ハニー ビター ハニー (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 2986
感想 : 320
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087464900

作品紹介・あらすじ

陽ちゃんは親友の沙耶香の彼氏だ。でもわたしは彼と寝ている。沙耶香のことは大切だけれど、彼に惹かれる自分を止められない-(「友だちの彼」)。ライブでボーカルの男性に一目惚れし、誘われるままホテルへ。初体験。…あたしは本当にこういうことがしたかったの?(「もどれない」)甘やかで、ほろ苦く、胸のちぎれるような切なさをたたえた全9話。人気歌人初の恋愛小説が文庫オリジナルで登場。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルが言うとおりに、あまく、苦く、甘い。
    お菓子の詰め合わせみたいな短編集でした。

    軽やかな余韻と物語のテンポのよさが心地よくて、表紙に惹かれて読んだのですが、どうやら当たりを引いたようです。
    島本理生さんがあとがきを書かれているんですが、あとがきを読んだらもう一度読みたくなって、最初から読み返してしまったほど。

    加藤さんがもつ軽やかさやシャッターチャンスを逃さないような瞬間の切り取り力なるものは、短歌を作る過程で培われたものなんですね。
    いや、むしろそういったセンスがあるからこそ、多くの人に愛される短歌をつくりあげられたのかもしれませんね。

    くすぐったいような恋愛から、苦くざらりとした恋まで、午後の紅茶タイムのおともにおすすめな一冊です。

  • 自分の状況と重なる部分もあり、ハッピーエンドではないかもしれないけれど、ふわっと生きていく、それぞれの主人公たちがとても愛おしかった。

  • 恋とは何か、わたしのそんな疑念にひとつの解答を与えた。恋心は言葉では表せないけれど、確実にそれに近いなにかに触れたのがこの作品だった。あまくて、にがくて、あまい。名詞の甘さがあまったるかったり、あまくなかったり。

    恋なんて、勘違いに等しい。人だまりにいくと、みんな勘違いをしていて、勘違いのおはなしをきくことができる。その物語はどれも苦くて、だけれど裏側にはどこか目を惹きつけられるような甘さがある。
    お菓子は焼き時間を間違えてしまえば、甘かったはずのものがくろこげになってしまう。もしかしたら、あまいとにがいは表裏一体なのかもしれない。甘くなれないと上手に苦くなることもできない、そんな人生。

  • 切なくて甘くて辛い短編集でした。
    そのあとどうしたんだろう!?と思うものもありました。

    カトチエさんの短編集もっと読みたくなりました。

    あと表紙が可愛くて好きです。

    『スリップ』と『甘く響く』が特に好きです。
    『甘く響く』だけちょっとテイストが違う感じです。

  • どれもリアリティがない恋愛物語たち。けれどもおもしろい!私の幾つかの恋愛もこの中にいれてぐちゃぐちゃーって混ぜてほしい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「どれもリアリティがない」
      物語を読むって、何を求めているのでしょうね?
      と、フと思ってしまいました。
      「どれもリアリティがない」
      物語を読むって、何を求めているのでしょうね?
      と、フと思ってしまいました。
      2012/12/25
  • 「キュン死に注意報」が発令されるくらい、かわいらしい小説だった!中村航ばりのバカップルの話あり、失恋の話あり…まさに「ハニー・ビター・ハニー」。
    私はバカップルの話が好きだから「甘く響く」が良かった。けどどれもすごく上質な短編だった、ホントに。
    なかでも名言は「ドライブ日和」のなかの「なんでも許せるなんて、恋してないからなんだろうね。(中略)全部許せるなら、愛だよ。」これすごい!
    この人元々は歌人らしい。そっちも読んでみたいな。

  • 友達の彼氏と浮気してて、ガムのレシートで気づかれるの悲しい。友達のこと好きなら尚更ひどいよなあ(1作目)。あと2作目は彼氏に好きな人ができたのに一緒に暮らすっていう。でもわかるんだ~何も知らなくて勝手に黒い想像して落ち込んでいくよりは、いやな事実を全部知ってその事実に侵されていくほうがいいって感覚。あの人たちとキスしたならしたで知りたい。知ったうえでどうにか判断したい。「好きです」って言って「俺も好きです」って半端ねえな~電話越しの告白。そしてドーナツ屋で中学のときお互い好きだった人に再会して付き合い始めるってまじで青春かよ感。夜の住宅街を二人で歩くの結構憧れるシチュエーションです。そして待って。友達越しに昔の女の話を聞くというよくある感じ。しかもまだその人と付き合ってて自分は浮気相手~名古屋に来させなかったのはそれなのね。会いたいねって電話してたのに。絵距離って何でもできるねえ。処女を失って、処女とかじゃなくて何か失くしてしまったんだって話わかる。浮気に気づいて言えなかったけど、マシュマロを機に硬くても柔らかくても結局はだめになってしまうんだ、だめなときはもうだめなんだと気付いて切り出そうとするシーンもよかったなあ。

  • 中学生の頃に表紙に惹かれ手に取った本。
    今でもお気に入りの一編を読み返します。
    ジェリービーンズのお話が好き

  • 積みすぎた。もっと若いときに読んいれば…


  • 俺は真澄の気持ちがわからないよ
    (略)
    だけど、わかりたいし、わかり合いたいって思ってるし、本当に好きだよ。そういうことのほうが、大切なんじゃないかな(p198)

  • ビターの部分が多い気がしました。どの物語も最後どうなるの?という気になる終わりかたばかりでした。登場してくる男性にもっとしっかりして‼と思わずにはいられなかったです。

  • 情景や感情の描写が細やかで綺麗。
    短くて軽いのに、胸の奥でじくじくと重く気怠い感情を引き起こす作品達。
    個人的には、唐突な終始は印象的な場面だけを切り取っているようでより共感しやすかったり、終わり方もどれもどうとでも転がりそうな脆さがあって良かった。

    こってりとした痺れるような甘さも、じわじわ漏れ出すのを噛みしめるしかない苦さも、許せない行動の相手も、脱力しか無い自分も、はっきりしないずるさも、甘えもあーー恋愛には付き物だよなあと。

  • 加藤千恵さんを知るきっかけになった、大好きで大切な一冊です。
    高校時代からもう何度か読み返しているのですが、ひさしぶりに手に取ると忘れていた部分がちらほら。
    「甘く響く」と「ねじれの位置」は今読んでもやっぱり胸がきゅううんとなります。
    そうそう、恋をするってこういうことだと転げまわりたくなるような甘さ。
    けれどそれとは対照的に、タイトル通りビターなほろ苦い恋模様もいくつも収録されています。
    さらっと読めて、ずっと心に余韻を残す素晴らしい短編集です。

    どうして加藤千恵さんの書く小説が好きなんだろうと思ったとき、解説の島本理生さんの例えがぴったりでした。万華鏡。
    見逃していた、矛盾していた感情をさまざまな角度から映し出してくれるんです。
    自分では思ってもみなかったことが、加藤千恵さんの文章でものすごくしっくりはまるんです。
    道端に咲いている野花にはっと気がつくような感覚で。
    これからも幾度も読み返すと思う。そしてそのたびに、きらきらとした何かに目を瞠るのかもしれない。

  • 仕事場に置き本して、本を忘れた時に読んでいっていた短編集。
    本なんて漫画か雑誌、小説なんて読書感想文以来という若いスタッフの女の子に貸したところ大変好評だった本。そして私は一度数ページで友人にあげてしまうほどつまらないと感じた本。それが今読むと文章の細やかさや的確さを気持ちいいと感じた。

  • 表紙がすごく可愛いから読んでみた本。元々は短歌を書いてた方が出した短編集なのね。納得納得。すごく言葉選びがお上手だし、出てくるモノも特徴的で、印象に残るものだね。しかし私の読み方がダメだったー!合間にものすごく甘々なラブコメの漫画を読んでしまったから、ほろ苦いこのお話たちに入り込めなかった(ー ー;)次回はもっと大人に気分のときに読んでみよう。

  • 大人向けの少女マンガのような可愛らしい表紙、を裏切らない短編集。
    短歌をつくってらっしゃるかただそうで、短編集のかたち。恋愛の崩壊、関係の崩壊、再生、そういうシーンがあつまっていて、よんでいて心地よい。なれていらっしゃらないのか、会話文も地の文もおもいがけずひっかかって、あれ?とおもうこともあるけど、しかしそれでも人とひととの距離感はうまくすっと心に入ってくる。
    いままでの人生において経験した恋愛にかんする感情が、ふっと生々しく呼び起されて、でもそんなに重くならない。
    この作者さんの短歌がよんでみたい。読んでみたい。

  • 著者が同い年なんですよ。

    出てくる男がみなだめんずに見えるが、これがけっこう現実に近いような。男だけじゃなくて女にも似たような面はある。相手の気持ちに無頓着すぎたり、ずるかったり、ためらいなく相手を傷つけしまったり。

    永遠に続く恋愛なんてなくて、出会って恋が始まってときめいて、関係が落ち着いて成熟する、あるいは熟れすぎて壊れる、とか、常に状態は揺れ動いているもの。だからこそ一緒にいたかったらお互い努力がいるし、きれいごとばかりでもない。

    どうしようもない相手で一度は見限っても、本当に本当にふっきるまでにはもうワンクッションいるとか。何年もわだかまっていたのに、ある日突然ふっとどうでもよくなるとか。あこがれ続けていたのに、急に色あせて見えるとか。

    そういう瞬間瞬間ですよね、きっと誰にもある。

  • 「せつない」の詰まった短編集。

    表紙がすごくいいなあ、ほんとにこんな感じ。
    綺麗に着飾って、髪を巻いて、おしゃれなお菓子を男に食べさせられるのだ。
    女として生まれたことへの何とも言えない悲しみとプライドと美しさがある。


    いまどきの女のにおいがしてライトな感触であるにもかかわらず、苦い。
    題名に添うなら、最初は甘くて、だんだん苦いなあと思うようになっても結局甘さを探して甘いふりをしてしまう、というか。どんなにビターがあっても恋愛をハニーと定義してしまう不思議、というか。
    そういう、恋愛の普段あまり描かれない・けど確実にあるもやもやを題材にしている。

    各短編にスイーツが登場するんだけど、その"女子"感はなんだかむず痒いし例えとして陳腐。
    でもそのスイーツがその話に登場することにはきちんと必然性がある。ちゃんとしている。

    私はもっと文学!って感じのほうが好きなのではまらなかったけど、特定のターゲットに対してはかなり美しく的が絞れてるし、この軽い感触も実はすごく現実に似ていて、リアルなんだと思う。
    現実は軽い。
    そんでもって、恋って変だなあ、困るなあ、と思う。

  • 装丁に惹かれて。

  • せつない。
    その感情ばかりをひたすら詰め込んだかのように、せつなくてせつなくて、だけど少しだけ甘い。
    あぁ、この感情を知ってるなぁ。恋ってこういうものだなぁ。
    と、読み終わって涙が出そうだった。

    せつない話はたくさん知っているけど、これは歌人ならではというか、話の終わり方がとてもきれいだと思う。
    余韻の残し方、というのだろうか。
    男女の始まりや終わりを確かに感じさせているのに、決定的な言葉は記さない。
    だから尚更想像力を掻き立てられて、淡く微かな余韻がずっと続く。
    その後味が忘れられなくて、私はまた、本の表紙を開くのだ。

  • 「ああ、やっぱり好きだ。」

    と、きれいなミントグリーンの水玉の帯に書かれていたことと
    おかざき真里が描いたピンク色の表紙が可愛くて購入。

    9つの甘くてほろ苦い小説。
    切ない。出てくる男はたいていしょーもない男。

    【友だちの彼】
    「ずっとこうしていたい、のは、ずっとこうしていられない、からだ。」
    親友の彼氏と浮気中。
    浮気相手とか無理‥


    【恋じゃなくても】
    「だますように呪文のようにつぶやいていた平気という言葉は、いつのまにかすんなりわたしに馴染んでいた。」

    同棲してる彼氏に好きな人が出来たことを聞かされて
    かと言ってあっちから別れを切り出してくれないなんて生殺しだよ。


    【甘く響く】
    「こういう考え方をするこの人のことが、あたしは本当に好きなんだ。」

    キュンキュン。


    【スリップ】
    「会いたいとか好きとかいう言葉を数え切れなくなるほど繰り返して」

    スイートでビターなお話。
    すごく好きかも。あの甘さと切なさが。


    【もどれない】
    「あたしは、こういうことがしたかったんだろうか。」

    あんま好きじゃない。


    【こなごな】
    「その手を、今すぐ離してほしいような気も、永遠に触れたままにしてほしいような気もした。」

    これも好き。
    彼氏の携帯をこっそり見て、後悔するあの感じ。
    彼に話を切り出すところで終わるから、もやもや~。


    【賞味期限】
    「どうしてなんだろう。どうしてこの人なんだろう。」

    なんか‥わたしかと思った。
    似た経験をしたとかではないけど。


    【ねじれの位置】
    「わたしは完全に浮かれて、ピンク色に染まっていた。」

    リアリティがなくてあまり好きじゃない。
    というかわたしだったら微分積分ハァハァ!ってなる。


    【ドライブ日和】
    「ごめんなさいなんて言葉は、何の救いにも癒しにもならないと知っていた。」

    いつも思うけど、別れを切り出すほうが泣くのは反則である‥
    あのソフトクリーム、わたしも食べてみたい。




    あー、楽しかった!
    このあとが気になるお話もちらほら。
    妄想しながら寝るとします。
    んー、どうしようもない男って、何故かモテるよね。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「何故かモテるよね。」
      ナルホド、とっても参考になりました!
      「何故かモテるよね。」
      ナルホド、とっても参考になりました!
      2013/08/20
  • 表紙のデザインは良かった。おしゃれで、思わず手にとりたくなる。
    作者は歌人としてデビュー?したためか、小説としては不完全な印象。何を伝えたかったのか良く分からなかった。
    しかし若い人たちのリアルな恋愛模様が描かれてはいると思う。文体はかなりライト。あっさりしすぎて何も残らなかったのは残念。

  • 短編集。
    どれも不完全燃焼な感じ。
    読み直すことはないかな。

  • せつなくて、きゅんとくるレンアイ小説。
    なはずなのに、なんか心に刺さってこない。

    あ、そうゆうこともあるよね。ふーん。って感じで通り過ぎてしまう。

    ありきたりっつーか、あたしが痛いのはそこじゃなくてもっと奥なんだよ、って感じ。

  • 大学時代を思い出す。
    なんか、すらりと読めていいんだけど、すらりと読めちゃっていいのかみたいな気持ちになる。
    大学生の友達に恋バナを聞いているような。
    よくある少女マンガを読んでいるような。

    充実感はないけど、なんか、大学時代のむずがゆさが戻ってきて変な感じ。

    完全に表紙に惹かれて買っちゃったけど、人には紹介しないかな~。

  • 作者は私と同い年の女の人で、しかも高校生の時にデビューしてる。すごい!

    読みやすい短編集で主人公は全部女の人。
    で、ほとんどの短編の男の人が弱い。甘えたなヤツらばっかりなのです。
    だからあんまりみんな幸せそうじゃなくて…。
    でも現実にこーゆー人いっぱいいそう(>_<)
    だから引き込まれるんだろうね。

    でも2つだけいい話もあってそれは読み終わった後ほわっとした気分になれましたo(^-^)o

  • これの前に読んだ本が、内容的に重量過多だったので、軽めでさっくり読める本として選択。予想通りに良い息抜きになった。嫌みなく読めるし情景やら心情なんかもイメージしやすい。ひょっとしたら、直球ど真ん中の人もいるかもしれないなあ。「甘く響く」と「ねじれの位置」が良かった。

  • 9つのお話にそれぞれお菓子が出てくる
    恋愛短編集

    そのお菓子たちが主人公たちの物語を彩り、
    味わい深いものにしてる
    .
    表題、そして物語に出てくるお菓子の通り、
    甘くほろ苦い恋愛の複雑さが
    ありのままに描かれている
    綺麗なだけでも誇張しすぎるわけでもなく、
    等身大の恋が読者を惹き込む

  • 題名通り甘くて苦いキュンとする短編小説集。高校生〜大学生あたりの若い女性向けな気がする。長編を読んでみたくなりました。

  • 普段は甘い恋愛小説は苦手。

    だけど、この作品は甘いのに
    〈恋愛〉を過度にエンタメとしてみるのではなく
    それぞれの人が浮かび上がってくるような
    印象がして、共感出来たしすんなり入ってきた。

    甘いけど苦くてずるい、そんな恋をしたことが
    ある方にオススメ

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著者プロフィール

1983年、北海道生まれ。歌人・小説家。立教大学文学部日本文学科卒業。2001年、短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビュー。2009年、『ハニー ビター ハニー』で小説家としてデビュー。その他、詩やエッセイなど様々な分野で活躍。著書に『あかねさす――新古今恋物語』『真夜中の果物』『こぼれ落ちて季節は』『この街でわたしたちは』『消えていく日に』『そして旅にいる』『マッチング!』などがある。

「2023年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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