』でデビュー。著書に『小さいおうち』(直木賞)、『かたづの!』(河合隼雄物語賞・柴田錬三郎賞)、『長いお別れ』(中央公論文芸賞)等。2019年5月15日、新刊『夢見る帝国図書館』を刊行。

さようなら、コタツ (集英社文庫)のその他の作品

中島京子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三浦 しをん
東野 圭吾
中島 京子
伊坂 幸太郎
有効な右矢印 無効な右矢印

さようなら、コタツ (集英社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする