グラビアの夜 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465259

感想・レビュー・書評

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  • タイトルから受けた印象よりも、かなり落ち着いた仕事小説という印象を受けました。

    グラビアの夜に携わる人達それぞれの視点からお話が進んでいくのですが、ただそれだけという感じであまり物語が進行して結末を迎えたという感じがしない。

  • ある出版会社のグラビア部門の中の人間の話。メイク、編集、カメラマン、グラビア、それぞれの視点で、それぞれの人生について見つめ直すというか、自分はこのままでいいのか、とかこれまでのことを回想したり、登場人物それぞれが人生について葛藤する様を書いている。

  • 題名から類推するに金銭欲や性欲が入り混じったドロドロな小説かと思ったら、リアルさを感じる小説だった。
    これといって印象に残る話はなかった。

  •  林真理子って世間的には、業界好きで派手好きな田舎出身の作家という感じかもしれないけど、私は彼女の描く作品には知性と、人間の本性みたいなものがそこはかとなく現れているから、とても好き。 
     この本は、ひとつのグラビア雑誌の撮影をめぐって、それにかかわる人々の話をそれぞれの視点で描いた作品。世間知らずで、自分の評価ができていない挫折知らずの編集者、スタイリスト、モデル、カメラマンなどなど。 特に最初の編集者なんて、私も編集をやっていたから耳が痛い話もあったし、全体的にすごくリアルで驚いた。
    とてもおもしろい小説でした。 

    「何かあったわけではない。長く続いた仲に、きっぱりとけじめをつけたわけでもなかた。ただ癌が再発したとき、野口は恭子ではなく、家族を必要とした。それがわかったから恭子はしばらく連絡を断った。野口からも電話一本なかった。それも仕方ないかもしれないと恭子は思う。自分と男とは、所詮健康な時の仲だったのだ。身体が健やかだったからこそ、男は妻を裏切ったのだ。」
    「ありきたりの心というのは、病と闘う心と通じてはいないだろうか」

  • いろんなスタッフの目線でかかれた小説。最後の終わり方がよかった。

  • 個々の話で伝わってくるものはあんまりなかったけど、解説がよかった。

    適材適所ね。確かに。
    仕事は楽しくしないとね。

  • ライトな文章で読みやすかったが、ストーリーに驚きや感動、目新しさはなかった。ただ、グラビアってこんな感じなんだ~という感想。

  • 視点がどんどん変わっていくけどどこか繋がりがあっておもしろかった。
    最後がすきかもしんない。

  • 買ったはいいものの長いこと部屋の中に埋もれていた小説。

    表紙の華やかさと対照的に、非常にフラットなトーンで書かれた小説。
    決して一流とはいえない水着グラビアの現場で働く、
    編集者、スタイリスト、カメラマン、マネージャー、グラビアアイドル。
    それぞれがそれぞれの思惑を持って、仕事をこなす様子がモノローグの形をとって一章ごとに語られていく。

    中でも異彩をはなつキャラクターがタイトル『グラビアの夜』を冠した短編の主人公である、新人編集者の高橋である。
    彼だけが、この短編集の中で満足していない。
    自分が今いる場所は自分に相応しくないと思い、野心を捨てられないまま投げやりな仕事をしている。
    他の登場人物たちはみな、「一流ではないにしろ、自分らしい仕事のやり方があり、やりがいがある」と、自分の人生と折り合いをつけているのに、この高橋の青臭さは非常にカンに触る。
    大体がして、「就職試験に挫折した時に人生で初めて嫉妬で胸を痛め、戸惑った」というキャラクター設定からして、そうなるよう仕向けられている。
    高橋は自分がさまざまなものを得て当然だと思っている。
    その若さと思い上がりは暴力的であり、凶悪だと思う。

    さてその高橋くんの物語が最初に読者の胸を刺し、身の程を知るキャラクターたちに安堵した読者の眼前に、最後にまた突きつけられる。
    ここの展開が、どう表現しようか、陳腐という以外の言葉が見つからない。
    こういうことがしたかったなら高橋くんの描写にもっと時間をかけるべきだった。
    物語の都合のためにこんなことになったんじゃあさすがの高橋くんでも可哀相だ。

    最後に。
    ここまで林真理子を何作か読んで、これはあくまでも個人的な意見なのだけれど、林真理子は女というものを憎んでいるんじゃないだろうか。
    それくらい彼女による女の描写には容赦がない。
    彼女の描く女の若さや美しさというものには常にはかなさと虚飾のイメージがつきまとい、むしろその先にある破滅をこそ思わせる。
    ここまで徹底的に余韻を排除してしまうなら、もう「小説」である必要性がないんじゃないのか。
    現実の女の肌の質感や醜さなんて、外に出ればいくらだって見れるんだから。

    と、思ってしまいます。
    合わないんだろうなあ。

  • 林さんの本は外れない。グラビア界の内情など、興味深々だった。フーン、そんな風なんだ。人々の求めるままに、何でも提供するマスコミ。色々お直ししてまで臨み、忘れられてった女の子達は何処へ行くんだろう?

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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