いつもの朝に 下 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.80
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  • (20)
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本棚登録 : 910
レビュー : 95
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464146

作品紹介・あらすじ

優太は、父が残した手紙に書かれた"福田ヨシ"を訪ねる。その女性は、優太を待っていたと言い、父から預かったというノートをくれた。そこには、父親の恐るべき告白が書き記されており、三十年前に起きた凄惨な事件が浮かび上がる。あまりに残酷な出自を知った優太は、兄の桐人に助けを求めるが…。二転三転する事実に翻弄される兄弟の嫉妬と確執、親子の絆など深い家族愛が胸にせまる兄弟小説。

感想・レビュー・書評

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  • 三浦綾子の氷点を彷彿とさせる作品でした。

    上巻の終わりで、この先どう展開していくのだろう。後味悪かったら嫌だなぁ…
    と思っていたのですが、納得出来る締め括りでした。

    ただ、兄弟二人が葛藤している中、お母さんは達観していてアッサリしていた印象。
    まぁスポットは兄弟二人に当てられているからコレはコレでありですかね。

  • 最近恩田さんとか山田詠美さんとかの本を読んでいたせいか読み始めは「この人文章上手くないなー。同じ事をなんども繰り返すの不自然だな」とか思っていましたが読み進めるにつれて
    この人の作品は文章力で世界観を作るんじゃなくて、作品の細かな内容で世界観が作られてるんだなと考えなおしました。
    偉そうなこと言いましたが、結果的にすごく面白い作品でした。
    そして湊かなえさんの「夜行観覧車」を読んだ時にも思ったけれど、家族って本当にどうしようもないくらい家族なんですよね。
    そのつながりを越えられるものは何もない気がします。

  • 女性作家に多い気がするけど、名前に凝って中身が追いついてこないとか、凝りすぎた名前のせいで小説の世界になかなか入っていくことができないということがあると思う。この小説もそういう感じ。実際には名前も伏線として、重要な役割を担っているー寧ろ著者はそれを意図していたのだと思うのだけど、少し独りよがりな感もある。

    ただし下巻に入る頃には、人物の描き分けによって主人公と話の世界に徐々に引き込まれていったように思う。初めは到底理解できない登場人物の行動も、読み進めるに従い、同意とまではいかなくても、その行動にも一定の理解をできるようになった。

    しかし再読はしない種類の小説。

  • 設定などはとてもいいのですが、途中で先が読めてしまいました。
    ラストも想定内で、物足りない。
    救いがあるとは思うのですが、安易な感じがします。

    私は、どちらかと言えば
    「どうして…!」という感じのラストの方が好きなのですが、
    あとがきに「ホラーは現実だけでたくさん」とあったので、
    今邑さんご自身の個人的な思いがおありだったのでしょう。

    ひとつ気になったことは、
    母親のキャラに一貫性がないように感じたこと。
    あんな凄惨な過去を持ち、暗い絵を描く割には
    あっけんらかんと明るすぎる気がします。
    母親が一番ホラーです(苦笑)。

    あとは優太と兄の桐人の会話にも違和感が。
    あれでは、桐人が優太に不信感を抱いても仕方ないと思います。

    一気に読んだ割には、感情移入できないまま終わってしまいました。
    もっと面白くなるお話だと思うのに、もったいないな。

    アマゾンのレビューでは、けっこう高ポイントなので、
    きっと私がひねくれ者なのでしょう(苦笑)。

  • この完璧で嫌味な兄と愚鈍で小粒な弟という取り合わせでの前哨で、このまま上下巻で長々とイヤミスを読まされるのかと思いきや、怒涛の展開で意外とスッキリ着地した。

  • 上巻から、意外な方向への展開。
    グングン引き込まれて続きが気になってページをめくる手が止まらない

    キリストとユダ、カインとアベル、聖母マリア
    キリスト教に纏わる語やメタファーが現れて、神聖な雰囲気を帯びていることによってより一層ゾクゾク感がたまらない、至極のミステリーでした!

  • 「いつもの朝に(下)」
    家族とは。兄弟とは。


    ミステリに入る前にこのイライラを募らせるキャラ達と家族愛とは正反対に行きそうな雰囲気(若干ホラーに流れていくのかと)にしてやられた「いつもの朝に(上)」。そこから一気に変わり、テーマになっている「家族の愛と絆」が深掘りされる後半戦。


    父が残した衝撃的な告白は、優太だけではなく桐人にも大きな影響を与える。桐人は誰から見ても欠点が無い少年で、優太は誰から見ても長所が無い少年。全く正反対だった2人が、父の手紙によって立場が逆転し、二人の関係に溝としこりが生じる。この溝としこりを取り除こうとした、優太の即座のアプローチは完全にミスであり、一気に溝は深まり、しこりは取り難くなっていく。


    しかし、出来損ないと言われ続けていた優太は、突拍子な行動と粘り強い意思で、ミラクルボーイと称賛され続けてきた桐人を救い出そうとする。この一連の優太の行動は兄弟愛を確かに感じさせる。また、桐人自身も傲慢な所がありながらも、それをようやく認め、自分は子供であることにも優太の存在の大きさにも気づく。そして、沙羅が隠し続けてきた真実も、桐人と優太に対する愛ゆえのことだったと漸く分かる。最初は、優太への愛情と桐人への愛情に差があるように思えたのだが、どうやらそうではなかったようだ。


    また、家族愛・兄弟愛と並ぶテーマが「罪人の血筋」である。沙羅は幼い頃、父親が引き取った少年によって理不尽にも両親と姉を奪い取られた。敬虔なクリスチャンの牧師であった父親は「犯罪は環境によって引き起こされる。血筋ではなく、正しい環境を与えてあげれば、例え犯罪者の血が流れていても正しく優しい人間として成長出来る」という信念の下、その少年を育てていた。


    にも関わらず、少年自身に殺されてしまう。その数年後、沙羅はその少年の息子を引き取ることになる。何故、自らの家族をめちゃくちゃにした男の子供を育てようと思ったのか。物語を読み進めていくと、沙羅の気持ちが明らかになっていく。沙羅の行動に共感できる人、出来ない人が出てくるのは間違いない。


    隠され続けてきた驚愕の真実に狂わされながらも、家族・兄弟の強くなっていく絆で乗り切り、力強く前に進んでいく。特に、優太の隠された才能と言うのか、事件に巻き込まれる前からは想像出来ない急激な成長により、この兄弟と家族は救われたと思う。

  • 優太の物語から桐人の物語へ。

    沙羅と千夏が優太について語り合うところが凄く好きです。
    「ニキチビを肴にしておしゃべりできたらいいね」なんて、話の流れで凄く感動してしまった。

    急にカッコ良くなる優太と、見事に堕天使になってしまった桐人の廃墟でのシーンも凄く好き。

    優太が選んだやり方は好きじゃないけど、優太も桐人も無事で良かった。

    吉村亮一がどう関わってくるんだろ?って最後まで読んでたんだけど、なるほど!そういうことか!と、彼はこういう役割だったのかと。

    何はともあれ優太が幸せになってくれて嬉しかった!

  • 一緒に暮らすと家族になれる気がする。血のつながりとか関係なく。遺伝子云々で言えば生みの親かもしれないけど、自分という人間が築かれたのは絶対的に育ての親のおかげなわけだし。そういう意味でとても良かった。
    いい家族じゃないか。とても温かさを感じた。

  • 読了日2013/04

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