谷崎潤一郎フェティシズム小説集 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 877
感想 : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087466164

作品紹介・あらすじ

女郎蜘蛛の入れ墨を背に彫り込まれた娘が、自らの裡にひそませる欲望を解き放ち、あざやかな変貌をとげる「刺青」、恐怖に取り憑かれた男の禁断の快楽を描いた「悪魔」、女の足を崇拝する初老の男と青年が、恍惚の遊戯に耽り、溺れていく「富美子の足」など、情痴の世界を物語へと昇華させた、谷崎文学に通底するフェティシズムが匂い立つ名作6篇。

感想・レビュー・書評

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  • 谷崎潤一郎が好き。
    マゾヒズムとフット フェティシズム。
    短編集。
    刺青、富美子の足
    耽美なこと。

  • 谷崎潤一郎のフェティシズムを、存分に味わうことが出来る1冊。

    よくもまぁ、こんなに書けるものだ…こんなの、谷崎じゃなければ、思い付かないだろう。
    趣味炸裂、と言ったところか。

    どの話に出てくるフェティシズムの対象も、よくよく観察しないと書けないぞこれは…実際、どうやって書いたのだろうか。観察しながら書いたのか、それとも想像しながら書いたのか。

    いやはや、どの作品もすごいけれど、やはり富美子の足がすごいな。足の話だけで何ページ使うんだ。素晴らしい。
    自分の命と女の踵を天秤にかけ、後者の方が尊い、踵のためなら喜んで死ぬ….素晴らしいほどの脚フェチ。谷崎潤一郎ほどの脚フェチはいないだろうな。

    私も美脚になりたい。

  • 病的です。フェティシズムの対象を崇拝し、変態として酔い痴れ、堪能し尽くす…文体の美しさが近頃のフェチものとは別格。
    「悪魔」にいたってはかんだ後の鼻水ですよ?きちゃない。幸い、この境地には達しておりません。

    「刺青」「悪魔」「憎念」「富美子の足」「青い花」「蘿洞先生」収録。
    「刺青」と「富美子の足」が同時収録されているのがいいですね。

  • 何ページにもわたって脚についての魅力を語っていたり
    ちょっと一般人のわたしからしたらひいてしまうような性的嗜好を持つ主人公ばかりの短編集なのですが、文章が美しいので最後まで読めました フェチという言葉は現代ではかなり一般化していますが、これには真のフェティシズムの深淵を垣間見せられた・・・!

  • 富美子つきあいよすぎて笑った

  • 「谷崎先生の、自己フェティシズムフェチ。」

    至宝の女体に施した刺青が女の性分までを一変させた表題作「刺青」、自分を秘密の楽園に誘ったモノとは…「悪魔」、その一部に憎しみを抱いたが最後どこまでも憎み続けずにはいられない「憎念」、隠居と僕を虜にした足「富美子の足」、女が身にまとう洋服への妄想と執着を描く「青い花」、もはや自虐的な「蘿洞先生」6編収録。

    まずはおさらいしときましょう。
    性的フェティシズムとは

    「異性の肉体の一定部分や、女性が身につけている衣服の断片あるいはそれと密接な関係にある物体などに性的な興味が集中し、それらに異常な強度をもって性欲を刺戟される倒錯性」(解説より)

    谷崎先生、噂通りの変態ですな。

    とくに足に対してのこだわりは大変なものだったらしい。
    「神」ともあがめる足の持ち主である若いお妾さんの、その足に
    額を踏みつけられながら大往生、なんてもはや想像を超えている。

    ここには、とりあえずそうしたフェティシズムを持ち合わせない人にとっては
    「あなたの知らない世界」が繰り広げられています。

    一つ一つにはまあ目が点になったりするのですが
    この短編集全体を俯瞰してみてみると
    谷崎先生は自身のフェティシズムに相当な興味があったのでは?
    なんていうことが感じられてきたりするわけです。

    女体に施す刺青であったり
    鼻水まみれのハンカチであったり
    顔の上の足であったり
    女の皮膚の一部と思える洋服であったり
    書斎の机の上でのお尻ぺんぺん、これはもう漫画ですが

    大好きなおもちゃを上げてみたり下げてみたりいろんな角度からそれを眺めて飽きない
    谷崎先生の子供のような無邪気さがそこには見えてくるのだわ。
    もう自身のフェティシズムこそがフェチの対象になってます。

    でもその自己観察の鋭さやこだわりを突き詰めて見せたところに
    近代文学の名匠としての谷崎潤一郎があったんだろうなあ。

    本短編集、作品のセレクトそのものはもちろんですが装丁もいいです。
    表紙の尺八と三味線を持った妖しげな制服姿のおねえさん、
    背徳の香りを漂わせつつもモダンでからりとしたその表情は
    谷崎先生の無邪気なフェティシズムをヨシヨシするかのよう。
    編集の妙にも拍手。

  • 足がお好きなんですか谷崎潤一郎先生。
    本の薄さに反比例するように中身の濃い一冊でした。

  • 私は線が好き。

  • フェチって「なんだか罪悪感のある執着」だと思っているのですが、どの話もそんな後ろめたい雰囲気があって好きでした。「好き」なんていうレベルじゃあないんですよね、フェチ。

    「なんだか罪悪感」なので、思い切りはよくないんです。話の展開も。あとにモヤモヤと残る感じ。しかしそれこそフェチとしてのリアリティだなぁと思いました。「え!?」と、じゃっかん置いてきぼりになるのですが、フェチなんて他人に理解されたらたまらないので、置いてきぼりにされた方が、より自然な表現ですよね。

  • どれも強烈な作品ばかり。

    『刺青』では読んでいるだけでまるで眼前に現れるようだし、『憎念』は最後の箇所が心に刺さる。すなわち、「『恋愛』と同じく『憎悪』の感情は、道徳上や利害上の原因よりも、もっと深い所から湧いて来るのだと思います。私は性慾の発動を覚えるまで、ほんとうに人を憎むということを知りませんでした。」の箇所だ。人を憎むというのは、確かに根深く、理性が及ばない。憎いものは憎いのだ。

    『富美子の足』はフェティシズムもここまで来ると人間の根源なのかもしれないと思う。

    一番印象に残ったのは『青い花』で、銀座の街中での妄想は、妄想しようとしたってなかなかできるものではない。そもそもあぐりはそこにいたのか。

    集英社文庫の谷崎小説集は犯罪、フェティシズムと読んできて、残すところマゾヒズム集だけ。早く読みたいような、少し取っておきたいような。よくもまぁこれだけ思いつくものだ。

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著者プロフィール

谷崎潤一郎

明治十九年(一八八六)、東京日本橋に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝国大学国文科に入学するも、のち中退。明治四十三年、小山内薫らと第二次「新思潮」を創刊、「刺青」「麒麟」などを発表。「三田文学」誌上で永井荷風に激賞され、文壇的地位を確立した。『痴人の愛』『卍(まんじ)』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』『鍵』など、豊麗な官能美と陰翳ある古典美の世界を展開して常に文壇の最高峰を歩みつづけ、昭和四十年(一九六五)七月没。この間、『細雪』により毎日出版文化賞及び朝日文化賞を、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を、また昭和二十四年には、第八回文化勲章を受けた。昭和三十九年、日本人としてはじめて全米芸術院・米国文学芸術アカデミー名誉会員に選ばれた。

「2021年 『盲目物語 他三篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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