- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087465044
感想・レビュー・書評
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独特の世界観。
どこか突き抜けてるけど、たんたんとしていて、嫌いじゃない。
嫌いじゃないけど、なんか、おしい。
三十歳になりたくない女。
美を、女を失うことを悲しむくらいなら、さっさと全部捨ててしまう。
そんな主人公の話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
吉川トリコさんはこれで四作目になるのかな。
吉川さんは気になる作家さんであり、この文庫の表紙もすごくかわいくて一目ぼれ。
さて、内容なんですが、30歳を目前にした花という女性が主人公。
表紙とはまるで正反対で、花は女であることを捨てた女性。
仕事はせず寝てばっかりで、基本三日くらいはお風呂に入らない。
そんな花もかつてはふわゆる系の女子だった。
ある日ふとしたできごとから女でいることをやめるのだけど……
そんな花にも同棲して七年目になる彼氏―ハルオがいる。
どんなに花がブスでひきこもりになっても離れていかない。
そんな彼もバイトで生活しているのだけど……
女であることを武器にして生きてる人って、花予備軍だったりするのかも。
かわいくいるために、きれいでいるために一生懸命な人ほど、ほんの些細なことで、極端にやめてしまうことがあるのかも。
最後はすごく前向きな終わりかたでよかったです。
他の三作もよかったです。 -
やっと読み終わった。
たしか、10月から読んでる。
最初読み始めた時、なんか主人公の花が、受け付けなくて、ほんと、すっごく受け付けなくて、一回やめたら読めなくなりそうで頑張ったけど、頑張って読むのも無理で、でも無理して読むのってなんか失礼な気がしたし、読むのやめて、もう読まないだろうと思ったけど、一昨日アメトークの、読書芸人見て、なんか触発されて、再読。読めました。ちょっと泣けました。
花は最後まで好きにはなれなかったけど、うん、まぁ、気持ちは分かるかなって。受け入れれないけど。 -
想像以上に良かった。
良かったのは、表題作「しゃぼん」。
主人公・花の年代が自分にかぶっているので、
感情移入がしやすかったのもあるかも。
男の人が読んでも、きっと楽しめるはず。
自堕落な花と、
やさしいけれどどっかぬけてるハルオやなっちゃん、
周りのほんわかやわらかい雰囲気も好き。
気になって一気に読んじゃいました(^-^) -
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「30歳を目前に仕事を辞めた花。おしゃれもダイエットもセックスもやめた。頑張っても、いつか若さは失われると気づいてしまったから。投げやりに引きこもる花を、優しく見守る恋人だったが―(「しゃぼん」)。高3の夏。海。大好きな慎ちゃん。でもあたしは他の男たちとも寝ている。慎ちゃんには見せられない姿で―(「ねむりひめ」)。悩める女の子必読!リアルでキュートなガールズ小説集。」
「誰だって、昔は女の子だった。おばさんだって、お婆ちゃんだって。女の子という骨組みに贅肉のようなものを少しずつ纏って女になって行くのだ。ー『しゃぼん』の主人公は29歳。現実に気付かないほど若くはない。だからこそ、ずっと”女の子”でいたいと足掻くのだ。女の子の心意気のまま、現実を受け入れる覚悟は、たくましく、潔く、可愛らしい。」
『小泉今日子書評集』より -
扇情的でもない、色っぽいでもないし、艶っぽいでもない、エロチックなんてモノでもない、けど、エロいんだよなあ。
フランス革命のヒロインを描いた別な作品を読んで、トリコさんに興味を持って。
ひきこもりニートな花の色々匂うような、色気だったり、生活臭だったり、洗濯洗剤の香だったり、ハルオは何故?そばにいるのか?
他の三編も、また、愛?二人でいることを淡々と描く。
男性としては、私の年齢が言わせるのか、出てくるヒロインたちに共感できなかった、ちょっと肌が合わなかったかな?
#しゃぼん
#吉川トリコ
#吉川トリコさん
#小説好き
#小説好きと繋がりたい
#小説
#読書記録
#読書倶楽部 -
2019/06/11
官能的小説が読みたくて取り寄せた
性的かっていえば、そうでもなくて
性 思春期 セックス そういう混沌とした感情が
思考が、ブレながら安心と安定を求めて模索しているという感じだ。
ストーリーは一応つながっていはいるが(「しゃぼん」の視点のみ)
独立しているので短編としても読める。
読みやすいわけではないし、生々しい、ぬるさ、空気がどんよりとそこにある気さえする。「生きている」小説なので好き嫌いはあるだろう。
賞をとった「ねむりひめ」は「好き」という気持ちだけで立っている切実さが
「もうすぐ春が」は現実と快楽のカオスでのたうち回る学生としての生き辛さが
「いろとりどり」は大人に抑圧されきっている少女の、いやでも成長しなくてはならない嫌悪の感情が
どれもがカオスで、でもそのどれもの気持ちは少なからず理解できる。
「しゃぼん」は欠片は分かるけど、花の極端な心の迷走だけは分からずじまい。きっとその他人から理解されない、花という人間こそがテーマだし
「いろとりどり」の少女の目線はきっとそういう私たちの目線だと思う。
北海道から帰ってきて、ハルオにセックスをせがんで、少しだけ変化があったんだろう。
大切なもの、ハルオとは何者か、という本質的なところだけ。だから花は風呂にも入りたがらないし、ヒモでい続けるけど
支柱だけできた状態。
今後のふたりのゆくえはわからない。けど、ある種の救いと終着点ではあると思う。 -
『女による女のためのRー18文学賞』受賞作を含む、女性が主役の短編集です。
女性が読んでもナチュラルに感じられ、かつ官能的。そんな小説が読みたい書いてみたい、
緒姉緒嬢のための文学賞。受賞された方では窪美澄さんが有名ですね。面白い、共感できる、
そう感じられる等身大の女子作品が多いです。同世代あるあるに嬉しくなったりもする。
受賞作「ねむりひめ」より一話目の「しゃぼん」の方が良かった。
少し前に読んだ作品で、仕事も家事もせず男の家に寄生するだけの女、という似たような状況のものがありましたが
こちらの主人公には毒気がない分、圧倒的に読みやすかった。都合よすぎる面もあったけど
「三十だろうがなんだろうが、心意気次第で余裕で女の子で通るのよなんか文句あるの」
これで一気にこの子が好きになった。卑屈になるより開き直ろう、楽しんだもん勝ちだ!