すきまのおともだちたち (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (2008年5月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784087462937

作品紹介・あらすじ

小説と絵が織りなすファンタジックストーリー
旅先で「すきま」に迷い込んだ私を助けてくれたのは、小さな女の子とおしゃべりなお皿。元の世界へ戻れない私と、不思議な魅力に満ちた彼女たちとの間には、いつしか友情が芽生えるが…。(解説/東 直子)

感想・レビュー・書評

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  • 不思議な世界観だけどほっこりする。

    当たり前ってなんだろうと考えさせられる。

    間に入る絵も、文章もスっと入ってきて
    1時間程度で読み終えた。

  • 装画の こみねゆら さんの
    優しいタッチの挿絵が、
    フルカラーで20枚以上入ってる
    160頁位のお話

    デビューが童話作家の江國さんが、
    おとぎ話のような児童文学のような
    優しくも儚い文章で織りなす物語

    話しは全然違うのに、
    何故か『モモ』を思い出した

  • 江國香織さんの童話を初めて読みました。初めは童話作家としてデビューされたんですね。恥ずかしながら、初めて知りました。

    表紙の女の子がちょっと大人っぽい感じで気になり、思わず手に取った本です。こみねゆらさんの絵の色づかいや雰囲気が、すきまの世界にぴったりあう感じでした。

    時間と時間の間のすきまに、こんな世界があったらと、想像が広がりました。始めは現実から離れがたく帰ろうとするけれど、徐々に居心地がよくなっていくのが、わかる気がしました。「私」をお客様として迎えてくれた女の子とお皿さんは、当たり前のことをそのまま受け入れる素直な心を思い出させてくれたように思いました。

    何年か1度にすきまのおともだちたちと会える時間は、現実から離れて、しかも自分は年を取っていくのに、女の子たちはずっとそのまま。だからこそ、行くたびに素直な気持ちになれる場所のような気がしました。それでも「私」が言うように、「旅が素敵なのは、帰る場所と帰る方法があるからこそです。」と、いうのが、この場合にもあてはまるように思いました。

    素直な気持ちを忘れがちなので、私もすきまの時間に落ちてみたいなあ、と思えるような素敵な童話でした。

  • 江國さんの童話をよむと、なんでこんなに素敵なお話しがかけるのだろうといつも思ってしまいます。
    この物語の女の子は、生まれたときから両親もなく、1枚のお皿と、レモネードを作ったり、針仕事をして暮らしていますが、淋しくはないのかな。なんでこんなに凛としていられるのかと思いました。そしてなんでこんな小さな女の子の口から、こんなすごい言葉がでてくるのかとも思いました。

    話は変わりますが、今年の初めに出版された江國さんの童話集は、再読のものも多かったのですが、あまりのすばらしさに感激して、思わず、海外にいる絵本作家の友人に手紙を書きました。そしたらやっぱり彼女も「江國さんが好きだ」という返事がきました。彼女とはかれこれ数十年余のお付き合いですが、江國さんのことを話したのは、初めてでしたが、とても嬉しかったです。実際に会って話した回数より、お手紙を交換した回数のほうがずっと多いんです。
    彼女はこの本に出てくる女の子のような生意気な言葉づかいは全くしない穏やかな人ですが、凛としたたたずまいや、立ち姿、いつもスカートをはいている姿。そして、いくつになっても彼女は小さな女の子なのに、しっかりと自立しているところが、まるでこの女の子のようだと思いました。
    昔々、彼女の自宅に招かれて、チャイをいれてもらったことがあるのですが、それがとびきりおいしかったのが忘れられなくて、江國さんの物語に出てくる紅茶と同じだったからだ。とこれを読んで気づきました。
    私は江國さんの文章ではデティールが一番好きです。ただ「パン」だとか「紅茶」だとかかかれているだけなのに、すごくおいしそうにみえます。

    「ギンモクセイの茂み、レモンの木の生えた庭、なんでも一人でてきぱきとこなす、「小さなおんなのこ」すきまから落ちたときにだけ会える、彼女は私の勇ましい友人です。」という最後の一文を読んで、私も地球の裏側のサンパウロに住んでいる彼女に、今年もお手紙にクリスマスカードを添えて送ろうと思いました。
    最近、手紙がこないけど、元気にしているでしょうか。

  • 行ったことある、と思った。
    昔、夏休みが何週間もあった頃。暇を持て余してただぶらぶらしていた子供の頃。
    思い出の中にある名前も忘れた"街"たち。
    あの頃の時間はもう過ぎ去っていて、ただ私の記憶だけがそれがあったことの証明。
    時々不思議になります。もう二度と戻ってこない過去の時間。

  • 絵本のような物語。
    これはひょっとしたら女性にしか分からないことなのかも。
    日常生活を送っていて、不意に滑り落ちる「すきま」。
    異空間のようなもので、時は止まったまま。
    いつ滑り落ちてもそこだけは永遠に変わらないでいてくれる大切な「空間」。
    こちらが結婚しても母になっても祖母になっても、「すきま」の住人達はそんな事お構いなしにいつでも温かく迎えてくれる。
    こういう心の拠り所って生きていく上で大切だ。
    誰にも言わず誰にも知られず「女の子」は何度だって旅人のようにそこへ行き元気を貰い、帰るべき場所へ帰ってくる。
    きっと私も。

  • 江國さんの作品は、不思議で物寂しいくもありつつ、ほっこりする。

    この作品を読んで一番印象に残ったのは、「記憶(思い出)と成長」だった。私の中にいる他人の印象はいつだって過去のものであり、現在のものではない。だから、アップデートする必要があるのか、ないのか、それはよくわからない。

    年月が経ったら、再び読み返したい。

  • 可愛らしい絵に非日常が描かれている。
    すきまの世界は特別な出来事はおきないけれども変わらずに存在している。
    変わらずにいてくれる、それは安心な世界、特別な世界。

  • すきまの時間は、現実よりゆったりと流れている。
    女の子はいつまでも女の子のまま。
    お出かけの用意が周到で、しっかりものの、ちょっとおませな女の子との旅は、ほほえましくて、楽しくて。
    忙しい現実のすきまに、こんなかわいらしいおともだちがいるなんて素敵です。
    「旅はいつか終わるのよ。」と、時々釘をさしてもくれます。
    こんな世界を、年老いてもずっと持ち続けていたいです。

  • こみねゆらさんのイラストと共に、優しい色使いの世界に心洗われる絵本のような小説。

    固有名詞の少ない物語に不思議な浮遊感を楽しみながら読み進めた読後、ふと1つ印象的だった単語を調べて、再び現実から物語の世界観に引き戻されてる今… 最高。

  • はじめて江國さんの作品に触れました。すきまの中で展開される物語はなんだか不思議な感じがしつつもこんな世界をつくれる江國さん、他の作品も見てみたいと思いました。

  • 大人も楽しめるファンタジー小説。
    柏葉幸子さんの『霧のむこうの不思議な町』のように
    この感じの小説は
    不思議な町へ行くのは一度きりで
    二度と戻ることができず、
    あれは夢だったのかしら、と思うラストになるのですが
    (『千と千尋の神隠し』もそうでしたね)
    今回の物語は不思議な町に何度も主人公の女性が行く。
    その町に行くタイミングと現実に戻るタイミングは
    彼女が決めることができない。

    不思議な町にいる間は
    彼女は現実の世界の中で
    あくせく追われているようなことからも解放され
    とても大らかで寛容な気持ちになっている。

    誰にも知られないうちに
    隙間に落ちるかのようにして行ってしまう
    不思議な町。

    白昼夢のようでもあり、
    でも現実につながる確かな部分もあり。

    そんな町に
    いつか行くことがあるだろうか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      こみねゆらのイラストが気になってるのですが(単行本の時から) 。なかなか読む気になれなかったのですが、、、
      目の端に入ったhonnooboe...
      こみねゆらのイラストが気になってるのですが(単行本の時から) 。なかなか読む気になれなかったのですが、、、
      目の端に入ったhonnooboegakiさんレビューから、やっぱり読もう!と思っています。。。
      2012/07/11
  • 主人公がすきまの世界に落っこちて、戸惑いながらも記者さながらの冷静な観察眼?と事実をありのままに受け入れる能力に、こちらが取り残されそうになる感覚になりました。
    でもそんな主人公が、すきまに順応してきつつも時々帰りたいモードになり女の子にかけ合うところはとても切なくなり主人公の人間らしさを感じました。さながら認知症の方の帰宅願望のようで、もどかしくも切ない感じ。すき間から現実世界に戻ったときに時系列がぴったり戻る状況を信頼できるのなら、
    夢をみてるような感じともとれるし人生2倍楽しめるな。生意気な女の子や皿とうまくやれる自信もないけれど(笑)
    すきまの世界観自体は、世界名作劇場の調度品などが連想され、行ってみたいとは思います(笑)



  • 古本市で買ったので、ブックカバーに書かれた一文に惹かれて読み始めた。のんびりファンタジーかとおもいきや、なんだか胸にしみるいい物語だった。江國さんはやっぱり最高。

  • 現実をありのままに受け入れること。
    女の子は女の子だし、電車に乗ればどこへだって行けるし、年を取った犬には新鮮なバターの塊が必要なのだ。
    すきまに落ちて、迷子になることも、旅をすることも、私たちの人生には有り得ること。そういうことだってある。なんだってある。それが人生。
    お客様は選べないし、人生も選べないけれど、そういうものだと受け入れてしまえば、楽になることもある。

  • 突然全く知らない場所にいたらそれは迷子。だけどそこに住む小さな女の子やお皿にもてなされ、それが繰り返されたらそこは親しみのある場所になる。隙間に落ちた時にだけ会えるお友達。
    だけど客人が突然いなくなるから、小さな女の子はきっと寂しいね。

  • ひさしぶりの江國香織ワールドに浸る。短いのでさらっと読める。不思議な世界。でもすぐ隣にあるんじゃないかとも思える。私もすきまに落ちてみたい。

  • (あらすじ)
    新聞記者の「私」は出張先の仕事を終え、電車の時間があったので街をぶらぶらしていた。ところが帰り道がわからなくなり、ある家の前に辿り着いた。そこには9歳の女の子が生まれた時からずっと1人で暮していた。

    女の子は「私」を親切にもてなしてくれた。彼女は生まれた時から両親がおらず、庭のレモンの樹からレモネードを作って野球場で売って生計を立てていた。家の中の事もなんでも1人でこなした。話の出来るお皿が話し相手になってくれて、時にはお皿の運転する車で出掛けた。

    どうやら「私」はどこか別の世界に来てしまったようだ。ある日突然、女の子のいる世界に来てしまい、突然元の世界に戻される。「私」は自分の世界で年を重ね、日常生活を送る中、何度か女の子のいる世界に連れて行かれる。しかし女の子はいつも変わらず9歳のまま。生活も何も変わっていない。
    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    女の子のいる世界を異次元ともパラレルワールドとも捉えられなくないけれど、私はむしろ村上春樹の『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』の「世界の終り」のような場所じゃないかと思う。

    誰しも年齢を重ね、外見や能力は変化するけど、心の奥底に変わらないものがあるんじゃないか。私自身、考え方や価値観は中学生の頃、もしかしたら小学生の頃から変わってないんじゃないかと思う。

    江國さんのやさしい文章とこみねさんのパステルタッチの絵がとてもマッチしている。

  • 読み始めた時には予想しなかった感情に今、包まれている。それはあたたかいような、冷たいような、嬉しいような、寂しいような。きっと自分の過去の思い出たちがこの本を読みながら波のようにざざざ…と流れてきたからかもしれない。
    主人公が出会った小さな女の子が、しっかりと自分にできることをしながら慎ましく生活している様子や、お皿との面白おかしい会話のやりとりを途中から私もすきまに落っこちてそっと覗いているような感覚で読み進めていた。すきまの世界では女の子は女の子のままなのに、たまに落ちて再会する主人公には確実に時間が流れていて、そのままでいられない主人公が女の子に不思議がられるシーンがあった。なんとも言えない、だって仕方ないよな、という一種の諦めのような気持ちにさせられた。そうだよな、私達は変化を受け入れて生きていくしかないんだよな、と。
    始めのうちは固有の名前がないことや、お皿との生活や、よく分からない町や駅など、ひとつひとつの設定を受け入れる事が難しく感じていたが、最後は何もひっかかりなく、むしろそうであるべきだと思うようにまでなっていた。自分の幼い頃の朧げな記憶がそうであるように。
    小さいのに大人びた話し方をする女の子は可愛らしくて愛しくて、大好きになった。
    いつか私がすきまに落ちてしまったら私も出会えるかなあ…と心が弾む、不思議な気持ちになるストーリーだった。

  • 異世界、パラレルワールド?唐突に別の世界に言ってしまった女性とそのおともだちの物語。別の世界への入り口が唐突すぎて、ちょっとホラーっぽい。ノスタルジックなところもあって、やさしい世界ではある。小さなおんなのことお皿が暮らすその家は、とても居心地の良さそうな家だ。お皿が運転をしたり、怒りに震えて自ら割れる世界はぎょっとするけれど。心からくつろぐしずかな朝。何がどうとかではなくて、そのくつろいでる様子を想像すると、一緒にくつろいだ気分になる不思議な世界だった。

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著者プロフィール

江國 香織(えくに・かおり):1964年東京生まれ。1992年『きらきらひかる』で紫式部文学賞、2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で直木賞、07年『がらくた』で島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で中央公論文学賞、12年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で谷崎潤一郎賞など数々の文学賞を受賞。他の小説作品に『つめたいよるに』『神様のボート』『東京タワー』『抱擁、あるいはライスには塩を』『彼女たちの場合は』『去年の雪』『ひとりでカラカサさしてゆく』『シェニール織とか黄肉のメロンとか』『川のある街』など多数。『絵本を抱えて部屋のすみへ』『いくつもの週末』『雨はコーラをのめない』『旅ドロップ』などのエッセイ集や詩集・童話・翻訳など多彩なジャンルで活躍。 

「2024年 『読んでばっか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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