家日和 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 4621
レビュー : 614
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465525

作品紹介・あらすじ

会社が突然倒産し、いきなり主夫になってしまったサラリーマン。内職先の若い担当を意識し始めた途端、変な夢を見るようになった主婦。急にロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家などなど。日々の暮らしの中、ちょっとした瞬間に、少しだけ心を揺るがす「明るい隙間」を感じた人たちは…。今そこに、あなたのそばにある、現代の家族の肖像をやさしくあったかい筆致で描く傑作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 6つの短編集。夫婦の日常にまつわる現実を、苦さと温もりとの丁度良い匙加減で教えてくれます。以下印象的な作品を簡単に。

    『サニーデイ』
    ネットオークション出品を通して自己肯定感を得る妻。あれもこれもと歯止めがきかなくなる気持ちに共感する人は多いはず。

    『ここが青山』
    突然の解雇で夫は主夫に。家族という味方。

    『家においでよ』
    別居した夫と妻のインテリアに対する価値観。妻側の気持ちが痛いほど伝わって切ない…。

    『妻と玄米御飯』
    ロハスな生活に傾倒し始めた妻と、それを内心うんざり感じる作家の夫。奥様の一人勝ちかな?笑

  • ずっと好きでいられるわけではないかもしれない。
    独身のように自由気ままではいられないのかもしれない。

    それでもやっぱり、誰かと一緒に、なんてことない日常を過ごせるのは幸せなんじゃないかなぁ。特別なことをしなくたって、隣にその人がいるだけで落ち着くと感じる瞬間があるのなら。

    鑑賞を益田ミリさんが担当されていることも意外で、良い意味で脱力できそう。

  • 家族に纏わる短編集。『サニーデイ』オークションに嵌る主婦の話。承認欲求ってやつですかね、暴走っぷりに可笑しさと一抹の切なさ。『ここが青山』似たようなドラマがあったのを思い出しました。適材適所、性別に拘らなくていいんだよね。『家においでよ』これをやられたら、女性としては仁美さんと同じようにそそくさと退散するしかないですね。『妻と玄米御飯』これ、奥田さんの実体験?といったリアルさが(たぶん、違うだろうけど)面白かった。巻末の益田ミリさんの漫画も含めて、くすりと笑えてじんわり楽しかった。

  • どこにでもあるかのような夫婦あるいは家族の姿を、水彩画の様に点描した6短編。
    『サニーデイ』ネットオークションにのめりこんだ主婦の顛末をユーモラスに。
    『ここが青山』主夫業に生き甲斐を見出した失業男。
    『家においでよ』やはり、男の憧れ!
    『グレープフルーツ・モンスター』不倫小説に行ってしまうかと思いきや・・・
    『夫とカーテン』夫の事業と妻の才能発揮が、シーソーのような夫婦。
    『妻と玄米御飯』家族の健康を考える妻の深謀遠慮。
    いずれも、心がホッとし、読後に暖かな余韻に浸れる。

  • 「家」を舞台に中年夫婦を描く短編集。

    新婚の甘いカップルではなく、いつか離婚届を突きつけてやろうと思いながら日々をすごす夫婦でもなく、いろんなズレやらなんやらを感じながらの二人の生活を描いている作品。意外とこういうのないのよね、なかなかいいなぁと思いながら読破しました。

    お気に入りは「夫とカーテン」。見通しが甘く、猪突猛進であきっぽく、何かとしでかす旦那に対し、げんなりしたりいらいらしたりしながら、アイディアを出して手伝ったり、根っこの部分でこの人と暮らしていきたいと感じてる彼女。これからも、いろいろしでかしながら、ちょっと規格外だけど、この二人、意外に幸せに暮らしていくのでは・・・と感じさせる心地いい作品。

  • どこにでもありそうな家族の出来事が描かれている。分かるなぁとうなずいてしまう短編集です。

    特にそうそう!と思ったのは「妻と玄米御飯」。猫も杓子もロハスの時代。大人にはいいかもしれないけど小学生の子供にはちょっとね。でもいきなり経済的に余裕が出て、お洒落な人たちと交流が始まって、影響されてロハスに走るって奥さんの気持ちもわかる。何事もほどほどが一番ですね。

    あと妻に出て行かれたあと家を自分好みに模様替えしていく男性の気持ちもよくわかる。今まで諦めていたものを取り戻し、自分の城にしたいよね。

    全体を通して、心が暖かくなる雰囲気の本です。読後、自分の夫に優しくしようと思った。

    • だいさん
      >自分の夫に優しくしようと思った。

      世の旦那さんはすべて、そう願っていると思いますよ。
      >自分の夫に優しくしようと思った。

      世の旦那さんはすべて、そう願っていると思いますよ。
      2017/11/03
    • reader93さん
      だいさん、ありがとうございます
      だいさん、ありがとうございます
      2017/11/03
  • 読み終えた時に思わず微笑んでしまう話ばかりだった。

    まさか最後に真珠のイヤリングを?!と余計な心配。これはもう夫のレコード・プレーヤーを何としてでも落札するしかないな。の「サニーディ」

    初っ端から夫の会社が倒産、これはちょっと重くなるのかと思ったら、妻が仕事に復帰し夫婦共に適材適所、そこが青山だったの?な「ここが青山」

    妻との別居をきっかけに妻の好みの家をすっかり自分好みの男の溜まり場に変えてしまい、あらあらと心配したが、それが逆に妻の気持ちの刺激になりお互いを必要としているのかな?の「家においでよ」

    「グレープフルーツ・モンスター」妄想の自由。(笑)

    転職を繰り返す夫にあきれていたが実は天性の営業マンなのだと気付き、夫に対する頼りがいや幸せを初めて感じる。せっかくだから生活の心配がない時もいいイラストが描けて、自分の才能も伸ばしたらいいのに。な「夫とカーテン」

    作者自身の実話ですね。な「妻と玄米御飯」作者のロハスに対する考え方が一般的なのかわからないが、あまり知らない自分も同じように考えていた。誤解もあるのかも。玄米御飯がどうだとかじゃなくて、結局作者が奥さんを愛しているところが微笑ましくて好き。

    軽い訳ではなく温かい愛を感じ、心がホッとする短編集。面白かった。

  • サニーデイ ネットオークションにはまる専業主婦の話
    ネットオークションをする醍醐味がよく分かり、
    思わず家の中の不用品を見渡してしまいました。
    くれぐれも本人の大切な物には無断で出品しないことは
    これで肝に銘じられた気がします。
    これからは専業主婦が家の中の不用品を探して
    パソコンに張り付いていて良い思いをしていたら
    ネットオークションに嵌っているかもしれないので家族の人は
    自分の大事な物をしっかりと手元に置いておいた方が
    良いかもしれないです。

    ここが青山  会社が突然倒産し、主夫になってしまったサラリーマン
    主夫になってしまったことから、今まで自分がしてこなかったことに
    興味を持ちそれが天職までと思えるほどになるのは転機だったと思います。
    仕事が無くなってことによって自分の大切なこと
    家族や夫婦の大切さ、環境の大切さなどが分かり
    夫婦の絆が良くなったことが伺えてとても清々しい思いがしました。

    家においでよ  別居生活から理想の生活へと始まった男の話
    別居生活から湿っぽい話になるかと思ったらい、
    久しぶりの一人暮らし生活になりこれぞ男の憧れの生活
    というものを突き詰めていて読んでいて異性でありながら
    羨ましさとこうゆう生活で生き甲斐というのも生まれるなと思えました。
    ラストには微笑ましくハッピーエンドで心が温まりました。

    グレープフルーツ・モンスター 変な夢を見るようになった主婦
    長年主婦をしていると外部との接点が少なくなるので、
    主人公のようにここまでの想像力は働きませんでしたが
    同じような事をふと浮かんだりしたことがあるので思わず頷いしまい
    くすりと笑えてしまいました。
    柑橘系の香りがする人がいたらこれを思い出してしまいそうです。

    夫とカーテン  夫の事業と妻の才能発揮で夫婦で活躍する
    普通ならば夫が仕事を変えてばかりいたら、それはそれで困るのですが、
    妻のちょっとした発想の転換から良い方向へと変わっていき、
    実はこの夫婦は息の合う二人だったと再確認できたかと思います。

    妻と玄米御飯  ロハスに凝り始めた妻と隣人たちに困惑する作家 
    ロハスとまではいかないですが、家族の健康の事を思うと
    この妻のようにロハスに嵌ってしまう人もいるかと思います。
    夫婦や家族の会話に思わず思い当ることがありどきりとしてしまいました。
    この作品はもしかして奥田さん自身のことが描かれているのかなと
    思いながら読んでいたのでとても面白かったです。
    その後の展開も知りたいです。

    どの作品もどこにでもある日常的な生活の中にあるので、
    とても親近感が持てます。
    読み終わった後には心地良く笑えてほっとさせられてました。
    こんな作品を読むと家族、夫婦って本当に良いなと思いました。

  • 「家日和」
    第20回柴田錬三郎賞受賞作。


    久々の奥田英朗。久々の奥田英朗のホンワカ系小説。ネットオークションにはまる専業主婦、会社が倒産し主夫となった夫、ロハスに凝る妻に辟易する小説家の夫・・・。普通の家族に起きた異変を温かい視点で描く。それぞれにそれぞれの面白さとホッコリさが同居している短編集です。


    一番、秀逸だったのは「サニーディ」。綺麗な起承転結が短編という少ない分量にぴたっと設定されています。特に、家族の全盛期は終わってしまったと感じる主婦・紀子の気持ちを綺麗に救い上げるラストシーンがとてもいいですね。終わって見ると誰も不幸にならない、大きな出来事も起きないのも良いです。


    「ここが青山」は、勤め先が突然倒産してしまったサラリーマンを主人公にした話です。倒産=不幸という価値観がある中で、主人公夫婦は自然にそれを受けとめる。なかなか出来ないことです。そんな中で生まれる「俺って主夫に向いているかも」という穏やかさが好きですね。


    ユーモラスを求めるならば「夫とカーテン」がお勧めです。突発的に会社を辞めてカーテン屋を始める夫。猪突猛進型の夫にひやひやしながら仕方なく夫を手伝う妻(イラストレーター)。2人の掛け合いが面白い。


    「邪魔」「無理」を読み終わった人がいるのならば、心安めにいかがでしょうか。きっと休まりますw


    ★収録作品
    ・サニーディ
    ネットオークションに嵌ってしまう主婦。一番ホッコリする。
    ・ここが青山
    突然、会社が倒産してしまったサラリーマン。周りに縛られないこの2人の感覚が好き。
    ・家においでよ
    「サニーディ」に近い読了感。妻が出ていった男としての野望を達成するところ、最後の収束迄の流れが心地よい。
    ・グレープフルーツモンスター
    欲求がグレープフルーツモンスターとして夜に現れる。女性の共感を得られそう。
    ・夫とカーテン
    ユーモア度が一番。
    ・麦と玄米御飯
    ロハスに嵌った妻に嫌気がさした小説家の夫。そんな感情を小説にしてしまった。ちょっと気持ちがわかってしまう。

  • ページ数も程よく移動時間に読もうと思い、購入。前編コメディチックに家族の姿が描かれている。作中最も衝撃的だったのは「ここが青山」の主人公・裕輔の「三十六歳で年収六百万円は、まあ普通だろう。」というセリフ。刊行当時だった10年前は普通だったのかもしれないが、2017年現在では割と高給取りの部類に入るからなあ。良くも悪くも時代の流れを感じた。

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プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

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