全ての装備を知恵に置き換えること (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465006

作品紹介・あらすじ

著者は23歳で北極点から南極点までを人力で踏破、24歳で七大陸の最高峰の登頂に成功した。探険家で写真家の彼は、その後も世界各地を旅し続ける。極地で飲んだ安ワインやビール。山形でトマトと牛乳をくれた農家のおばあちゃん。チョモランマの僧の祈り声を運ぶ風。沖縄の合宿で食べた中味汁。アフガニスタンで見た天の川。それぞれの土地で出会い感じたことを清冽な文章と写真で語ったエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 随分と長い間積読にしていた本。最近になって近所のギャラリーで著者の講演会が行われていたことを知り、思い出したように本を読んだ。自分が今新しい世界を見たいと思っているんだなと思う。そして数年前にこの本を買って途中挫折した時とは違う。自分に変化が起こっていることに気づいた。

  • ミクロネシア、ハワイ、那覇、奥多摩、開聞岳、チョモランマ、アラスカ、北極、南極・・・一つ一つのエッセイは短いが、読者は地球のあちこちに飛ばされる。
    どの場所の経験も興味深いというわけではない。私は極北で出会った、白クマの話に最も惹かれた。
    北極の極寒に体が慣れずにいた頃、それは現れた。シロクマに感じたのは「畏れ」だった。
    イヌイットが彼らを人と区別せず、結婚相手だったり、兄弟だったりする物語を持つのを理解した。
    白クマに出会ったことで、彼はすべてを飲み込んでしまった。北方の物語が好きな私には、嫉妬さえ感じるが、この体験は、彼だけのものだ。

  • タイトルが最高!
    旅する力、ひいては生きる力をつけていくのに役立つ体験をまとめたのだな、なんて思い込んでしまったよ。

    タイトルはパタゴニアの創始者イヴォンの言葉でした。そういう風に力をつけていきたいものです。

    エッセイ自体はというと、旅や体験の記録で確かに様々な冒険をされてますが、読者が知恵に置き換えられるまでに変換できる情報があるかというと、う~ん。
    僕には表現がロマンチックすぎました。「星に恋したのだろう」とか書かなくていいから、具体的にどんな装備でどんなことをしていたのか教えてほしかった。

    高校生のころから世界を放浪しているようですが、その後ろ盾はどうなっていたのかとか、余計なことまでが気になってしまいます。

    偏見丸出しでもいいからリアルな話が聞きたいゾ。

    Yap島のおじさんに聞いてみるか・・・

  • 彼の写真は以前から好きだった。これはエッセイ集だが文章も上手い。いわゆる冒険家であるが、紛争地でも極地でもジャングルでも日常でもその視線は一定して等価値である。旅をする事の意味と価値について深く考えさせられる。あとがきを書いた華恵も文章が上手いなぁ....。脱帽です。

  • 一度きりの人生、今のところ健康体なので、過去に後悔はしてないけどもしタイムスリップできたらチャレンジしてみたいことを著者は実際に結構やっている。
    読んでて幼くも嫉妬の念を覚えるが、それ以上に多くの刺激をもらえる一冊でもある。

    自然が好きな私の趣味は山遊び、山ボード、カヌー等だが、これからの人生に向けて自然遊び以外にそれに関連する何かに関心を持ちたい気持ちの中、本書にそのヒントがありそうな気がしている。

    今はコロナで動けないが早いタイミングで何らかの目的の元世界を旅したい気持ちである。

  • ・レベルの高い難しいクライミングをいくつもこなした後、何がしたいかを問われてある男が言ったそうだ。歩きたい、と。未知の方角へずっといつまでも歩いていきたい、そう言ったんだ。

    ・その後、北極や南極に行きエベレストの頂上にも立った。世界中を歩き、さまざまな人と出会い、異文化の中に身を置いた。しかし、学校を中心とした徒歩圏が世界のすべてだった日々をぼくは忘れない。インドの路上にはじめて立った衝撃は、対極にこの小さな世界がなければ生まれなかった。

    ・花火がたとえ儚い夢だとしても、数秒間だけ闇をかき消すことはできる。人間は果たして、一瞬の花火か、それともかき消される闇のどちらだろうか。

    書名の「すべての装備を知恵に置き換える」とは登山道具メーカーパタゴニア社長の言葉。ロッククライミングや登山もダブルアックスならだれでもできる。どれだけ身一つでできるかが冒険で、それを極めたいという意味。
    装備や道具は知恵から生まれるものだと思うけれど、それを排したいというのはきっと、人生を身体に近い所で感じたいという事だ。それは必ずしも身体でのみ感じなければならないというものでも無いようだ。なぜなら著者はどこにいても旅はできると言っている。それは、想像力、感性の問題なのだ。
    だからきっと自らの知恵になっていれば、もう道具はあっても無くても良い。剣の達人が、剣にとらわれないのにも似て。

  • 言葉が経験によって研ぎすまされている!

  •  家でゆったり読というよりは、旅行や移動中に読むのが最適な本だなと思えた。色々な場所への好奇心が膨らんでいく感覚を持つことができてとても面白かった。五感をフル回転させて楽しむことができる生活が続くといいなあと思っている。積極的に足を踏み出していきたい。
    “「何でそんなに苦労をしながら旅をするの?」と。でも、そのようなことを尋ねてくる人はほっといて、ぼくはいつも一人で旅にでる。何かを見たい、感じたいと思ったら迷わずに足を踏み出すこと。それをぼくは先人の言葉から学び、旅に出た彼らの行動を一つの指針としている。”

  • ずいぶん前に読んだ本なのでどうしてこんなに低い評価にしたのかは覚えてませんが、下らない本だな、と思った記憶があります。

    • tfcc86127さん
      ずいぶん前に読んだのでなんでこんな低い評価をつけたのかもう覚えてないけど、下らない本だった、という記憶があります。僕にとってはそうだった、と...
      ずいぶん前に読んだのでなんでこんな低い評価をつけたのかもう覚えてないけど、下らない本だった、という記憶があります。僕にとってはそうだった、というだけの話なので気に入る人がいたとしても特に変な話ではないんですが。
      ただ死ぬまでに読める本の数は限られているので、読もうかどうしようか、と迷ってるかたがいれば、ぜんぜん読まなくていい本ですよ・代わりに『言語の七番目の機能』なんてどうですか?とお勧めします。
      2023/09/28
  • 表紙の写真とそのタイトルから、なにかマッチョな世界観を想像するが、そんなことはない中身になっている。p.153の写真がなにか良い、"光は人を元気付ける" 感があるからか。

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著者プロフィール

冒険家、写真家

「2019年 『いま生きているという冒険 増補新版 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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