露の身ながら 往復書簡 いのちへの対話 (集英社文庫)

  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087463439

感想・レビュー・書評

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  • 幾度となく読むことを躊躇(ためら)った本である。高齢・病気・障碍(しょうがい)というだけで気が重くなる。ブッダは生老病死という人生の移り変わりそのものを苦と断じた(四苦八苦の四苦)。増して功成り名を遂げた二人である。落魄(らくはく)の思いがあって当然だろう。「露の身」というタイトルが露命の儚(はかな)さを象徴している。
    https://sessendo.blogspot.com/2018/10/blog-post_56.html

  • 荳頑ゥ玖除遨ょュ先嶌蠎鈴未騾」縲

  • 病や障害を抱える科学者同士の往復書簡。

    この往復書簡という形態は今までも何回か読んだけど、非常におもしろい。

    生と死を見つめる良い機会となった。また「知とは何か」についても深く考えさせられた。

  • 突然の脳梗塞で、声を失い右半身不随となった免疫学者・多田富雄と、原因不明の難病の末、安楽死を考えた遺伝学者・柳澤桂子。
    二人の往復書簡。
    厳しい闘病生活の中でも、決して自暴自棄にならず、生とは、死とはという根源的な問題だけでなく、音楽や芸術についても語り合う。

    お二人の美しい文章の中に、人生の辛さだけでなく、素晴らしさが表わされている。

  • 先日本屋さんで見つけた本。柳澤桂子さんの本は何冊か読んでいるのに今までこの本は知らなかった。2004年集英社より出ている。まず知らなかった自分にすごくショックを受けている。しかし、時間が経ったとはいえ今読めることにひたすら感謝したい。多田さんと、柳澤さんの往復書簡。お二人がそれぞれ病を経て今いる状況は決してまだ健康な状態ではないというのに、心は軽やかで、明るく幸福感に満ちた言葉がならんでいるのだ。お二人とも、死の間際の体験を経ているせいか、ご自分自身を見る目が、少し自分を離れた目で見ていて、魂同士がすぐ隣り合ってお話をしているような気がした。

  • 2008.09.29読了

    【目次】
    病で歩けなくなり、完全に寝たきりで二年間過ごしました 柳澤
    私の文章で勇気が与えられるなら、もう一度本気で書いてみよう 多田
    車椅子に乗る時はおしゃれをして乗ります 柳澤
    病気を持つ者と介護する者の問題について 多田
    文化はDNAの直接的な支配からは自由です 柳澤
    人類はDNAとも違う何ものかに導かれて文化を創り出している 多田
    「赤い」と「りんご」は、脳の中で「赤いりんご」になる 柳澤
    大切なのはロジック、明晰な観察能力、それに感動を表現する努力 多田
    クローンの怖さ 柳澤
    ゲノムは人権そのもの、クローン反対は生命科学者の責任 多田
    〔ほか〕

    (「BOOK」データベースより)amazon
    突然の脳梗塞で、声を失い右半身不随となった免疫学者・多田富雄と、原因不明の難病の末、安楽死を考えた遺伝学者・柳澤桂子。二人の生命科学者が闘病の中、科学の枠を越えて語り合う珠玉の書簡集。いのち・老い・病・家族・愛・科学・戦争・遺伝子・芸術・宗教・平和とは何なのか…。

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著者プロフィール

多田富雄(ただ・とみお、1934-2010) 
1934年、茨城県結城市生まれ。東京大学名誉教授。専攻・免疫学。元・国際免疫学会連合会長。1959年千葉大学医学部卒業。同大学医学部教授、東京大学医学部教授を歴任。71年、免疫応答を調整するサプレッサー(抑制)T細胞を発見、野口英世記念医学賞、エミール・フォン・ベーリング賞、朝日賞など多数受賞。84年文化功労者。
2001年5月2日、出張先の金沢で脳梗塞に倒れ、右半身麻痺と仮性球麻痺の後遺症で構音障害、嚥下障害となる。2010年4月21日死去。
著書に『免疫の意味論』(大佛次郎賞)『生命へのまなざし』『落葉隻語 ことばのかたみ』(以上、青土社)『生命の意味論』『脳の中の能舞台』『残夢整理』(以上、新潮社)『独酌余滴』(日本エッセイストクラブ賞)『懐かしい日々の想い』(以上、朝日新聞出版)『全詩集 歌占』『能の見える風景』『花供養』『詩集 寛容』『多田富雄 新作能全集』(以上、藤原書店)『寡黙なる巨人』(小林秀雄賞)『春楡の木陰で』(以上、集英社)など多数。


「2016年 『多田富雄のコスモロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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