おじさんはなぜ時代小説が好きか (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 77
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465976

感想・レビュー・書評

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  • 『なんで歳を重ねると時代小説を読むんだろうね?』という、友人とのふとした会話の流れから読むことにした1冊。

    未来は過去の繰り返しで、時代小説も言わば“現代小説”であること。進歩しない人間の苦さは今も過去も変わらず、それを描くことで共感性が高まる。藤沢周平なんかはサラリーマンとの親和性が確かに高そう。苦手意識がある分野だけど、ちゃんと読んでみたくなった。これも年齢・経験を重ねてきた証拠なのかも。

    また、内容的には文学的な側面からものだったが、科学的な側面からみるとどうなのかなあとは疑問に思った─ 例えば共感性が高まるであろう中高校生にこの魅力を伝えるにはどうしたらいいんだろう?仁義であったりは経験則からしか学べないものなのか。

  • 岩波の若手社員向けの講義録。時代小説を題材に日本文化論や日本人論を語るという真面目で質の高い内容であり、題名に反して?結構読み応えがある。著者は他著でも文学作品を「史料」として扱い、近現代史を振り返るという試みを行っているが、今回は時代小説に限定して行っている。そこには時代小説を、それが書かれた時代背景の影響を受ける現代小説(同時代小説)として解釈するという、ある種のアクロバティックさがある。
    少々気になるのは著者は「私」への懐疑があるのか、近代的自我に対して批判的な立場をとっている点である。結果、純文学には概ね否定的な印象を受ける。著者の思考がこの事を前提として展開している事には留意しておく必要があるように思える。

  • 13/09/10。

  • 小説を読みこむとはこういうことなのか、恐れ入りました。。
    書かれているのは氷山の一角であり、小説として表出されるまでの作者や時代の背景まで踏まえて読む、著者の視野の広さと深さに驚く。
    歴史認識の重要性、無知なるものに個性など存在しない・・・なるほど。
    自分の時代小説に対する関心の低さの理由がわかった気がした。
    時代小説はテーマをより純粋な形で物語るために適した時代に舞台を設定しているだけで、かたちを変えた現代小説なんだ、納得。

  • 藤沢さん大好きだし、時代劇も結構たくさん見てきたので、この本とても楽しかったです。特にあまり知らなかった長谷川伸の章を興味深く読みました。その後BSで放送された高倉健主演「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」を見て、あ、なるほど、と思いました。

  • 結構読んでるほうだと思ってたけど実はまだまだだな、私。

  • 再読。同じ小説を読むのでも、作者や書かれた背景について知っているのとそうでないのとでは、面白さがまったく違うということが分かる一冊。

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著者プロフィール

1949年、新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。
1985年『海峡を越えたホームラン』で講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊ちゃん」の時代』(共著)で手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で講談社エッセイ賞受賞。『ソウルの練習問題』『「ただの人」の人生』『中年シングル生活』『白樺たちの大正』『おじさんはなぜ時代小説が好きか』『汽車旅放浪記』『家族の昭和』『「解説」する文学』など著書多数。

「2015年 『子規、最後の八年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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