- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087464146
作品紹介・あらすじ
優太は、父が残した手紙に書かれた"福田ヨシ"を訪ねる。その女性は、優太を待っていたと言い、父から預かったというノートをくれた。そこには、父親の恐るべき告白が書き記されており、三十年前に起きた凄惨な事件が浮かび上がる。あまりに残酷な出自を知った優太は、兄の桐人に助けを求めるが…。二転三転する事実に翻弄される兄弟の嫉妬と確執、親子の絆など深い家族愛が胸にせまる兄弟小説。
感想・レビュー・書評
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家族画のような物語の一冊。
不協和音に心ざわついたが読み友さん方のオススメ通り、上下巻通じてとても良かった。
ほぼ会話文で綴られているシーンは目ではスルスルと読まされていくけれど心にはその各々の心情がしっかり降り積もっていくこの感覚が良かった。
腹の底をさらけ出す、それが徐々に見えない糸でしっかり結びついていく瞬間、それが家族というものを創り上げていく大切な瞬間。
最終章は涙なしでは読めない。
なんて、美しい家族の絆、愛なんだろう。
まさに家族全員で少しずつ描きあげた大きな一枚の家族画のような物語。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今日の午後から読み出して、一気に読み終わってしまいました。
人は環境で造られると私も思います
何かあった時に、助けてって言える人がいる事、全力で支えたいと思える人がいる事 すごく大切だと思います。 -
言葉に表現すると陳腐に感じられる。読み進めていくうちに湧き上がってくる感情。これがあるから本を読むのはやめられない。
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声をかけてくれた人がいたから、声をかけようと思った。
会いたい人がいたから、会いに行こうと思った。
思って行動するかどうかは、その思いの強さによる。
その思いの強さは自分を欺けない。絶対に。
助けたつもりが助けられていて、助けられたつもりが助けている。
凄い、凄い事。
人は本当に一人じゃない。
自分が思っているより絶対に一人じゃない。
兄弟の、そのあまりに不器用なやり方に、私は本当に心から泣いた。
そう、良すぎた。 -
三浦綾子の氷点を彷彿とさせる作品でした。
上巻の終わりで、この先どう展開していくのだろう。後味悪かったら嫌だなぁ…
と思っていたのですが、納得出来る締め括りでした。
ただ、兄弟二人が葛藤している中、お母さんは達観していてアッサリしていた印象。
まぁスポットは兄弟二人に当てられているからコレはコレでありですかね。 -
最近恩田さんとか山田詠美さんとかの本を読んでいたせいか読み始めは「この人文章上手くないなー。同じ事をなんども繰り返すの不自然だな」とか思っていましたが読み進めるにつれて
この人の作品は文章力で世界観を作るんじゃなくて、作品の細かな内容で世界観が作られてるんだなと考えなおしました。
偉そうなこと言いましたが、結果的にすごく面白い作品でした。
そして湊かなえさんの「夜行観覧車」を読んだ時にも思ったけれど、家族って本当にどうしようもないくらい家族なんですよね。
そのつながりを越えられるものは何もない気がします。 -
女性作家に多い気がするけど、名前に凝って中身が追いついてこないとか、凝りすぎた名前のせいで小説の世界になかなか入っていくことができないということがあると思う。この小説もそういう感じ。実際には名前も伏線として、重要な役割を担っているー寧ろ著者はそれを意図していたのだと思うのだけど、少し独りよがりな感もある。
ただし下巻に入る頃には、人物の描き分けによって主人公と話の世界に徐々に引き込まれていったように思う。初めは到底理解できない登場人物の行動も、読み進めるに従い、同意とまではいかなくても、その行動にも一定の理解をできるようになった。
しかし再読はしない種類の小説。 -
設定などはとてもいいのですが、途中で先が読めてしまいました。
ラストも想定内で、物足りない。
救いがあるとは思うのですが、安易な感じがします。
私は、どちらかと言えば
「どうして…!」という感じのラストの方が好きなのですが、
あとがきに「ホラーは現実だけでたくさん」とあったので、
今邑さんご自身の個人的な思いがおありだったのでしょう。
ひとつ気になったことは、
母親のキャラに一貫性がないように感じたこと。
あんな凄惨な過去を持ち、暗い絵を描く割には
あっけんらかんと明るすぎる気がします。
母親が一番ホラーです(苦笑)。
あとは優太と兄の桐人の会話にも違和感が。
あれでは、桐人が優太に不信感を抱いても仕方ないと思います。
一気に読んだ割には、感情移入できないまま終わってしまいました。
もっと面白くなるお話だと思うのに、もったいないな。
アマゾンのレビューでは、けっこう高ポイントなので、
きっと私がひねくれ者なのでしょう(苦笑)。