欲しい (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.23
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本棚登録 : 497
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464870

作品紹介・あらすじ

人材派遣会社を営む紀ノ川由希子は42歳、独身。恋人には妻子がいる。愛しているのに、会えば会うほど飢えていく-そんな心の隙間を埋めるため、逢瀬の後はいつも派遣ホストを呼んでいた。ある日、恋人が不慮の死を遂げた。若い女をストーキングした挙げ句、歩道橋から転落したという。彼がストーカー?不審に思う由希子は、真相を探り始める。男と女の欲望を精緻に描く、傑作長編ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • この作家さんの作品は3冊目。
    恋愛小説のようであり、不穏な雰囲気の漂うミステリーでもあり、かなり好きな感じ。
    テルのサイコパスさが怖かった。。

  • 題名から想像するに、大人の恋愛小説なのかなぁ?と思ったのだが、
    良い意味で期待を裏切られた。

    ありそうでなさそうな現実的な話のほんのりミステリー。

    こういう話は初めての感じで、とても楽しめた。

    出張ホストの彼が悪者でチャンチャンっとこじんまり纏まる物語かと
    思ったらとんでもない。

    あらゆる人物の表裏の感情が見えてくると、
    物語はそんな単純なものでなくなり・・・。

    ぐっと引き込まれて一気読みしてしまった。

    この作家さんの本はまた読んでみたいと思った(*^-^*)
    満足♪

  • 主人公は人材派遣会社を経営する紀ノ川由希子42歳、独身。恋人はいるがいわゆる不倫関係。
    もう一人の主役は派遣ホストのテル。
    そして由希子の会社に登録している、シングルマザーのありさ。
    ミステリだから詳しくは書かないけれど、それぞれの欲望、タイトルにもなっている「欲しい」もののために事件が起こり、そしてその欲望が浮き彫りになっていく。

    この小説に限っては、誰か登場人物の心情に自分を重ね合わせる感覚はなかったけれど、人間の闇の側面の描き方が秀逸だと思った。
    イメージ的には、のし上がった女社長で不倫をしてて派遣ホストを呼んだりもする主人公の由希子がいちばん黒そうに思えるけれど、実際はそうではなくて、慎ましやかに暮らしているように見える人間がいちばん恐ろしかったりする。

    自分の欲望を自覚した上で行動するのと、無自覚のまま行動するのでは、同じ悪でも無自覚の方が罪深い。理性がまったく利かないから。
    自分の欲望しか見えなくなって、それを客観視する力を失うと、盲目のまま周りを傷つけることさえ厭わずに突っ走ってしまうこともある。

    自分がいちばん「欲しい」ものって何だろう、と考えている。
    もしかしたら無自覚のまま生きてるのかも知れない、とも。

  • 人材派遣会社を経営する42歳の由希子。
    年上の恋人、久原は逢瀬を終えると妻子の元へと帰ってしまう。そんな寂しさを埋めるため、若い派遣ホストとの関係も続ける日々。
    ある日、恋人が死んでしまう。ストーカーの容疑をかけられて…。
    お金、恋、地位…欲望を抑えられない人々の愛憎劇。

    安定した収入が欲しいだけなのに…
    安定した恋が欲しいだけなのに…
    安定した暮らしが欲しいだけなのに…

    人が感じる幸せは人によって違う。
    自分の満足感のためにだけに行動できる人々は、幸せを掴む人々に見えるけど、結局、どこまでもいっても満たされない人たちにゴールはない。
    欲から生まれて連鎖する悲劇は、側から見れば哀れな喜劇。
    今、与えられた場所で幸せを感じていたい。
    ささやかな幸せの日々に満足していたい。
    だけど、現状に満足する人々、哀れな喜劇の主人公にもなれない人々は、上り詰めることもないのだろう。
    求める幸せに正解も不正解もない。
    人の幸せは、どちら側にあるのだろう。
    今年の5冊目
    2018.3.19

  • 平均スコアはそんなに高く無いけれど、とっても面白かった!

    テルがした秘密については結局バレないまま終わったので、そのだけはモヤモヤが残った。
    アレが意外な経緯で由希子の知るところとなり……という感じで最後のもうひとつどんでん返しがあったら、気持ち良く読み終えることができたかも(笑)

  • 登場人物それぞれの思いが、配慮が、思い遣りが... と思いきや[more]エゴやら我欲やらちょっと違ったものもいっぱい。後味は美味しくない。

  • ちょっと不完全燃焼…

    それぞれの立場の独白の章の繰り返しはおもしろかったけど、あまり感情移入ができなかったです。
    でも女性はみんな抱きしめてほしい、の部分は少しわかるような気がしました。

  •  人材派遣会社「ミネルバ」を経営する紀ノ川由希子は、妻子がいるとはいえ、一緒にいると安心できる久原啓治、そして彼が返った後に来て自分を癒してくれる派遣ホストのテルとの生活をそれなりに楽しんでいた。そんな中、由希子は自らの会社に登録する槇ありさについて、気がかりなことを聞く。派遣先に元夫が現れて、金を無心しに来たというのだ。

     物語終盤でどんでん返しというか、ある登場人物の印象がガラリと変わる展開。あぁ、こういう人はやっぱり存在してしまうのだなぁと、少々お節介ではと思いながらも割と好印象の主人公が少し可哀想になってしまった。知らぬは主人公ばかり。しかし裏でテルが絡んでいるのをつきとめられない警察は無能な気がする。

  • 美人社長と会社役員のイケイケ不倫か。派遣ホストか。興味深い…
    →会社役員がストーカー?!ありさが気の毒だ。優也はなんか暴力振るうやつには感じられないな。
    →不慮の事故だな。由紀子がもっとちゃんと話聞いていれば死ぬことなかったのに。まあちょっとおじさんしつこかったし、ありさからすれば本当不気味でしかないよ。ありさも事故とはいえ、殺人犯になっちゃったなんて気の毒だ。
    →てか全てテルのせいじゃん!ありさがかわいそう…なんでバレないの?早くバレろ!お前は大したことないと思っててもお前がサクラなんてしなきゃこんなことにはならなかったんだよ。事の重大さを身に染みろ!
    →え?!なんとありさと優也がグルだったのか!!ありさ、とんでもない女だ。今までの同情をかえしてくれ!
    →テルはホストの枠を超えて由紀子を愛してるんだな。末長く支えてやってくれ。
    →テルまじか…やっぱりお前が1番悪人だ…

    結局テルが主人公のお話だった。まんまと騙されてた。面白かった。

    最後の由比ヶ浜の旅館にテルが前に一緒に来てたお客さんて、由紀子の唯一の親友のこと?
    ちょいちょい出てくる由紀子のお友達がよく分からなくて物語から存在がちょっと浮いてる…

  • ちょっと期待外れ…ミステリー??

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