終末のフール (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.61
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本棚登録 : 25320
レビュー : 2069
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464436

作品紹介・あらすじ

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。当初は絶望からパニックに陥った世界も、いまや平穏な小康状態にある。仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちも同様だった。彼らは余命三年という時間の中で人生を見つめ直す。家族の再生、新しい生命への希望、過去の恩讐。はたして終末を前にした人間にとっての幸福とは?今日を生きることの意味を知る物語。

感想・レビュー・書評

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  • ここまで心を揺さぶられる小説を読んだのは久しぶりです。
    本当に心が洗われるというか、人生を前向きに考えられるようになる小説でした。

    この小説のあらすじですが、8年後に小惑星の衝突により世界が破滅するという発表があってから5年後、残り3年しかないという状況で、仙台にある『ヒルズタウン』とよばれる町で生活している人々の姿を描いた8篇の短編集です。
    8つの物語のなかでそれぞれの主人公達はそれぞれの想いを胸に日々を生きています。
    8つの物語、それぞれ心を打つものがあります。

    ここに描かれている人達は、命について「達観」しているというか、「悟りに至っている」という言葉が正しいのか分かりませんが、そういった境地にたどり着いている人が多いのは必然なのでしょう。
    なぜなら、この小説では直接的な描写はありませんが、ここに至る5年間の間に、暴動や大規模な騒乱、略奪、強盗に殺人、そして自殺といったあらゆる不幸な出来事がおき、世界の破滅を迎えるに至って、それに耐えられず精神に異常を来した人達やそれ巻き込まれた人など多くの人々が命を失っています。
    つまり、そういった異常な事態を生き残った人達がここに描かれている人達ですので、ある意味においては、もう既に選ばれた人々なのです。

    8つの物語のなかで、僕が一番刺さった物語は、4番目の物語『冬眠のガール』です。
    現在23歳の彼女は、4年前の19歳の時に突然両親を失います。殺されたのでもなく、事故や病気で失ったのでもなく、二人そろって自殺してしまったのです。一人娘である彼女を残して。彼女はそれ以来、3つの目標を立て、それを紙に書いて壁に張り、4年間何とか一人で、その目標を実現するために生き残ります。その3つの目標とは、
      〇『お父さんとお母さんを恨まない』
      〇『お父さんの本を全部読む』
      〇『死なない』
    読書家だった彼女の父は、自分の書斎に数千冊の本を所蔵しており、彼女はその本を4年間かけて全部読み切ります。この『冬眠のガール』は、彼女が最後の本を読み終わったところから始まります。
    2番目の目標を達成してしまった彼女は、新たな目標を探すために、多少の落ち着きを取り戻した町に繰り出します。そこで彼女は新しい目標を見つけます。その新しい目標とは・・・。

    彼女は、あくまでも素直で前向きです。そして3つの目標を忠実に守る。余命3年であるにもかかわらず新しい目標に向かって努力を惜しまない。そのひたむきな彼女の姿に心を打たれます。

    この小説がこれだけ感動を呼ぶのは、『死』を目の前にした人々の生活に真っ正面から取り組んでいるからでしょう。

    僕たちは、誰でも死にます。それはいつか分からない。誰もがもっと先のことだろうと何の根拠もなく思っています。
    『死』を意識しながら生きている人は少ないでしょう。しかし、そこに明確な『死』の期限が設定されれば、誰でもその圧倒的な威圧感の前で立ちすくみます。
    誰の前にも『死の壁』は立ちはだかっているはずなのに、それが透明で見えないからこそ、誰もが全力でそこに向かって走っていくことができるのです。
    でも、その壁に色がついてしまったら?
    あなたはそこに向かって全力で走って行くことができますか?

    この小説に描かれている人達は、全力とは言わないまでも、その『壁』に向かって確実に一歩一歩に前に向かって進んでいく人達です。
    そこには、諦めや達観や希望や絶望や、ありとあらゆる感情が渦巻いています。でも、そこにあるのは、決して『絶望』だけではないのです。
    「子供を産もうとする夫婦」「恋人を探そうとする若者」「誰よりも強くなろうとする少年」「最後の最後まで小惑星を観測しようとする天文学者」など、この小説に登場する彼らは、最後の最後まで諦めません。いや、生き残ろうとするのではなく、最後のその日までしっかりと生きようと心に決めているのです。

    この小説は、人生の素晴らしさ、ありがたさ、そして、この世界をいとおしく感じることをもう一度改めて思い起こさせてくれる、素晴らしい物語です。
    少年少女から老人まで、一人一人考えることは違うかもしれません。
    ただ、誰にとってもかけがえのない自分の一生を見つめ直すきっかけを与えてくれる本であることは間違いないと思います。

  • R1.8.9 読了。

     8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから5年が過ぎた頃の仙台北部の団地「ヒルズタウン」の住民たちが余命3年の時間の中でそれぞれの人生を見つめ直す物語。目次の短編集のタイトルを見た時に思ったことは、「ハライチの漫才ネタのようだ。」だった。
    読み始めてみると、こんな状況に自分が置かれたらどう生きるだろう?と頭の片隅で考えていた。この小説の登場人物たちのように、最後日まで大切な誰かと一緒にいられたら幸せかもね。「鋼鉄のウール」が特に良かった。
     やっぱり、伊坂幸太郎さんの小説は良いですね。

    ・「こんなご時世、大事なのは常識とか法律じゃなくて、いかに愉快に生きるかだ。」
    ・「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
    ・「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
    ・「やるべきことをやるしかない。」
    ・「何かに夢中になる人をオタクって言うなら、それは敬称だ。」
    ・「一生懸命に考えて、決めたなら、それはそれで正しいんだと思うんだよねえ、わたしは。外から見ている人はいろんなこと言えるけどね、考えて決めた人が1番、偉いんだから。」
    ・「死に物狂いで生きるのは、権利じゃなくて、義務だ。」

  • この本との出会い。

    失恋した翌日だった。地下鉄に乗っていると一つの広告を見つけた。それは集英社文庫の広告で、「この夏に``はじまり``となる一冊、``ナツイチ``を見つけませんか。」という内容だった。いつもの僕なら簡単に見過ごしていたと思う。だけど、その日は違った。家に帰ってから、パソコンを前に何か面白そうな本はないかとナツイチを探していた。数日後、気になった本を求めて本屋へ行き、一冊買った。 それがこの本だった。

    「死」を設定することによって「生」を考えるという作品は多い。そんな中で、すべての人が世界の終わりを迎えるという話はとても興味深い。それは誰もそんな状況を体験したことがない、非現実的だからだ。下手な描写をすればたちまちつまらなくなる。だけどこの作品にそんな懸念は必要なかった。描かれる状況、人間関係、心情、倫理観が緻密に、巧妙に、バランスよく表現されていて、とても心地よかった。

    読み終えてあとがきを見ると、次のようなことが書いてあった。

       小説は哀しみを抱えている人によりそうもの

    ああ、なるほど。こういう出会いもあるのかと思った。

  • 再読です。
    8年後に小惑星が衝突すると予告されて5年過ぎた頃。余命3年となった仙台のヒルズタウンの住民たちのお話。

    「終末のフール」父親と娘の確執が辛かったけど、長男の和也の思い出話が最高におかしかったです。10数年越しに確かに和也は魔物を倒しに来たのだなぁと。

    「太陽のシール」の富士夫の決断、友人の土屋家族の気持ちに泣けてきました。

    「籠城のビール」はかなり複雑でやるせないのですが…
    最後の「三年逃げ切ればいいんだろ?楽勝だぜ」が秀逸です。3兄妹の平和な日々が頭に浮かび、妹や母のいない世界でも最後の最後まで生きようと思えたのだなと、ジーンときました。無事に2人が逃げ切れますように。

    「鋼鉄のウール」の苗場さんのぶれない生き方がかっこいいです。「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」という言葉が胸にドカンときました。

    「天体のヨール」の二ノ宮のキャラが好きです。深刻な状況で嬉々として小惑星の衝突を待っている二ノ宮の天体オタクっぷりがおかしくて、なぜだか癒されました。

    「深海のポール」は最後、作りかけの櫓を前に、終末のその最後の瞬間を想像して娘を一秒でも一瞬でも長く生かそうと思う渡部に泣けました。ハチャメチャだけど渡部の父親も素敵です。

    新興住宅が舞台ということもあり、家族の話が多かったです。「演劇のオール」も疑似家族のお話…
    ダメな父親も出てくるけど、かっこいい父親もたくさん登場しました。終末を前に子どもを生む決断をする富士夫、病気の息子を残して先に親である自分が死ぬという不安がなくなったという土屋、少しでも娘に長く生きてほしいと思う渡部、息子を守って死んだ蔦原の父親、それぞれの子どもへの想いに感動しました。
    伊坂さんが描く家族のあたたかくて力強い感じがとても好きです。

  • 伊坂幸太郎 著
    「Today is the first day of the rest of your life」
    今日という日は残された日々の最初の一日。
    by Charles Dederich

    まさに 伊坂さん ならではの作品だと思った
    「ヒルズタウン」に住む住人をターゲットにそれぞれの
    終末とされてる得体の知れないものに 向かってゆく有様が
    八編の中に 上手く収められており 誰とも交わらない個々の人間が 何処かで交錯している
    限られた時間を生きてるだけだと分かっていても…いきなり 3年後に小惑星がやって来て地球がなくなるかもしれない ずっと未来を考えてた人間達が 自らでなくて向こうから「死」を 突きつけられたら って究極の問題なんだけど…
    今の自分には とても為になった作品だった。
    ずっと 「何のために生きてるのか?」を考え続けた日々
    究極的には「何で生きるのか?」「いかに生きるのか」
    そんな事ばかり考えて生きてた気がするけど…最近の自分は 居直りでもなく 「何のためでもなく もしかしたら 誰のためでもなく…今を生きるだけだと…」と感じてる
    生まれた時点から死に向かって限りある時間を生きているだけなのに 死が近づいてると直面すると驚き 狼狽える
    きっと それは生きているからこそ感じられる貴重な時間なのかもしれない それを改めて知れた作品でした。
    「もう少し 頑張って 今のこの時を生きてみるか!」って気分になれました。

  • 8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから5年が過ぎた世界が舞台。3年後に「死」を控えた人々の生きる姿を描いた8編の短編集。

    仲違いをしていた父娘、人類の死を前に待望の妊娠が分かった夫婦、地球滅亡の知らせとともに両親に先立たれた娘など、地球の終りを目前にしてパニックを起こす世の中を尻目に、残りわずかな時間をどのように過ごすかを模索する人々に焦点を当てています。
    登場人物は身の回りにいそうな、ごく普通の人びと。だからこそ非現実的な設定にも関わらずリアルです。紆余曲折はあれども、それぞれが決断した“残りの3年”は「生きること」への真摯な姿勢と決意があります。

    逃れられない「死」を前に、いかに「生」を謳歌するか。
    こんなにも「死」がべったりと側にある作品なのに、読後は「生き方」ばかり考えてしまう。

  • 8年後に小惑星が地球に衝突し、滅亡する---

    人はその事実を突き付けられた時、どう行動するだろうか?





    「8年後の地球の終わり」を予告されてから5年が過ぎたころの仙台が舞台。

    そのころには絶望からパニックに陥った世界も、徐々におさまって「小康状態」になっていく・・という描写が生々しくてドキドキした。





    残された3年をどう生きるか。

    「人生は怠惰に生きようとするには長すぎて、何かを成し遂げようとするには短すぎる」

    3年という限られた時間ならなおさらだ。





    自分ならどうするだろう?

    まず、暴漢や盗人や狂人のあふれかえるパニックの中「その日」を迎えるまで生き延びられるのか、それすら自信がないけれど。





    人間は脆い。

    自棄を起こして無秩序の世界に身を落としたり、自らの命を絶つ人、精神に異常をきたしてしまう人

    老後を考える必要性がなくなって、仕事を辞める人(そのため流通機関が機能しなくなり食糧難にも陥る)

    一見何も変わらないように見えても、「いつ命を奪われるかわからない、緊迫感」に不安が蓄積されて時々嘔吐する人もいる





    そんな中で、自分なりのぶれない軸を持っている人間の強さが眩しい。



    「鋼鉄のウール」に出てくる、苗場というキックボクサーは世界の終焉を予告されても変わらず練習に打ち込む。



    「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?あなたの今の生き方はどれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」

    「ぼくにできることは左フックとローキックしかないですから」

    「自分に今できることをやるしかないですから」





     イマ デキルコト ヲ ヤルシカナイ・・・





    終末論に限らず、生きていく上で何かに行き詰ったときのヒントがこの本にはちりばめられているような気がする。

  • 「明日が世界の終わりでも、私は今日林檎の木を植える」

    最近こんなことばに出会いました。
    そして、読み返したくなったこの本。

    明日ではなくて、8年後。
    小惑星が衝突して、世界は終わる。
    そう告げられた後の大混乱を経て、いよいよタイムリミットが近づいた、世界の終わる3年前。
    いろんなかたちで終末を過ごす人々。

    「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
    このことば、カッコいい。
    結局のところ、人生は、永遠と永遠の間にあるつかの間の閃光にすぎないのだから。

  • 小惑星が衝突し地球が亡くなる。パニックから落ち着きを取り戻したころの、ある住宅街の住人たちのそれぞれを描いた物語。伊坂さんの中では珍しいミステリーじゃないお話。でもそれぞれの人物がリンクしてる感じは伊坂さんならでは!絶望の中でも生きる人々の姿が暑苦しくなく、でもなんか温かく描かれてるのがとてもよかった。

  • 伊坂さんの作品の中でもゆったりとした時間を感じられる話でした。ハラハラドキドキはないけど、迫り来る死に対して、いろんな登場人物から見た気持ちが書かれていてとてもおもしろかった。
    私情ではありますが、最近仕事でうまくいかなくて悩む事も多かったのですが、迫り来るくる人類の「死」に比べたらとても小さいなと思えました。
    読んだ後はなぜか気持ちがスッキリしていました。

  • 取り敢えず、世界が滅亡するなら、そんなに早く発表しないで欲しい 笑
    一週間前とかにならないかな?
    でも、そんな究極の世界で、伊坂ワールドの方々は、動揺しながら比較的のんびりと生きていて、やっぱり好きだなぁと思いました。
    故に、やっぱり嘘でした〜は、ありなんじゃないかと思ったり…。

  • なぜ終わりがないと見えてこないものがあるのか。
    なぜ続かないと突きつけられると自暴自棄になるのか。
    世界の終末は、わたしたちを丸見えにさせてしまう。時間って、フィルターなのかも。

  • 世界の終わりを見たい。世界と共に命を終えたい。きっと叶わない気がしているけれど。
    たとえ見られなかったとしても、いつか私の時間に終わりは来る。それはきっと突然に。終わりはいつも、少し寂しい。

    限られた時間の中で、私はできるだけ愉しく生きたい。私たちが生きている間にできることは、生きることだけだから。
    この作品を読んで、思った。

  • いつまた、大災害が起こってもおかしくない今、8年後に小惑星が衝突すると告げられても、案外淡々と受け止めて前向きに生きようとする人が本書の刊行当時よりは増えているのではないかと思う。
    いざとなるとそうもいかないのかな。
    でも、覚悟は必要だと思う。

    苗場さん、美智ちゃん、二ノ宮さんが素敵だな、と思った。

    『演劇のオール』の終盤で、うるっときた。
    そして、引退した俳優のインタビューで笑った。

  • あと3年で世界が終わるというどうしようもない状況の中で、相も変わらず煩悩を捨てきれない人間のシュールさや、じたばたと生きる決意を見せる泥臭い力強さに、得も言われぬ愛着のようなものを感じる。短編ということもあってずどんと胸を撃ち抜かれる衝撃はないが、じんわりと心に沁みる感じ。

  • あと8年で世界が終わる。
    きっとわたしは、喜ぶと思う。
    みんなで一緒に死ねるなんて、そんな幸せなことはないだろうと思う。
    だから自分だけでも生きようとする人達が理解できなかった。
    わたしは彼ら程、自分を大事に思えてないのかもしれない。

  • 『8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから5年が過ぎた頃』が舞台。
    残り3年を生きる人々の生活を描く連作短篇集。
    「演劇のオール」のラストのつながる感じが伊坂作品っぽくて好き。
    「籠城のビール」と「太陽のシール」も好きだなー。
    「太陽のシール」の最後のほう『それならオセロを二組に分かれて、できるじゃないか』ってセリフがいい。

  • 隕石が地球に落ちて世界が終わるらしい。リミットは三年。そんな中で生きる人々がそれぞれ興味深い。自分だったらどうするかな。セクションごとの表題も捻りがあっておもしろい。結局最後は伊坂さん的にはどうなるんでしょうか?

  • 初めて読んだ、伊坂幸太郎の小説。
    一番好きな、伊坂幸太郎の小説。

    あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?(引用)

  • 3年後に小惑星が衝突して人類が全滅するという状況での様々な人間模様。当初のパニックはおさまり、世情は平穏に見える中でのそれぞれの心情や出来事が語られる。各物語に、他の物語の登場人物が絡んできたり様子が語られるのもおもしろい。
    引きこもって本を読んでいた子が、新たな目的を見つけにいろんな人をめぐる「冬眠のガール」、子供やおばあちゃんなどに関わり役割を演じていたのがという「演劇のオール」などがおもしろかった。
    最後の「深海のポール」で語られる「じたばたして、足掻いて、もがいて。生き残るのってそういうのだよ、きっとさ」というセリフが印象に残った。地球が破滅しなくても、生きるってそういうことで、この本のどの物語でも語られているように何かしらで人同士繋がっていくのだろう。

  • 八年後に小惑星が衝突し、全人類が絶滅する。
    パニックの時期5年を経過した、仙台のマンション「ヒルズタウン」を舞台に、死にむかって生きる人間模様。

    全部で8編。
    「終末のフール」「太陽のシール」「籠城のビール」「冬眠のガール」「鋼鉄のウール」「天体のヨール」「演劇のオール」「深海のポール」

    ヒルズタウンを中心にして、各短編、誰かと誰かが繋がっていたりして、そこが面白い。
    命の終わりが近づく。それも、全員一度に……。

    それが問題ではなくて、死を前にして“どう生きるか”ということがテーマかな。
    何も変わらずにいられることが、人として一番強いのだと思いました。

  • ミステリじゃない。
    目次がハライチのギャグみたい。

    8年後に地球に隕石がぶつかって人類が滅亡することが判明して5年後、仙台のとある高台のマンションの住民たちが、そうした状況下でどう生きているかを淡々と綴った短編集。
    宣告をされて逃げ出した人達(どこに?)や、絶望して自ら命を絶った人達が淘汰されて、この世界にはそれでも生きている人達が残り、あまりにも重い未来に潰されそうになりながらその日を生きている。
    全体を、「人間の生きざま」というテーマが覆う。

    伊坂さんは、狂気の寸前で辛うじて正気を保っている(保とうとしている)人間に興味があるヒトだね。
    『重力ピエロ』の春もそんな感じだった。

    物語は本当に淡々としてて、結局滅びるのかどうかまで教えてくれない(それが主題じゃないから)。
    まぁ、この物語のように隕石が……ってことは実際には起こりそうもないけど、余命宣告は充分あり得るし、そうしたら私はどっち側の人間になってるだろう……と考えながら読んだ。

    個人的には、「天体のヨール」(これって夜を無理矢理韻踏ませたって解釈でいいのかな)の二ノ宮が好き。
    恐竜が滅びた話をしてくれて、多分隕石が……で人類が滅亡するシミュレーションが具体的にできた。
    ぶつかることで爆発なんかして一瞬で滅びるんじゃなくて、その影響で洪水が起こったり氷河期になったりして人類が滅びるの。だから方舟とか乗っても無駄なの。衝突を回避すれば無事でいられるんじゃなく、地球が人類の棲めない環境に変わるんだから。

    この作品は東日本大震災前に書かれてるけど、3.11のあとに新な読みをされたんだろうなぁ。舞台が仙台だし、洪水の話題も出るし。

  • 2013/9/8に既に読んでいたのに気づかずまた読んだ。

  •  死を意識することで、色濃く強調される生。死を目の前にし、もがき苦しみながら必死で生きようとする時に見つけた小さな幸せや希望が、どれだけ大切かが分かった。

  • 終わりが見えていると人はどう行動するのかが、興味深くて読んでみた。 明日はないかも、と思って今日を生きるという心づもりをしていきたい。

  • 再読。「太陽のシール」と「冬眠のガール」が好み。どちらも女性が魅力的だ。こういう設定を読むと、「自分ならどうするかな」と自然と考えてしまう。戦争という設定になるとどうしても政治的な思想とかになってしまうが、避けようのない予測された自然災害だと人間の本質がむき出しになる。しかも滅亡まで8年っていう年数の微妙さがまたすごい。8年もあれば人間はいかようにも変わりうる。最後まで働いている人は本当に本当に偉い。私は働きたくはないなあ・・・。

  • あと3年後には地球が滅亡するといつ状態での、
    市民の日常生活を描いた本。
    設定は良いし、ところどころユーモラスな表現にクスッとしたが、日常生活を淡々と書いてあるので、物足りない感じがした。

  • 死ぬこと、生きることについて考えた。
    あと3年後に人類は滅亡する。助かる手段はないって時に、人はどんな何を思い、どんな行動をするのか。ヒルズタウンに住む人たちを登場人物として彼らの思いが書かれている。同じマンションに住む人たちだから1話ずつで登場人物がかなさっていくのも面白い。みんな落ち着いてたり不安になったり。死ぬこと、って何だろう、って。私は死ぬ間際に何をするんだろう。ただ、笑ってたいなあ、って思う。ああ、楽しかった!辛いことも含め色んなこと体験できて楽しかった!って思いたい。だからこそ長いようで短い残りの人生を精一杯生きてこう、って思えるんだ。人生に嫌になったら原点に戻ろう。

  • 年後に隕石が地球にぶつかって地球がなくなっちゃうよ、
    と発表されてから5年後のお話。
    この時間設定は、伊坂氏らしい設定だなぁと。

    さて、人はそんな宣告をされたら、パニックになるらしい。
    治安もなんも、あったもんじゃなくなるらしい。
    そして、あきらめたように終息するらしい。
    おそらく、私は、これになぞられて生きているような気がする。
    できれば、生きていたいと、現実世界では思うけれど、
    人は3年後に人類がいなくなる可能性が非常に高い、と知らされて
    それでも、力強く生きることってできるのだろうか。

    通常の世界での、人の終わりはさまざまな形で、
    継がれていくものがあったり
    或いは、世界は自分がいなくなっても、
    ほかの誰かが生きていて、続いていく。

    けれど、この小説の中では継がれていくものが、
    あるのかないのか定かではなく
    みんないなくなるかもしれないし、
    そうではないかもしれないなんて不確かな、
    そんな中で、生きて行くのは、きっと結構、しんどい。

    いろんな歪が人の中にできるだろうな、と思う。
    その日が来る前に死を選ぶ人は、まだ、世界が続いているうちに・・
    ということなのかもしれない。

    それでも、ぶれない苗場のような人もいるし、
    恋をしようという女子もいる。
    人は、ほんの小さな希望や光でも見つけ出して
    生きてみようと思えるのかもしれない。
    思えるのだと思いたいな。

    この、ヒルズタウン付近でおこっている、それぞれのエピソードが
    日本各地で、世界各地で形を変えておこっているのだと思えば
    ちょっと、前向きな終末が迎えられそうな気もする。
    或いはみんなの思いで「隕石はぶつからなくなる」とか・・・

    私の終末はいつやってくるのかはわからないけれど、
    誇れるものなど何もないけれど、私は最後まで生きたよ!と言いたい。
    言えるように生きたいと思う。

    短編の中では「演劇のオール」が伊坂氏らしくて好きだ。
    あと「太陽のシール」あと「冬眠のガール」
    あと「鋼鉄のウール」あと・・・・全部だな。

  • 一つのバックボーンに色んな人達の想いを絡めた作品。
    最後にどうすべてが繋がっていくか…
    地球の消滅にかけての色んな人の日常。でも、起きてることは非日常。

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著者プロフィール

伊坂 幸太郎(いさか こうたろう)
1971年千葉県生まれの作家。東北大学法学部卒業後、SEとして働きながら文学賞応募し、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞受賞、デビュー作となる。その後作家専業となり、宮城県仙台市に在住しながら執筆を続けている。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、同年『死神の精度』で第57回日本推理作家協会賞短編部門、2006年平成17年度宮城県芸術選奨文芸部門、2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞、第21回山本周五郎賞をそれぞれ受賞。同作で直木賞の選考対象となることを辞退したことも話題になった。上記受賞作のほか、『重力ピエロ』、『バイバイ、ブラックバード』、『アイネクライネナハトムジーク』など話題となる作品は多い。代表作も殆どが映画化されている。最新作に『フーガはユーガ』。

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