四月になれば彼女は (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (2009年2月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (488ページ) / ISBN・EAN: 9784087464061

作品紹介・あらすじ

卒業、純愛、友情。駈けぬける'60s青春グラフィティ
恋にケンカに友情に…。春浅い十和田の町で、高校を卒業したばかりの男子が体験したスリリングな24時間。人生の岐路に立つ青春群像を、鮮明に描きだした自伝的長編小説。(解説/椰月美智子)

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

青春の一日が描かれた作品は、卒業を迎えた男子高校生の心の葛藤や友情、初恋の思い出を鮮やかに映し出します。春の訪れと共に、彼の日常は急展開を迎え、友達の駆け落ちを手伝うところから始まる怒涛の24時間が繰...

感想・レビュー・書評

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  • 作家をしている男性が、高校卒業から3日後の一日のことを思い出す。

    友達の駆け落ち騒動を手助けする朝から始まり、翌朝小学校時代の初恋の女性と一緒に母校を散歩して思い出話をするところまで。
    怒涛の一日。
    時代背景はベトナム戦争中の青森県。米軍基地の若者とのトラブルとか、結構生々しくてこわかった。
    都会生まれの人は「こんなに街中でどっか行くたび知り合いに会うか?」と不思議かもしれないですね。これは田舎あるあるで、人が集まる場所というのが自ずと限られてくるから、どこに行っても誰かに会ったりする。
    同級生や先生がみんな愉快な人たちで、初恋の女性と話せたことへの主人公の気持ちも、すごく良かった。好きな人と話せると嬉しいんだよね。単純な話だけど、良いことを思い出させてもらった。

    私は大相撲が好きなので、青森県といえば力士を多く輩出する地なのです。
    主人公が運動神経が良くて背が高いというだけで、知り合いの兄貴から「力士になれ!明日親方呼んでやる!」と勝手に話進められてしまうところが、青森ならでは?という感じで面白かったな。その兄貴があまりにしつこくて、前向きで、強引で…。昔の人って、こういう押しの強さがあったんだろうなぁ。

    喧嘩や暴力シーンは苦手なので、早送り再生のようにセリフだけ追って読み飛ばした。
    それを差し引いても、総じておもしろかった。

  • 春というのは不思議だ。
    何かが終わり、何かが始まる季節。
    厳しい冬の寒さに耐え、
    待ちに待った季節の到来。
    それなのに来てみると
    どこかぼんやりした感情にとらわれる。
    冬の間に引き締めていた
    心と身体はすっかり緩み、
    すべてがどうでもよくなる。
    朝も昼もたえずけだるい眠気が襲い、
    世界の輪郭はにじむ。

    そんな怠惰な日々、覚悟なくやり過ごす毎日。
    そんなときに限って、
    その後の人生を変える一日が襲い掛かる。
    目まぐるしく様々なことが起きり、
    他の日と同じ一日とは思えないくらい濃さ。
    あとから振り返ると、すべてを決めた日。
    あの日だったと思い起こす日。
    予告なく突然やって来る。

    ロマンチックなタイトルとは逆に、
    描かれるのは若気の至りそのものの一日。
    特に少年が青年に変わる春の日は、
    青臭さ生臭さのフルコース。
    性の目覚め、喧嘩、スポーツ、仲間、
    食欲、暴力、理不尽な大人たち。
    その中に一輪咲く可憐な少女が輝く。
    掃き溜めにいるからこそ、
    鶴はより白く神々しく感じられる。
    男の中に淀む灰汁をぜんぶを吹き飛ばし、
    少女が現れ、そして去る。

    自分を変える日が、まだ僕にも来るだろうか。
    高校生はその日を意識せず日々を生きるけれど、
    僕はその日が来るのを祈りながら、
    準備を続けようじゃないか。
    来てほしいと願うだけでなく、
    自分で引っ張り込むんだ。

  •  バスで、『四月になれば彼女は』を読破する。といっても旅行に出てから細切れに読んでいたが、一気に読む気が失せてしまう小説だった。登場人物が交差して複雑で場面を理解することができない。実は映画を先に見ているので内容はわかっているのに理解できないのだ。不思議な小説とも言える。
    気になった箇所を抜書きします。
    『わたしはそっと隣に座りました。優しいメロディの英語の歌。その歌を聴いているうちに、荒々しく聞こえていた波の音も、いつしか穏やかなものに変わっていきました。歌い終わった大島さんに、わたしは曲名を尋ねた。四月になれば彼女は、と大島さんは教えてくれました。サイモン&ガーファンクル。四月にやってきた彼女に僕は恋をした。けれども次第に彼女の心は遠ざかり、やがて去っていく。それでも僕は、あのときの気持ちを忘れない。』
    この小説がサイモン&ガーファンクルの曲名からつけられて、内容も似ているのだろう。
    『それから毎週土曜日、弥生は藤代のマンションに来た。駅前のレンタルビデオ屋で映画を三本借りて、狭いソファに二人で並んで観た。「街の火」「勝手にしゃがれ」「マイ・フェア・レデイ」「マンハッタン」「ポンヌフの恋人」「シザーハンズ」「恋人たちの予感」「トーク・トウ・ハー」「天使の涙」「あの頃ペニーレインと」「オアシス」「バッファロー66」。映画の世界は複雑な恋愛だらけだった。』
    僕もこのなかの何本かは観ている。確かに恋の出会いと別れ喜びと辛さを描いている。作者は意識して選んだ映画だ。機会があれば観ようと思う。
     映画「卒業」のラストシーでも作者は、ラストシーンはハッピーエンドではこう書いている「駆け落ちしてきたふたりが、バスに乗り込む。興奮した様子で笑い合う。けれどもバスが走り出し、しばらくすると、ふたりがふっと真顔になりバスに揺られはじめる。不安げで、焦点が合わない目で、さっきまでの希望に満ちた笑顔は、そこには無いんです」「たぶん彼らにとって恋のピークは間違いなく駆け落ちした瞬間で、そこからは坂を転がり落ちていくしかない」
    随分とシニカルなことを書いている。でもほとんどの恋にはピークがあるのは事実だろう。でも、ほとんどの恋はそのピークがわからない。

  • ずっと周りに出てくる友達が呑気で和やか
    ハラハラするところも特にないので気負わずに読めるので良かった。
    相撲取りになるはなしかと思ってたけど一向に相撲取りにはならない笑

  • 今は作家として活躍する1人の男の人生のターニングポイントとなった高校卒業後三日目の密度満点な1日を追体験するかのように駆け巡る一作

    まだ戦後やベトナム戦争など昭和の高度経済成長のど真ん中、若者たちも希望に燃えるなかで主人公は憧れだったプロ野球の夢を怪我で絶たれて、生きる目的を見失っていた

    そんな彼が同級生の駆け落ちを手伝うことから始まった1日がどんどんと展開していき、徐々に人生の価値観が変化していく

    数多くいる登場人物のキャラクターが多岐に飛んでおり、本当に1日の出来事なのかと思うほど濃い1日を主人公と一緒に過ごすことができた

    高校を卒業したてだからこそできる、馬鹿な行動や悩み、葛藤など大人になってからでは味わえない心が踊る感覚を味わうことができた

  • 同じタイトル名で、映画化された恋愛小説かなっと思って手に取った一冊。
    主人公の彼は、別にモテない風ではないものの 実際にはモテてはいないようで…
    小学校時代の初恋の子に出会ったりもするので、ここから始まるのかな?っと思っていても、そのくだりは早々に終わって、その後は 同じ高校の同級生 不良グループとのケンカ、次は他校の不良グループとのケンカ…
    いよいよ、同名タイトルではあるものの 例の人気の恋愛小説ではないことに薄々気づき始めました。
    その後も、相撲だったり・車内でう〇こだったり・童貞だったり・バスケットだったり・DVだったり・逮捕だったり・駆け落ちだったりで、忙しくも楽しい盛り沢山な1日の物語。
    少し村上龍の69を思い出させる、おもしろ楽しい1冊。

  • 次男文庫。1日に起きた事としては凄い!こーゆー日が人生を変えるんだなー

  • スマートフォンも携帯電話もなかった時代。
    高校卒業直後の人生のターニングポイントとなった一日のお話。こんなにも激しく濃厚な一日がジェットコースターのように繰り広げられる。
    エピローグの「いまの自分が本当の自分なのか、本当の自分の夢の中の自分なのか誰にも分かりはしない」に激しく揺すぶられた。

  • 好きな作家。冒頭のインタビューの場面で「微苦笑」という言葉が何度か出てきて(思い違いかもしれないけれど)ああ、この言葉を使う人だったかと思い出した。微苦笑の言葉の中に、青春の甘酸っぱさ、ほろ苦さが含まれているような気がするのだ。それにしてもなぜ主人公はこんあ大切な思い出をインタビューで答えてしまうのだろう。作家だからか。

    物語で語られるのは、インタビューで話したことではなく卒業して3日目のことで東京に出ることになったきっかけになった1日のできごと。自伝的要素が強いようだが、1日で起きた出来事にしては多すぎる。時間の密度が濃すぎる。思ったより狭い空間での出来事なのかもしれない。肩を壊し野球をやめなければいけない状況になっても自暴自棄にならず違う分野のことを試していることが意外で、主人公はなぜだかわからないが自分を信じている人だったのだろう。

  • さわやかだ。兎にも角にもさわやか。こんなに濃ゆい一日があるなんて。最後の展開もびっくり。

  • 以前読んだ雨鱒の川がとても素敵な話だったので、また川上さんの本を読んでみた。私自身も上京した身なので、東京に対する思いには共感できるところがあった。

  • 青春の24時間は、長い。とても、濃密な時間。
    その濃密な時間を、最初はとっ散らかすような感じで、混沌とさせ、
    そして、丁寧に一つずつ、すっきり最後は、さわやかにまとめあげられた
    気持ちの良い本です。
    時には、ちょっとキュンとして、さわやかなこんな本もよい。

  • 桐島~のようなリアルな空気感はないものの、
    やっぱりあの頃をグっと思い出す。

    ただいつも思うんだけど、地方から見た東京とか。
    上京する気持ちとかが今ひとつピンとこないんだよなあ。
    しょうがないんだけど。

  • あの1日がなければ違った人生になっていたことだけは確かだ・・・

    自分には,とてもたくさんありそうだ・・・

  • でも川上

  • サイモン&ガーファンクルの名曲だけど
    川上健一さんの小説『四月になれば彼女は』
    高校を卒業して3日目の濃厚な1日
    若さゆえのおかしさ、正直さ、バカバカしさに
    半笑いしながらも、胸キュン、そしてノスタルジー
    川上さんの小説は、本当にいいなぁ
    川上さんの『翼はいつまでも』を勧められなければ読まなかったし
    『翼・・・』を読んだからこそ、この本も読みたいと思った
    すごくいい出会いをして、得した気持ち

  • 高校を卒業してすぐの濃密な1日を描いている青春小説。18歳男子の愛すべきバカさ加減が余すところなく書かれており、読んでいて自分の若かった頃を懐かしく思い出しました。「そうそう」とか「こんなことあった、あった」っていう感じです。たった1日の出来事をこのボリュームに膨らませたのもスゴイですね。

  • 20110504読了
    #青森県
    #季節

  • たった一日の事をギュッと詰めてあり面白いです
    ただプロローグの下りは不要かと

  • 高校生の男の子の1日が物語になっている。

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著者プロフィール

小説家

「2014年 『ライバル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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