全ての装備を知恵に置き換えること (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 629
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465006

作品紹介・あらすじ

著者は23歳で北極点から南極点までを人力で踏破、24歳で七大陸の最高峰の登頂に成功した。探険家で写真家の彼は、その後も世界各地を旅し続ける。極地で飲んだ安ワインやビール。山形でトマトと牛乳をくれた農家のおばあちゃん。チョモランマの僧の祈り声を運ぶ風。沖縄の合宿で食べた中味汁。アフガニスタンで見た天の川。それぞれの土地で出会い感じたことを清冽な文章と写真で語ったエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルが最高!
    旅する力、ひいては生きる力をつけていくのに役立つ体験をまとめたのだな、なんて思い込んでしまったよ。

    タイトルはパタゴニアの創始者イヴォンの言葉でした。そういう風に力をつけていきたいものです。

    エッセイ自体はというと、旅や体験の記録で確かに様々な冒険をされてますが、読者が知恵に置き換えられるまでに変換できる情報があるかというと、う~ん。
    僕には表現がロマンチックすぎました。「星に恋したのだろう」とか書かなくていいから、具体的にどんな装備でどんなことをしていたのか教えてほしかった。

    高校生のころから世界を放浪しているようですが、その後ろ盾はどうなっていたのかとか、余計なことまでが気になってしまいます。

    偏見丸出しでもいいからリアルな話が聞きたいゾ。

    Yap島のおじさんに聞いてみるか・・・

  • 彼の写真は以前から好きだった。これはエッセイ集だが文章も上手い。いわゆる冒険家であるが、紛争地でも極地でもジャングルでも日常でもその視線は一定して等価値である。旅をする事の意味と価値について深く考えさせられる。あとがきを書いた華恵も文章が上手いなぁ....。脱帽です。

  • ・レベルの高い難しいクライミングをいくつもこなした後、何がしたいかを問われてある男が言ったそうだ。歩きたい、と。未知の方角へずっといつまでも歩いていきたい、そう言ったんだ。

    ・その後、北極や南極に行きエベレストの頂上にも立った。世界中を歩き、さまざまな人と出会い、異文化の中に身を置いた。しかし、学校を中心とした徒歩圏が世界のすべてだった日々をぼくは忘れない。インドの路上にはじめて立った衝撃は、対極にこの小さな世界がなければ生まれなかった。

    ・花火がたとえ儚い夢だとしても、数秒間だけ闇をかき消すことはできる。人間は果たして、一瞬の花火か、それともかき消される闇のどちらだろうか。

    書名の「すべての装備を知恵に置き換える」とは登山道具メーカーパタゴニア社長の言葉。ロッククライミングや登山もダブルアックスならだれでもできる。どれだけ身一つでできるかが冒険で、それを極めたいという意味。
    装備や道具は知恵から生まれるものだと思うけれど、それを排したいというのはきっと、人生を身体に近い所で感じたいという事だ。それは必ずしも身体でのみ感じなければならないというものでも無いようだ。なぜなら著者はどこにいても旅はできると言っている。それは、想像力、感性の問題なのだ。
    だからきっと自らの知恵になっていれば、もう道具はあっても無くても良い。剣の達人が、剣にとらわれないのにも似て。

  • 言葉が経験によって研ぎすまされている!

  • エッセー集。平易な言葉で、すごい冒険のことが書いてある。遠くまで行ける人とそうでない人の違いは何なのであろうか。

  • 子供の時に忘置き忘れた気持ちを呼び起こされた本だった。
    旅をする事は、自分を自由にする事なのか?

  • 何度も何度も読み返すし人にプレゼントすることもあるほど好き。

  • いちごが一番好きって可愛い。

    蜘蛛にそんな風にロマンを見いだしたい。
    北欧に一か月住みたい。

  • 小さいことにこだわっていない人はやさしい。作者の、人、文化、自然に対する視点の優しさが文章を通じて自分の心の中に染み入ってくる。おそらく人類が体験しうる中では究極ともいえる自然体験を数多くこなしている作者だからこそ、旅に対しての哲学が響く。「旅の原点はただ歩き続けることだ。何ももたず、黙々と歩き続けること。全ての装備を知恵に置き換えて、より少ない荷物で、あらゆる場所へ移動すること。自分の変化を、そして身の回りの環境の変化を受け入れて、楽しむことこそ人間が持って生まれた特殊な習性のひとつではないか。」「予測できる未来ほどつまらないものはない。道の先に何があるのかわからないから面白いのであって、安心をもたらす予定調和など必要ないはずだ。大きな会社に就職、何歳で昇進して、何歳で結婚して、何歳で家を建てて。。。はっきりいってそんなことはどうでもいい。たとえばこんな話がある。昔、人々が新しい環境に移住して集落をつくる際、一頭の鹿をそこに放して、その鹿が歩いた跡を道として定めることにした。まっすぐな道を碁盤の目のように組み合わせるのではなく、その集落では動物の本能に任せて道をつくったのだ。先に道をつくってしまうのではなく、動物が本能によって歩いた軌跡が道になる。」正しいとは思わないが10代でこの本に出会っていたらなにかが変わるような、そんな力を秘めている本であると思う。

    とりあえず、今からテントを買いに行ってきます。

  • 著者の石川直樹は、1977年生まれの冒険家・写真家で、本書は2005年、28歳のときに出版されたエッセイ集(2009年文庫化)である。
    著者は、中学生のときに青春18きっぷを使って野宿しながら日本を旅し、高校2年のときに既にインドを一人旅していたのだというが、2000年にカナダの冒険家が企画したプロジェクト「Pole to Pole2000」で日本の代表として、世界7ヶ国の若者と共に9ヶ月間かけて北極点から南極点を人力(スキー、自転車、カヤック、徒歩等)で踏破し、2001年には、チョモランマに登頂して、当時、世界七大陸最高峰登頂の世界最年少記録を作っている。
    私はノンフィクション物やエッセイが好きで、冒険家・登山家と言われる人々の著書も少なからず読んできたが(植村直己、堀江謙一、山野井泰史&妙子、関野吉晴、星野道夫、角幡唯介、竹内洋岳等)、著者の特異な点は、そのフィールドの広さであろう。著者の行動の規範は「人力で旅すること」という極めてシンプルなもので、旅の手段は、徒歩、自転車、スキー、カヌー、気球と多様で、旅する場所も、南の海から、ヒマラヤの山、極地、インド、中央アジア・中東の砂漠地帯、太平洋上と地球全域に及ぶ。
    本書でも、ミクロネシア、グアム、ハワイ、座間味、那覇などの海、奥多摩、開聞岳、コスタリカ、富士山、チョモランマなどの山、アラスカ、グリーンランド、北極、南極などの極地、東京、ストックホルム、ウィーンなどの都市、ユーコン川、インド、アフガニスタン、イスラエル、イラク、ニュージーランドなどの大地、そして空で、著者が見たこと、聞いたこと、感じたこと、考えたことが率直に綴られているが、著者は、極めて強い冒険心・好奇心に加えて、とても繊細な感性を持っており、それがこのエッセイ集を優れたものとしている。
    尚、本書の書名は、著者の友人で、環境に配慮する 商品で知られる米国のアウトドア用品メーカー「パタゴニア」の社長イヴォン・シュイナードの言葉、「冒険というものの究極は自分の身体一つで行うことだと思っている。・・・私にとっての究極は何の道具も使わない“ソロクライミング”なんだよ。・・・“全ての装備を知恵に置き換えること”。それが到達点だと思っている。・・・複雑なものから、よりシンプル、より純粋なものへと追求していく過程というのは全てが冒険なんだよ」から取られたものである。
    著者は最後に、「人は旅の中で見て、聞いて、感じ、考える。厳しいフィールドに身を置いているときに感じる幸せも、異文化の中で生活しているときに感じる幸せも、それは変化を求められることへの喜びなのかもしれない。ぼくはまだまだ歩き続ける。自分にとって生きることは旅することだ。それは揺るぎない」と述べているが、著者が年齢を重ねたときに、どのようなエッセイを書いてくれるのか、今から楽しみである。
    (2015年10月了)

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著者プロフィール

1977年生まれ。写真家。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。「NEW DIMENSION」(赤々舎)、「POLAR」(リトルモア)で、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞を受賞。「CORONA」(青土社)で、土門拳賞を受賞。著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した「最後の冒険家」(集英社)ほか多数。最新刊に、エッセイ「極北へ」(毎日新聞出版)、写真集「Ama Dablam」(SLANT)、「この星の光の地図を写す」(リトルモア)など。東京都在住。

「2019年 『靴のおはなし2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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