そろそろくる (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464030

感想・レビュー・書評

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  •  女性だけでなく、男性にも読んで欲しい本だな、と思いました。

     内容は、生理前の一週間ほどに現れる様々な身体・精神的不快症状であるPMS(月経前症候群)について、主人公の女性の独白(=ストーリー)を辿りながら眺めていく、というものになっています。

     女性からしてみれば、「あるある」「私もそう」といった共感がある中で、男性が読んでも面白くない、ということは全くない作品だなと感じました。
     男性が読むのであれば、PMSの真っ只中にいる女性が、突然泣き出したり落ち込んだりしている原因について、そしてその時の女性の内面について知るにはもってこいの内容です。
     
     ドキドキハラハラするようなお話ではありませんし、驚くような仕掛けのある本ではありませんが、日常の中で女性というものを切り取った、実に写実的な作品です。
     「お話だから盛ってるんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際、こんなもんです。
     PMSがある人は、だいたいこういう風に生きていますよ、というお話です。
     ちなみにですが、私は漢方薬にたどり着いて、かなり改善されました。

  • PMSのことを書いた小説だと知って購入。
    生理前に暴れ出す主人公の描写から始まったけど、初っ端からわかるー!!って思いながら読んでた。
    好みの文であっという間にさくさく読んだ。

    基樹くんがオレもPMSかもしれない、って言ったシーンでは反射で、何を言ってるんだこいつは、と思ってしまったけど、よく考えたら気分の波があるのはPMS持ちのひとだけじゃなくて他の女性も、もちろん男性だってあることだなと思い直したし、自分だけって思ってはいけないなって考えさせられた。ありがとう基樹くん

    中島たい子さん、初めましての作家さんだったけどかなり読みやすくてストーリーも面白かったので他の作品も読みたい!

  • すっごい分かる。
    私も周期的にやたらとイライラして攻撃的に暴言連発したりする時があるかと思えば、ズドーンと地の果てまで落ち込んで弱音ばかり吐くときもあり、あまりにもひどい精神状態に、なにこれ私ちょっとやばいのかも。ってすごく不安になったりしてたけど、ある日この症状に名前があることを知り、やっと自分の体とうまく付き合えるようになった今日この頃。

    女として産まれてきたからには切っても切れないホルモンバランス。
    厄介だな。なんて思ったりもするけれど、自分の体、もうちょっと大事にしてあげないとな。って思ったりしました。

  • 「ふつうの海、なんてものはない。色んな時があるのが海。」という文章に、女性の身心だけでなく、男性の身心も、というか人間の心身のバランスは常に一定とはいかないよね、としみじみさせられました。
    分からずに振り回されるのはつらいけれど、分かっていれば心構えができる。娯楽としての読書とは、ちょっと違う感覚で読みました。

  • あるある、わかるなあ、という部分が今回も多々ありました。
    そして振り回されつつも、最後はそれなりによし、のエンドも救いがあって良かったです。

    イラストレーターというなかなか特殊なお仕事の主人公。これが会社員なら?ニンニンのお話が読みたいなあ。
    2015.07.14

  • 一生にくる月経の回数は平均して500回なんですってさ…不快感と不便さと苦痛がそんなにも続くのだ。わたしも気が遠くなった。そして生まれた時には既に四十万個の卵胞を持っている、ときてはもう。わたしが子宮を持ってるのか子宮がわたしを持ってるのか。…間違いなく支配してるのは子宮の方だと思うくそう。
    この本を読んですごく頷いたのは、身のうちに自分じゃないなにかを住まわせてる感覚。自分ではどうにもならないできないものと毎月毎月毎月毎月いやでも付き合わなきゃいけないそんな生き物であるということ。だけど、それがわたしだ、ということ。
    だって身のうちにいるのだやつは。それならきっと、やつも含めてわたしなのだろう。

  • 「漢方小説」よりうまくなった?と思った。
    これも「漢方小説」も主人公が等身大。ものすごく魅力的な本って訳でもないが、なんか親しみを覚える。

  • 生理と共に生きる女の人の話。感情論ではなく事実として、生理への理解が広がる世の中になればいい。

  • 「変な生き物だよね、私たち」
    「かなりね。あまり知りたくないよね」(146ページ)

    PMSか、ピーターパン・末期・シンドロームか、なにか分からないけれど、
    毎月やってくるそのホルモンに翻弄される女たち。

    「自分が変なことに、もっと自信を持てよ!」(143ページ)

    けれど、繰り返し来るその波を超えていくことが、
    女にとっては、生きること。そんな物語り。

  • 話としてものすごく面白いものではないけど、PMSについて導入するにはいい小説だと思う。共感できる文章は多いけど、イライラや葛藤のどこまでがPMSかはわからないものだし その時期が明確にされてないからあまり感情移入はできなかった。PMSを題材にした小説は着眼点が面白いと思うので読み返してみた。タイトルが秀逸。

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