- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087465679
感想・レビュー・書評
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まず惹かれた理由として、ローリングストーンズの楽曲から、つけられた各章のタイトル。思わず曲をかけながら、空気感を味わいながらの読書。こういう読書体験は新鮮であった。多少残念だったのがストーンズ初期作品より中期の曲メインであったこと、その辺りであれば完全に個人的趣味でlove is vain、honkytonk wamenなどもあったら、なおのこと感情移入できたのに…
登場人物のジェンダーが分かりにくく、誰が誰か若干わかりづらいが連作短編であり、群像劇という好きなジャンルであった。この作品の前に読んだ、ばかものも、この作品も、解説の方の考察を読んで作品に対する深い愛を感じる。
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はじめはなんだかよくわからなくて、ただの短編かと思ったんだけど、読んでいくと「この人って・・・」と思い当たる登場人物が出てくるようになって、なんだかおもしろくなった。
読み返したときには、関係図を書きました。あーすっきり。
とっても興味深い。こんなの初めて。 -
いや、ちょっと待って、待った、待った。
そう、
今しがた読了した所で、読み進め中も何度も何度も前のページに戻ってみたりとか、したんですけどね。まだちょっと、全体図を把握しきれてない状態です。
まぁ、短編連作ものにはよくあると言えばあれなんだけど。登場人物たちの関わりの持ち方、とてつもなく複雑じゃないですか?これ。
と言うか見えにくく繋がってるというか。
兎にも角にも、読み返しは、必要です。
ただね~。かと言ってすぐに読み返してみたくなるほど響いた部分って、個人的には無かったんだよな~。
まぁまた次の読み物が無くなったタイミングで、じっくり行ってみます。
レビューになってなくてゴメンなさい。
さてさて。
各話のタイトルとしてそれぞれ、ストーンズの曲名をクレジットした本作。そもそも僕もそこに飛びついたひとり・・・なのですが。
意外と、
作品の質感とストーンズ、
合わないです(笑)
筆者は大のロック好きということで、そこはたぶん、狙ってのことなんでしょうね。
という訳でむしろ・・・↓↓↓
♪本日の読書中BGM
きのこ帝国の新譜『愛のゆくえ』 -
再読
stonesのアルバムからのタイトル。
登場人物たちが少しずつ重なる連作短編。
彼らのべたつかない距離感が心地いい。
みんな寂しくて誰かとつながりたくてでも一定の距離を保ち続けている。この距離をつめてしまうと壊れちゃうんだろうな。 -
とても良かった。
高潔と孤独。退廃と足掻き。ほのかに、射す光。
書きすぎない、というより、書かない、文章は、読んでいて心地よかった。
内容の濃さと反比例する、文章量。一行で繋がる、登場人物たちの関係性。複雑の一歩手前できちんと解かれ、ひとすじになる物語。
巧いなあ、と改めておもった。
登場人物もすごく魅力的だった。
熊井と辻森さんが特に好き。
この薄さで、この登場人物の数、この構成。
描かれているのは「今」。
そして、「今」から察せられる「過去」。
語られる過去、ではなくて、察せられる過去。
過去と今が繋がって、物語になる。
大きなカタルシスではないのだけど、繋がった瞬間、確かな充足感が沸き上がる。
解説の佐々木さんも仰ってたけど、行間を読ませるのが本当に巧い。
この読感がたまらなく好き。
絲山さんのがっつり長編も読みたい。 -
これは断じて恋愛小説ではない。
恋愛小説を軽んじて言うのではないし、
まして、これを失敗したなどと言うつもりもない。
これは日々の沼にはまりこんだ人々へむけて
そうでしかあり得なかった生活を、もう一度ことほぐ物語なのだ。
そう、もう一度。である。
この小説において
我々は生まれたことを忘れてしまったのだから。 -
それぞれストーンズの曲をモチーフにした
7編からなる、
芥川賞作家・絲山秋子の
群像劇であり、
初の連作短編集です。
ストーンズと共に
青春を送った自分としては、
タイトルを読んだだけでもう、
これは絶対に読まなければと思った小説です。
しかし泣けたなぁぁ〜(ToT)
久々に上手い作家に会って嬉しくなったし、
とにかく
最後の最後の章で
ヤラレました(>_<)
張り巡らされた沢山の伏線が
回収される様は
もう見事としか言いようがないし、
ただの独立した短編集だと思って気軽に読んでると、
登場人物が
いつの間にかリンクしててビックリ!!
前半はワザとぼかし
名前や性別すら
明かさなかった登場人物たち。
それが4章辺りから
複雑に絡み合う人間関係が
読む方も理解できる構成になっていて
俄然面白くなってきます(^_^)
(あれは伏線だったのかと分かった時、あまりの見事さに思わず唸ります!)
メインは
ギタリスト熊井望(♀)が
昔一緒にバンドをやっていて
疎遠になってしまった
「TT」を忘れられずにいる話。
様々な登場人物が出てくる中で
誰が「TT」なのか?
という謎解きと、
果たして彼女は
「TT」と再会できるのか?
という二つの観点から
読者を飽きさせることなく
引っ張っていってくれます。
ラストシーンの
音のない雪景色の中で生まれる
未来への希望。
詩的で
削ぎ落とされた文章であるにも関わらず、
深く残る余韻、
断片的に登場人物たちの過去を明かしていく構成や語り口も
本当に上手い!
ロックや
ストーンズ好きは勿論、
傷を抱え
悶々とした日々を生きながらも
それでも足掻き続け、
かすかな希望を捨てることの出来ない
全ての「放浪者」に
読んだ欲しい傑作です。
ちなみにタイトルの
「ダーティ・ワーク」は、
1986年にストーンズがリリースしたアルバム名から。 -
すごい。
ぐいぐい引き込まれる作品でした。
構成が見事。
読後の余韻が心地よかったです。
他の作品も、もっと読んでいこう。 -
読み終ってから、軽く読みなおしながら相関図を作成してしまいました。笑
そしたらなんだか倍楽しめた感じ。 -
ただの短編集だと思って読んでいると、ある瞬間、鳥肌がたつ。
脇役にいたるまで全ての登場人物の陰影の深さがひたすらに凄い。