終末のフール (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464436

感想・レビュー・書評

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  • 八年後に小惑星が衝突し、全人類が絶滅する。
    パニックの時期5年を経過した、仙台のマンション「ヒルズタウン」を舞台に、死にむかって生きる人間模様。

    全部で8編。
    「終末のフール」「太陽のシール」「籠城のビール」「冬眠のガール」「鋼鉄のウール」「天体のヨール」「演劇のオール」「深海のポール」

    ヒルズタウンを中心にして、各短編、誰かと誰かが繋がっていたりして、そこが面白い。
    命の終わりが近づく。それも、全員一度に……。

    それが問題ではなくて、死を前にして“どう生きるか”ということがテーマかな。
    何も変わらずにいられることが、人として一番強いのだと思いました。

  • ミステリじゃない。
    目次がハライチのギャグみたい。

    8年後に地球に隕石がぶつかって人類が滅亡することが判明して5年後、仙台のとある高台のマンションの住民たちが、そうした状況下でどう生きているかを淡々と綴った短編集。
    宣告をされて逃げ出した人達(どこに?)や、絶望して自ら命を絶った人達が淘汰されて、この世界にはそれでも生きている人達が残り、あまりにも重い未来に潰されそうになりながらその日を生きている。
    全体を、「人間の生きざま」というテーマが覆う。

    伊坂さんは、狂気の寸前で辛うじて正気を保っている(保とうとしている)人間に興味があるヒトだね。
    『重力ピエロ』の春もそんな感じだった。

    物語は本当に淡々としてて、結局滅びるのかどうかまで教えてくれない(それが主題じゃないから)。
    まぁ、この物語のように隕石が……ってことは実際には起こりそうもないけど、余命宣告は充分あり得るし、そうしたら私はどっち側の人間になってるだろう……と考えながら読んだ。

    個人的には、「天体のヨール」(これって夜を無理矢理韻踏ませたって解釈でいいのかな)の二ノ宮が好き。
    恐竜が滅びた話をしてくれて、多分隕石が……で人類が滅亡するシミュレーションが具体的にできた。
    ぶつかることで爆発なんかして一瞬で滅びるんじゃなくて、その影響で洪水が起こったり氷河期になったりして人類が滅びるの。だから方舟とか乗っても無駄なの。衝突を回避すれば無事でいられるんじゃなく、地球が人類の棲めない環境に変わるんだから。

    この作品は東日本大震災前に書かれてるけど、3.11のあとに新な読みをされたんだろうなぁ。舞台が仙台だし、洪水の話題も出るし。

  • 2013/9/8に既に読んでいたのに気づかずまた読んだ。

  •  死を意識することで、色濃く強調される生。死を目の前にし、もがき苦しみながら必死で生きようとする時に見つけた小さな幸せや希望が、どれだけ大切かが分かった。

  • 終わりが見えていると人はどう行動するのかが、興味深くて読んでみた。 明日はないかも、と思って今日を生きるという心づもりをしていきたい。

  • 再読。「太陽のシール」と「冬眠のガール」が好み。どちらも女性が魅力的だ。こういう設定を読むと、「自分ならどうするかな」と自然と考えてしまう。戦争という設定になるとどうしても政治的な思想とかになってしまうが、避けようのない予測された自然災害だと人間の本質がむき出しになる。しかも滅亡まで8年っていう年数の微妙さがまたすごい。8年もあれば人間はいかようにも変わりうる。最後まで働いている人は本当に本当に偉い。私は働きたくはないなあ・・・。

  • あと3年後には地球が滅亡するといつ状態での、
    市民の日常生活を描いた本。
    設定は良いし、ところどころユーモラスな表現にクスッとしたが、日常生活を淡々と書いてあるので、物足りない感じがした。

  • 死ぬこと、生きることについて考えた。
    あと3年後に人類は滅亡する。助かる手段はないって時に、人はどんな何を思い、どんな行動をするのか。ヒルズタウンに住む人たちを登場人物として彼らの思いが書かれている。同じマンションに住む人たちだから1話ずつで登場人物がかなさっていくのも面白い。みんな落ち着いてたり不安になったり。死ぬこと、って何だろう、って。私は死ぬ間際に何をするんだろう。ただ、笑ってたいなあ、って思う。ああ、楽しかった!辛いことも含め色んなこと体験できて楽しかった!って思いたい。だからこそ長いようで短い残りの人生を精一杯生きてこう、って思えるんだ。人生に嫌になったら原点に戻ろう。

  • 年後に隕石が地球にぶつかって地球がなくなっちゃうよ、
    と発表されてから5年後のお話。
    この時間設定は、伊坂氏らしい設定だなぁと。

    さて、人はそんな宣告をされたら、パニックになるらしい。
    治安もなんも、あったもんじゃなくなるらしい。
    そして、あきらめたように終息するらしい。
    おそらく、私は、これになぞられて生きているような気がする。
    できれば、生きていたいと、現実世界では思うけれど、
    人は3年後に人類がいなくなる可能性が非常に高い、と知らされて
    それでも、力強く生きることってできるのだろうか。

    通常の世界での、人の終わりはさまざまな形で、
    継がれていくものがあったり
    或いは、世界は自分がいなくなっても、
    ほかの誰かが生きていて、続いていく。

    けれど、この小説の中では継がれていくものが、
    あるのかないのか定かではなく
    みんないなくなるかもしれないし、
    そうではないかもしれないなんて不確かな、
    そんな中で、生きて行くのは、きっと結構、しんどい。

    いろんな歪が人の中にできるだろうな、と思う。
    その日が来る前に死を選ぶ人は、まだ、世界が続いているうちに・・
    ということなのかもしれない。

    それでも、ぶれない苗場のような人もいるし、
    恋をしようという女子もいる。
    人は、ほんの小さな希望や光でも見つけ出して
    生きてみようと思えるのかもしれない。
    思えるのだと思いたいな。

    この、ヒルズタウン付近でおこっている、それぞれのエピソードが
    日本各地で、世界各地で形を変えておこっているのだと思えば
    ちょっと、前向きな終末が迎えられそうな気もする。
    或いはみんなの思いで「隕石はぶつからなくなる」とか・・・

    私の終末はいつやってくるのかはわからないけれど、
    誇れるものなど何もないけれど、私は最後まで生きたよ!と言いたい。
    言えるように生きたいと思う。

    短編の中では「演劇のオール」が伊坂氏らしくて好きだ。
    あと「太陽のシール」あと「冬眠のガール」
    あと「鋼鉄のウール」あと・・・・全部だな。

  • 一つのバックボーンに色んな人達の想いを絡めた作品。
    最後にどうすべてが繋がっていくか…
    地球の消滅にかけての色んな人の日常。でも、起きてることは非日常。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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