終末のフール (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 25339
レビュー : 2069
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464436

感想・レビュー・書評

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  • この本との出会い。

    失恋した翌日だった。地下鉄に乗っていると一つの広告を見つけた。それは集英社文庫の広告で、「この夏に``はじまり``となる一冊、``ナツイチ``を見つけませんか。」という内容だった。いつもの僕なら簡単に見過ごしていたと思う。だけど、その日は違った。家に帰ってから、パソコンを前に何か面白そうな本はないかとナツイチを探していた。数日後、気になった本を求めて本屋へ行き、一冊買った。 それがこの本だった。

    「死」を設定することによって「生」を考えるという作品は多い。そんな中で、すべての人が世界の終わりを迎えるという話はとても興味深い。それは誰もそんな状況を体験したことがない、非現実的だからだ。下手な描写をすればたちまちつまらなくなる。だけどこの作品にそんな懸念は必要なかった。描かれる状況、人間関係、心情、倫理観が緻密に、巧妙に、バランスよく表現されていて、とても心地よかった。

    読み終えてあとがきを見ると、次のようなことが書いてあった。

       小説は哀しみを抱えている人によりそうもの

    ああ、なるほど。こういう出会いもあるのかと思った。

  • 伊坂幸太郎 著
    「Today is the first day of the rest of your life」
    今日という日は残された日々の最初の一日。
    by Charles Dederich

    まさに 伊坂さん ならではの作品だと思った
    「ヒルズタウン」に住む住人をターゲットにそれぞれの
    終末とされてる得体の知れないものに 向かってゆく有様が
    八編の中に 上手く収められており 誰とも交わらない個々の人間が 何処かで交錯している
    限られた時間を生きてるだけだと分かっていても…いきなり 3年後に小惑星がやって来て地球がなくなるかもしれない ずっと未来を考えてた人間達が 自らでなくて向こうから「死」を 突きつけられたら って究極の問題なんだけど…
    今の自分には とても為になった作品だった。
    ずっと 「何のために生きてるのか?」を考え続けた日々
    究極的には「何で生きるのか?」「いかに生きるのか」
    そんな事ばかり考えて生きてた気がするけど…最近の自分は 居直りでもなく 「何のためでもなく もしかしたら 誰のためでもなく…今を生きるだけだと…」と感じてる
    生まれた時点から死に向かって限りある時間を生きているだけなのに 死が近づいてると直面すると驚き 狼狽える
    きっと それは生きているからこそ感じられる貴重な時間なのかもしれない それを改めて知れた作品でした。
    「もう少し 頑張って 今のこの時を生きてみるか!」って気分になれました。

  • 伊坂さんの作品の中でもゆったりとした時間を感じられる話でした。ハラハラドキドキはないけど、迫り来る死に対して、いろんな登場人物から見た気持ちが書かれていてとてもおもしろかった。
    私情ではありますが、最近仕事でうまくいかなくて悩む事も多かったのですが、迫り来るくる人類の「死」に比べたらとても小さいなと思えました。
    読んだ後はなぜか気持ちがスッキリしていました。

  • いつまた、大災害が起こってもおかしくない今、8年後に小惑星が衝突すると告げられても、案外淡々と受け止めて前向きに生きようとする人が本書の刊行当時よりは増えているのではないかと思う。
    いざとなるとそうもいかないのかな。
    でも、覚悟は必要だと思う。

    苗場さん、美智ちゃん、二ノ宮さんが素敵だな、と思った。

    『演劇のオール』の終盤で、うるっときた。
    そして、引退した俳優のインタビューで笑った。

  • あと3年で世界が終わるというどうしようもない状況の中で、相も変わらず煩悩を捨てきれない人間のシュールさや、じたばたと生きる決意を見せる泥臭い力強さに、得も言われぬ愛着のようなものを感じる。短編ということもあってずどんと胸を撃ち抜かれる衝撃はないが、じんわりと心に沁みる感じ。

  • あと3年後には地球が滅亡するといつ状態での、
    市民の日常生活を描いた本。
    設定は良いし、ところどころユーモラスな表現にクスッとしたが、日常生活を淡々と書いてあるので、物足りない感じがした。

  • 死ぬこと、生きることについて考えた。
    あと3年後に人類は滅亡する。助かる手段はないって時に、人はどんな何を思い、どんな行動をするのか。ヒルズタウンに住む人たちを登場人物として彼らの思いが書かれている。同じマンションに住む人たちだから1話ずつで登場人物がかなさっていくのも面白い。みんな落ち着いてたり不安になったり。死ぬこと、って何だろう、って。私は死ぬ間際に何をするんだろう。ただ、笑ってたいなあ、って思う。ああ、楽しかった!辛いことも含め色んなこと体験できて楽しかった!って思いたい。だからこそ長いようで短い残りの人生を精一杯生きてこう、って思えるんだ。人生に嫌になったら原点に戻ろう。

  •  「世界の終わり」というありがちで魅力的な背景。きっと世界はめちゃくちゃになっているところも多いだろうけれど、その中で閉鎖的に書かれた仙台の住宅街。伊坂作品の醍醐味である、複数の主人公が間接的につながっている描かれ方。なかなか個性的なキャラクターが面白い。お気に入りはキャプテンことスーパーの店長。
     僕の個人的な感想だけれど、終末であれば、もっと人間的なものが表面に出るキャラクターが出ていいと思ってします。主人公たちは世界の終わりを認めて、日常を日常に過ごしているけれど、もっと吹っ切れた登場人物がほしかった。

  • 読みやすい。久々に会った家族の話が好き。

  •  あと3年で地球に小惑星が衝突して人類が滅亡する、という時に、仙台北部の「ヒルズタウン」の住民たちは何を思い、どう過ごしているのかを描いた短編8作品。
     初めての伊坂幸太郎の作品で、もっと事件性のある感じを期待したが、ものすごく静かな、落ち着いた感じの小説だった。もう仕事とか止めて適当、というか思い思いに生きている主人公たちの様子ばかり読んでいると、おれは週明けからまた仕事をするのが嫌な気持ちになってしまった。文体はとても軽快で読みやすい。ただ読んだ後のカタルシスみたいなものが得られず、これはこれで面白いがイマひとつ、という感じだった。(13/09/15)

著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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