谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)

著者 :
制作 : くまおり 純 
  • 集英社
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本棚登録 : 1115
レビュー : 108
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087462494

感想・レビュー・書評

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  •  「お這いり」この一つのセリフに谷崎と登場人物の顔が凝縮されています。 人の肌や声に関する描写が緻密で美しい。谷崎の目線を思わせるような、艶のある映像が頭の中に浮かんできます。

  • おもしろい、これは人に勧められる。

    描写力はすごいし、叙述トリックはあるし、
    堪能した!

  • 〈真〉や〈善〉との紐帯から解き放たれ自律した〈美〉、〈悪〉や〈狂気〉や〈死〉と結び付けられる〈美〉に陶酔沈潜して、世俗の市民的価値観の垢が雪がれていく。

    "恐ろしい薬だから綺麗なんだわ。悪魔は神様と同じように美しいッて云うじゃないの"(「白昼鬼語」)

    探偵小説の本質を云々する渡部直巳の解説は、衒学的な文体が不快感を催すが、なかなか興味深い。探偵小説とは、作者に対する読者の劣位と云う読書行為に内在する構図を最大限に利用するジャンルだ、と云う。予め語られる全てを知悉している作者と、語られつつあることを追うことによってしかそれを知ることが出来ない読者。そして作中に配される真犯人・探偵・視点人物等々のうちの誰に、作者の優位性を与えるか・読者の劣位性を共有させるか、そのヴァリエーションによって様々なスタイルの探偵小説が立ち現れてくることになる(しかも、作中人物のこの役割分担は物語の途中で変化していくかもしれない・・・)。ここで重要なのは、この役割分担自体が、読者にとってはその劣位性によって予め隠蔽されている"謎"であるということだ。そこに、クリスティ「アクロイド殺人事件」や谷崎「途上」の面白さが成り立つ要因が在るのだと云える。

  • 愛すべき変態…と、いうところだろうか。谷崎ファンに聞かれると怒られそうだけど、私は谷崎さんが大好きです。

    全編を通して、嗜好が掻き立てる衝動が描かれていて、新しい「犯罪小説」集だったと思う。

  • 艶かしい女性描写を期待して読んだせいか、描写の穏やかさに肩透かしを食らった感じでしたが、最後に収録されている「白昼鬼語」の登場人物が誇大妄想により繰り広げる、事件への推察は、狂気を感じられて秀逸でした。

    「白昼鬼語」のためだけにでも読む価値はあったかな。

  • ・柳湯の事件
    ・途上
    ・私
    ・白昼鬼語

  • こんな谷崎潤一郎もあったのか。
    とも思えるし、
    やはりこれぞ谷崎潤一郎と思わせる描写も山の如し。

    女性の描写、とくに艶めいて香ってきそうな描写は
    谷崎潤一郎の右に出るものはいないのではないかと思ってしまう。


    単に事件を解決するよりも、
    人間の内に潜む恐ろしさや、弱いところが
    引っ張り出されて書かれたかんじ。

    スリル満点で面白い。まったく古さを感じない。

  • 『私』、同じ人種かもしれない。

  • 今までに読んだ谷崎の作品の中で一番好きです。
    今までに読んだミステリ短編の中でも1、2を争うと思う。

  • 2009/1/4購入

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著者プロフィール

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2018年 『父より娘へ 谷崎潤一郎書簡集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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