水銀灯が消えるまで (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465396

作品紹介・あらすじ

郊外のさびれた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」には、なぜかわけありの人々が集まってくる。勤め先の金を持ち逃げし、遊園地の物置に住みついた女性銀行員。愛人に会社をクビにされた美人の受付嬢。記憶喪失で行き倒れていた正体不明の女性…。さまよう彼らに、居場所は見つかるのか?ユーモラスでどこかせつない、気鋭の歌人のデビュー小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 夜の遊園地。遠くに光る観覧車。ひとり佇む少女の髪にはメリーゴーランドのユニコーンと白い花が挿されていて。
    酒井駒子さんのこの表紙、本当に素敵。

    寂れた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」を舞台にした、不思議でどこかひやりとするお話。
    勤め先の金を持ち逃げし、遊園地の物置に住みついた女性。
    蝶を愛するおじさんに惹かれてしまう女性。
    愛人に会社をクビにされた美人受付嬢。
    記憶喪失で行き倒れていた正体不明の女性。
    心霊スポットの取材に訪れた女性。
    指の綺麗な長崎君の既成事実。

    遊園地は本来楽しい場所で思い出にも深く影響するけど、だからこそ寂れたり廃園になると足を踏み入れるのが怖い場所になります。あぁエキスポ、奈良ドリームランド・・・。ひらパー頑張れ。

    観覧車って外から見ている分には動きもゆっくりで怖くない気がするけど、あれ結構怖いんだよね。揺れるし高いし降りられない。
    昔、男の子と二人で乗ったら相手がにじり寄ってきて、逃げて、にじり寄ってきて、逃げて・・・(しかも急に立ち上がると揺れる!)
    という経験を踏まえ、何とも思わない異性と乗ってはいけないことを学んだのでありました。

  • 再読なのに何この初読感、な一冊。郊外のさびれた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」に絡めた5つの短篇集。指、蝶、酒、記憶、洞窟、そして既成事実。どれも白昼夢のような着地点のないフワフワした印象。歌人・東直子さんの初の小説ということですが、短歌・小説全ての中でやはり1番好きな作品でした。次点で『さよなら窓』かな。穂村さんとは魂レベルで恋人なのだと再確認(笑)。

  • 何かしらの事情を抱えた人が寂れた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」へやってくる短編集。「長崎くんの指」を改題。

    不思議で少し物悲しい雰囲気の話だった。酒井駒子さんの装丁も雰囲気に合っていて良い。

  • 透明感がある。
    しんみり。

  • 【本の内容】
    郊外のさびれた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」には、なぜかわけありの人々が集まってくる。

    勤め先の金を持ち逃げし、遊園地の物置に住みついた女性銀行員。

    愛人に会社をクビにされた美人の受付嬢。

    記憶喪失で行き倒れていた正体不明の女性…。

    さまよう彼らに、居場所は見つかるのか?

    ユーモラスでどこかせつない、気鋭の歌人のデビュー小説集。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    職場の金を盗んで逃げた銀行員の女が、出会った男の指に惚れる、そんな話が著者の手にかかると惚けた哀しみを醸し出す。

    山奥の遊園地で息を引き取った老職員を透明な観覧車に乗せて労をねぎらう「アマレット」、大切な物事を忘れてしまう「長崎くんの今」など、コミカルなのに知らずに胸をつかまれている。

    『長崎くんの指』を改題。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 『水銀灯が消えるまで』…見慣れないタイトルに書き下ろし?と思ったら『長崎くんの指』を改題したのですね。綺麗なタイトルに酒井駒子さんの素敵なイラスト、そして名久井さんのデザインに惹かれて再読。さびれた遊園地「コキリコ・ピクニックランド」に集うわけありの人々、それぞれのひとつひとつの物語が今でも鮮やかに思い出されることに驚く。ふわふわ心許ないけれどそれが当時は心地良かった作品が、実は自分の中ではしっかり根付いて忘れられないものに育っていたんだなぁ。さらに愛おしい作品になりました。あとがきの短篇はやっぱり秀逸。

  • 夕暮れのひなたの国 の物語?

  • 一度読んだだけでは何だか「?」が残ったけれど、寂しさが文字になって静かに佇んでいるようで、その独特の雰囲気を味わいながらあっという間に読み終えた。表紙が美しい。

  • さびれた遊園地を舞台にした短編集。どの登場人物も、ちょっと変なんだけど妙に親近感が沸いて共感しやすい。廃園になった遊園地というのもファンタスティックというかメランコリックで、表紙絵のイメージ通りでした。

    長崎くんの指/バタフライガーデン/アマレット/道ばたさん/横穴式/長崎くんの今

  • コキリコピクニックランド

  • 帯タイトルは、

    「恋しくて、なつかしい、あの場所。

     さびれた遊園地で交錯する、
     奇妙でいとしい人間模様。」


    物置に住む女、
    40すぎの無職の女、
    年をとったマリアさん、
    道端に倒れた女、
    洞窟に住む男、
    指のきれいな立ったまま眠る男。

    コキリコ・ピクニックランドという時代に取り残された
    遊園地に集まる人々。

    どこか不思議で怖くて、支離滅裂な展開ばかり。

    だけど、「アマレット」は好き。
    観覧車がすごくいい。

    遊園地ってホント特別な空間。

  • 東直子のだ!と喜んで手に取ったら『長崎くんの指』の改題と知ってガッカリした。

    けど、久しぶりに読んだらやっぱり面白い!
    終わり方、こんなだったけ?と忘れていた。
    たぶん、前に読んだ時は小説の雰囲気は好みだったけれど、終わり方には引かれなかったのだと思う。
    どのお話もほおりっぱなしな感じがよい。

    ちなみに東直子の顔写真を初めてみた。
    イメージと違うくもないし、ピッタリでもない微妙な感じ。
    穂村弘の解説の中で紹介されていた短歌がまた良い。さすが。

  • 歌人・東直子さんの初小説集。じわーっとしてる。だいぶ前に一度読んで、その時はあんまり好きじゃないなあと思って、でもなんか忘れられなかったので買って再読したら、やっぱり大好きとは言えないんだけど、じわーっとくせになる。

  • コキリコ・ピクニックランド、……誰の胸の内にもありそうな遊園地で。
    人はみんな、優しくてつまづいて、少し傷ついていて。

  • 何とも掴み所の無い小説だ。つまらないということではない。物語の着地点というか、ゴールがハッキリしないというか、これは僕自身の感想なのだけれど、後味が無いという感じだろうか。こんな読後感は初めてかもしれない。
    解説を東さんとも交流がある穂村弘さんという方が書いているのだが、初めて東さんに会ったときの印象は ぽやーんとしたひと だったらしい。まさに、これだと思った。この小説から受けたのは、この ぽやーんとした がいちばん合っているように思う。

  • 個人的に長島くんの指がいちばん好きです
    ずっとどんな指か想像しながら読んでました

  • なかなかふしぎね わるくない

  • 山間の寂れた遊園地に関わる人々を主人公にした、ゆるゆるあわあわの連作短編集です。歌人・東直子さんの小説デビュー作なんだそうです。
    実社会に馴染めなかったり、日常の暮らしからちょっと足を踏み外してしまったり、なんだかよくわからない寂しさに心が浮遊してしまったり・・・・・そんな人たちの物語です。それぞれの人が、それぞれに事情を抱えながら生きています。儚げで、もの悲しくて、せつなくて、そして、とても優しい小説でした。あとがきも、味わい深くて良いですよ。

  • きれいなお話だった。長崎くんの話が最後にまた出てきて安心した。

  • 長崎君の指が好きな話がいいな。
    長崎君に子供が生まれる話も、うまいなぁと思って。

    内容も重くなくて、雰囲気にひたって淡々と読みました。

  • 本の表紙と題名に惹かれて読みはじめた本です。
    現実の中にほんのちょっとの非現実を垂らしたような本。いくつかの、少し不思議で奇妙な話で構成されていますが、どこか懐かしく、どこか切ない…そんな本です。

    内容の濃い、為になる本、、とゆうわけではありませんが不思議と心に残る本でした。

  •  300万円の札束を持ち逃げした女性銀行員。道端に倒れていた記憶喪失の女。妻に先立たれ、2人の子どもを抱え失踪し洞窟に住む男・・・・たち。
     人淋しい山にあるコキリコ・ピクニックランドと云う遊園地。観覧車、ゴーカート、回るコーヒーカップなどの遊具に、ノスタルジックが漂う。ここを舞台に繰り広げられる寄る辺ない行き場を失った人々の人間模様。どこかユーモラスだったり、切なかったり。不思議な余韻を残す6つの連作短編です。穂村弘氏の解説で、東さんの短歌が紹介されてるのも興味深いですよ。

  • さまよう人の行きついた、寂れた遊園地でのお話。
    正直、表紙が酒井さんじゃなければ出会わなかっただろう文庫です。
    ほとんどの話がぷつっと途切れてしまうものだから、わたしにはなぜだかホラ―テイストに感じました。
    「横穴式」は特に。

  • 自由はときどき残酷だ。

  • 穂村弘氏絶賛の東直子氏の作品。
    個人的な感想になってしまいますが、女性というものがますますわからなく、怖くなった。

  • ある遊園地を舞台に、そこへ集まる人達を描いた短編集。
    舞台となるコキリコ・ピクニックランドはどこにでもありそうな郊外型レジャー施設です。観覧車やゴーカートや長い滑り台など遊具があって、キャンプや雑木林の散策コース、洞窟もある。でも、これといった大きく目立ったものはない。客はあまり来なくて閑散としている。この「どこにでもありそう感」がリアル。
    そこに集まる人達も、どこにでもいそうな奇妙さと、どこにでも転がっていそうなへこみを抱えています。「どこにでもありそう」ということは「ドラマがない」って訳じゃないんだよなあ、と改めて思い返させてもらえました。
    誰でもくらっとくるような誘惑、誰でもへこむような仕事の話、にさらされて疲れた人達が誘蛾灯に引き寄せられる虫よろしくフラフラと、というわけではないですが、流されてたどり着く。優しく繊細に描かれている割に内容としては切なかったり寂しかったり恐ろしかったりします。
    話によって後味がだいぶ違うので戸惑うかもしれません。
    たぶん根本的に、みんな寂しさを抱えてる。

  • つぶれかけた遊園地に引き寄せられる人たちの連作。

    なんとなく、余韻大目で、詩的な感じが強め。
    と、表紙の絵ほど、可愛らしく無いです。
    浮世離れしそうで、どこか、日常のドンヨリもあります。

  • 酒井駒子&名久井直子のブックカバー! 豪華だなぁ。
    歌人としての作者に興味あり。

  • 2010.3.22購入

  • 酒井駒子さんの表紙、ということで買っちゃった本。
    寂れたテーマパーク・コキリコピクニックランドを中心に描かれる人々。
    ひとつの場所を違う人の視点だったり、異なる時間から描かれてるお話が私は好きだ。

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著者プロフィール

1963年、広島生まれ。歌人、小説家。絵本や童話、イラストレーションも手がける。歌壇、角川短歌賞選考委員。東京新聞歌壇選者。「草かんむりの訪問者」で第7回歌壇賞、『いとも森の家』で第31回坪田譲治文学賞を受賞。歌集に『十階』、小説に『水銀灯が消えるまで』『とりつくしま』『さようなら窓』、エッセイ集に『短歌の不思議』、穂村弘との共著『回転ドアは、順番に』『しびれる短歌』がある。

「2019年 『春原さんのリコーダー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

東直子の作品

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