I'm sorry, mama. (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.23
  • (49)
  • (124)
  • (301)
  • (58)
  • (18)
本棚登録 : 1371
レビュー : 172
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462302

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 人の悪事が暴かれるまでに、こんな余裕はないんだけど、
    うっかり完全犯罪に成功し、最終的にクリーニング屋の権利を獲得して
    しまうんじゃないかと思った。
    アイ子は極悪人だけど、被害者も、その他の登場人物も善人なんて結局一人もいなかったわけで、誰が可哀相とか感情移入すべき人物を見出せなかった。

  • 超ド級の不幸な女の「ママ探し」の人生。娼館に生まれて親を知らずに育ち、養護院を出てからは自分の身体一つで浮き草のようにフラフラと生きる先で、憎しみの矛先を周囲の人間に向けていく。トンズラした先ではまた盗みと人殺し。でも、別に人殺しの物語ではない。
    とばっちりを受けるのは彼女と交差した人たち。でも、交差した後はアイ子の過去は、いつだって真っさら。足がつきそうになったら足跡を消して歩いてるだけで、人は消すのが一番手っ取り早い。
    考えないで、欲望のままに行動する。動物的な第6感だけはふつう以上に発達してる。
    アイ子にとっては、とくにそれが刹那的な生き方っていうわけでもなく、意識的に自堕落っていうわけでもなく、そうやってなんとなく生き延びてきた人生。こんな感じの女なので、笑っちゃうくらい悲壮感がない。

    アイ子は悪意で破裂しそうなくらいだけど、女がしぶとく生きる道は、大股開きで何でも来やがれ、と周囲をにらみ返していくことなんだろう。まあ、もちろん現実の世界ではこう簡単にはいかないけれど、それしかなかったら私だってそうするかもしれない。いや、しないかもしれない。
    悪のヒロイン、アイ子に対する嫌悪感と女としてすぅっとする感じ。戦う女を描かせたら超一級の桐野夏生らしい物語。

  • 2018.03.28.読了
    悲しい女達の話。
    隅田川近くの娼館で育ったアイ子を中心に話は展開していく。
    登場してくる女達の人生に悲哀が溢れる。
    アパ社長登場に(笑)

  • グロテスクなくらいのエゴに満ちたドロドロした人間関係を露悪的に描く、著者の得意技とも言えるジャンルの作品。今回の主人公も不幸な生い立ちを斟酌してもなお、酷い振る舞いを重ねて行く。呼んでいて心地よいわけでもないのにページを捲る手を止められない、不思議な感覚は著者のストーリーテリングの妙だとうか。最後まで救いは無いし、何かが残るという感じもなかったが、がっかりでもなく、確かに面白い作品ではあったなという印象。不思議な作品である。

  • あまり長くないので、滝みたいな勢いでいっきに駆け抜けるように読み終わる。善かれ悪しかれ、立ち止まって停滞する瞬間がない。
    その分、著者に特有の人の悪意や嫌な部分についてのねっとりとした描写も抑えられている。そこまで深入りせずに、とにかく前に前に進んでしまう感じ。
    著者の人間観は、内面や心理描写ではなくて他者との関係の中に人間の嫌な部分を見出してゆくというものだと思う。本作は、ものを考えないという主人公を造形したことによって、そのような人間観がより徹底している。ぐじぐじ悩まずに乾いた行動規範にもとづきただただ動き回って人を殺したり誘拐したりしてゆく主人公は正義や美しさに背を向けた負のハードボイルド。犯罪にも逃亡にも美学が一切ないのがすごい。

  • この人は引き込むのが上手いな〜。一気に読みました。

    なんでタイトル英語にしたんだろう?
    米兵、娼婦とか、そんな背景含め?

  • モンスターアイ子。
    娼婦の館で育ち、親もいない。
    館が潰れたら児童養護施設で育つ。
    人を恨み、容赦なく牙を剥く。
    最後にはアイ子についての真実がわかるが、不幸な生い立ちを抱えていることは辛い。
    怖いのに引き込まれる要素が満載。

    2018.1.25

  • 結局アイコって?

  • 持っていないものをやたらと欲しがる。自分がもっていないものはとにかく素晴らしいものだと思う。
    それは完全なる間違いだと諫めて生きていこうと改めて思う。
    無いものは無い、で、ゆっくり歩いて行く。

  • すごく壮絶なお話。だけれども、とても読みやすかったです。

    虐待というものは、起きて欲しくないものです。
    しかし、人は誰しも何かしら悩みがあり、解消できないと大きな問題になってしまうものです。
    虐待も、同じで、難しいものです。

    ただ、一つ言いたいことは、虐待をしてしまった人、この話では母親ですね。この人が一概に悪いとは言えないということです。
    勿論、子どもにはなんの非もないのですから、親が悪いです。
    でも、親だって何かしらの事情や問題があり、それを解消するための道がないことが悪いんです。
    相談できる場所や人がない、そんな環境が悪いんです。
    それを声を大にして言いたくなりました。

全172件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。成蹊大学卒業。1993年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、1998年『OUT』で日本推理作家協会賞、1999年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、2004年『残虐記』で柴田錬三郎賞、2005年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、2008年『東京島』で谷崎潤一郎賞、2009年『女神記』で紫式部文学賞、2010年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、2011年同作で読売文学賞を受賞。2015年、紫綬褒章を受章した。近著に』『奴隷小説』『抱く女』『バラカ』など。

「2016年 『猿の見る夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

桐野夏生の作品

I'm sorry, mama. (集英社文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする