ローマから日本が見える (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087463477

感想・レビュー・書評

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  • ローマ建国から帝政初期のローマのエッセイ。
    ローマ人の物語で触れている話のダイジェスト版だか、非常に面白かった。最終章で現代日本の政治家に触れているが、私も日本の政治家は3流だと思っていた。だが、筆者は任せてみようと提言する。駄目ダメと批判してばかりでは、人材を見つけられないし、塩野氏いうところの知識はあれど知性がないブルータスやキケロと同じになる。
    付録にある指導者通信簿は嬉しかったし、これだけでこの本を読んでよかったと感じた。

    • 雷竜さん
      塩野七生さんのエッセイはとてもいいですよね。ローマ人の物語を読んでファンになりました。
      塩野七生さんのエッセイはとてもいいですよね。ローマ人の物語を読んでファンになりました。
      2023/10/24
    • kakaneさん
      雷竜さん、コメントありがとうございます。
      わたしも塩野さんの本は大好きで、専門書以外でギリシャ、ローマをテーマに物語を紡いでくれたことに感謝...
      雷竜さん、コメントありがとうございます。
      わたしも塩野さんの本は大好きで、専門書以外でギリシャ、ローマをテーマに物語を紡いでくれたことに感謝しています。これからもヨーロッパ全域に話を広げてくれたら嬉しいなと思います。
      雷竜さんも充実した読書時間をお過ごしください。
      2023/10/24


  • 集英社文庫 塩野七生 「ローマから日本が見える」

    カエサルのリーダーシップやローマ帝国の施策などから 日本の組織や政治の在り方を考えた本。著者は パクスロマーナ を実現した カエサルに革命者の理想像を見出している


    この本の命題は ギボンの言葉「ローマ帝国が なぜ滅びたかを学ぶより、なぜ長く続いたかを考えるべきである」だと思う



    カエサルが裏切り者の危険を犯してルビコンを渡った理由がよくわかった。寡頭政体型の共和制に見切りをつけ、領土拡大路線から ローマ本国と属州の一体化により安定路線に変更しながらも、ローマ人の「敗者をも同化する」精神は捨てなかったとする論説は 英雄的



    カエサル「どんなに悪い事例とされていることでも、それが始められたキッカケは立派なものだった」


    カエサルの施策〜ローマ本国と属州
    の一体化を進める
    *基本は中央集権〜本国から属州総督派遣し、属州議会(自治組織)に一部委ねた
    *ローマと属州を結ぶ街道ネットワークの整備「すべての道はローマに通ず」
    *基軸通貨の確立〜ローマ通貨以外も認めているため通貨統一ではない


    ローマの共和制=寡頭政体
    ローマの政治の実権を握るのは、元老院という少数エリート集団


    名言
    *読書とは自分一人の実際の人生では知りえないことを知り、会うこともできない人に会える手段です

    *歴史とは人間である〜歴史が苦手の言う人は、人間が苦手と告白していることになる〜歴史には人類が経験した全てのことが入っている

    *リーダーの存在しない、全員が平等な社会は〜誰も責任を負わない無責任社会になってしまう

    *拒否権こそ、権力の中の権力である

    *国際化は美しい単語だが〜一つ
    道を誤ると自分自身のアイデンティティを失った根無し草に終わる結果になりかねない

    *システムが悪いから問題が起きているのではない〜システムとその外界とのマッチングが悪くなったから問題が発生したのである











  • 塩野七生先生の本はほとんど読ませていただいています。いつ読んでも自分が古代地中海世界へ行くことができて楽しいです。
    基本的にはローマ人の物語の復習となりますが、細かい記述ではなく大きな展開を説明していますので、ローマ人の物語を読んでいても改めて新しい視点から確認することができます。私の場合、ローマ人の物語を読んでからかなりの時間が経過していたので思い出しながら読むことができました。巻末に、ローマの英雄たちの通信簿がありここはホントに秀逸です。塩野七生先生によるカエサルやアウグストゥス、ポンペイウスらの採点が面白いです。なかなか辛口なのがサイコーです。

  • 資源も富もない、小さな都市国家ローマは「衆知を集める」という
    共和政の利点をフル活用することによって、地中海世界を制覇する。

    しかし、勝者となったローマも「制度疲労」だけは避けることができなかった。
    この危機を乗り越えるべく、不世出の指導者カエサルが採った帝国方式とは。

    国家盛衰の法則を探りつつ、今日の日本を考える著者渾身の一冊。

    **************************************


    うちは、この塩野七生という作家が大好き。
    この人を知るきっかけとなったのは「ローマ人の物語」を読んだ事。

    文庫本で何十冊も出てる中、途中で断念したけど、めっさオモローやった。
    このオモローな本を書いてるのが、塩野七生という作家。

    この人のおかげで、ローマの歴史に興味を持ち、
    カエサルが好きになり、歴代ローマ皇帝の個性あふれる人柄を知る事となった。

    この人の本は、ただただローマの歴史を淡々と伝えるのではなく、
    その時代のローマを今の日本に例えてみたり、書き手の想像・感想も組み込み、
    読んでると、その当時のローマの世界感が見えてくるような、
    自分がそこにいるような、そんな気にさせてくれる。

    もっともっとこの作家の本を読んで、いろんな角度からと自分の視点からも
    ローマを見れたら、更にオモローに読めるんやろうなと思った。

  • 2012/04/07読了

    ローマという嘗ての帝国がなぜ成立できたのか
    「他」という存在を受け入れ、共存できたのか。
    他者を受け入れるということ、政治や国の体制を知り、欠点を知り、そして政治を担うものが真摯であったということ
    今の日本を嘗ての地中海世界を制覇したローマという一つのシステムから批判的に見、そして比較してみる
    私たちに一体何が足りていないのか
    ソレを知るには、読んで知るしかないのだ。
    古い時代を知るということは、新しい時代を考察することと同義なのである。
    守ちゃんオススメの一冊。
    世界史を学んでいたら、きっと私が思っている8倍くらいは楽しめたんだろうなあ。ここも学の影響があるね。

  • 歴史は好きだけど、なかなか世界史に踏み出せなかった。

    そんな私の価値観が一気に変わりました。
    これを機にローマ人の物語に手を出しました。

  • すばらしきかなローマ。
    女なら、カエサルにクレオパトラでなくとも惚れろ。
    天才的リーダーたちに刮目せよ。
    人の一生80年、国の一生500年で考えて、今の日本は何をすべきか。
    ローマに学べ。少なくとも、自分の利権を守ることではなく、長期的視野をもつて、アウグストゥスのごとき信念を。

    他サイトより転載

  • 塩野七生さんを好きになったきっかけ。とにかく熱量に圧倒された。私はこれが好きなんだ!という勢いがすごいし、改めて世界史のスケールの大きさ、面白さに気付けた。

  • 恥ずかしながら、世界史は殆ど忘れてしまっている。中でも古代史に属するギリシャ史やローマ史にはからきし疎い。ゆえに当然ながら「ローマ史に詳しい学者」と問われても誰一人知らない。なのになぜか「ローマ史に詳しい作家」と来れば、たちどころに本書の著者名を挙げることが出来るのが不思議と云うか。否、それがこの著者の非凡ならざるところなのであろう。
    そのまさしく文字通り「ローマ(史)をライフワークとする作家」である著者による、ある意味珍しい「自らの作品と日本とを結び付ける」一種の思想本が本著。
    実は、著者のライフワークにして代表作である「ローマ人の物語」は未読なんだが、本書を読み終えた今となっては「是非とも一度手に取り読んでみなくては」と思うに至った。そのくらい、説得力とスルドイ洞察に満ちた内容だ。
    中でも特に「民主主義とは、民衆に平和をもたらすためのツールのひとつ。未来永劫唯一の選択肢とは限らない。為政者/政治家たるもの、時には民主制を捨て去り、別の選択肢(例えば共和制や王政等)を採る戦略的な決断も必要」との論旨には撃たれた。
    今やその民主主義礼賛の「パックス・アメリカーナ」が全地球的な神通力を失いつつある昨今、非常に正鵠を射た視座の一つだと思う。

  • "ローマ人の物語"の塩野七生による、ローマ建国から帝政成立までの変革の歴史をたどる一冊。ハンニバルvsスキピオ、カエサルのガリア制圧etcといった戦記部分はごっそりカットながら、ローマ人がどのように政治を考え、時代に合わせて体制を変えていったかがとても分かりやすく述べられており、興味深く楽しませてもらった。そしてタイトルにもある通り、最後に日本の現状への振り返りが行われる。政治家を非難するだけでなく、有権者自ら変わる意識を持つ、そして度量というか政治に成熟した考えを持つように。ということかと考えた。

    付録の英雄たちの通信簿は流石の辛口(笑)自分としてはキケロくらいにはなりたいが、先生の評価はブルータス止まりだろうなあ。。。
    イタリアの教科書に書かれているという次の文言には脱帽。「指導者に求められる資質は、次の五つである。知力。説得力。肉体の耐久力。自己制御の能力。持続する意思。カエサルだけが、このすべてを持っていた」ここにない決断力、実行力、判断力を持つのは当たり前のこととは筆者の言。厳しい。

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