平成大家族 (集英社文庫)

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  • 集英社
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レビュー : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087466188

感想・レビュー・書評

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  • 夫の事業の失敗で自己破産に追い込まれた長女一家と、
    離婚直後に妊娠が発覚した次女が、次々と実家に戻ってきた。
    三十路のひきこもり息子と認知症のおばあちゃんを抱える緋田家は
    突如大家族となり、てんやわんやの大騒ぎ。

    有名私立中学校から地元の公立中学に転校を余儀なくされた
    長女の息子が、いじめに合わないようにサバイバルする様子や、
    不妊が原因で離婚した、次女の不可解な妊娠で湧き上がる父親の謎など、
    各章語り手が変わり各々の事情が明らかになる。
    ほんわかムードの、ありがちな大家族小説ではなく、
    各々が直面するシリアスな問題を抱えているところが平成の大家族である。

    部屋に引きこもり、まともに顔を合わせない息子を不愉快に思いながらも、直接対峙を避ける父親や、
    子供の父親は誰なのかを妹に直接尋ねられない長女など、
    プライバシーにずかずか踏み込まないのがいい。
    子供達を家に受け入れ、小さな不満がありながらも彼女らの選択を尊重する、
    のんびりやさんの母親のスタンスが好き。
    あっ、父親は何も考えてません。どこの家でもそうですが(笑)

    • まっきーさん
      夢で逢えたら…さん

      こんばんは。
      いつも花丸ありがとうございます(o^∀^)

      この本、とても(語弊があるかもしれませんが…)楽...
      夢で逢えたら…さん

      こんばんは。
      いつも花丸ありがとうございます(o^∀^)

      この本、とても(語弊があるかもしれませんが…)楽しそうで
      読んでみたいなと興味がわきました♪

      特に「お父さん」のところが(笑)気になります!
      2014/12/12
    • 夢で逢えたら...さん
      まっきー♪さん、花丸&コメントありがとうございます。

      レビューを読み返してみたら、なんだか深刻そうなお話のようですが、そうではなくて、...
      まっきー♪さん、花丸&コメントありがとうございます。

      レビューを読み返してみたら、なんだか深刻そうなお話のようですが、そうではなくて、
      仰るとおり楽しいですよ。
      下手なレビューでお恥ずかしいです。
      すっとぼけたお父さんが、いい味だしてます(笑)


      2014/12/13
  • 大家族の話。でもバラバラ。一編が短くて、語り手がどんどん変わって行って、しかも何時の間にか2年ぐらい経過しているのが楽しいです。
    解説が終始「東京バンドワゴン」を引き合いに出していたのがなんだか嫌だったな。
    2012/8/18読了

  • 最近、中島さんばかり読んでいるけれどこの作品が今のところ一番面白い!計8人、後に9人の大所帯をとてもうまくまとめている。中だるみもない。それぞれに個性の強い緋田家の面々、長男が30歳にしてひきこもりというのがすごく現代ぽいのに悲壮感まるでなし。長男はある時から悟り、むしろ外に出ないということを決断したから天晴。でもその長男がなんと。。タケおばあちゃんのエピソード、長女夫のエピソード素敵だった。山田洋次監督の『家族はつらいよ』を彷彿とさせる。話は違うけれど。誰も不幸にならない良質なホームドラマ、ここに有り。

  • 状況的に最悪なのに、なんだか和やかな雰囲気で暖かい。
    個々のキャラからの視点があるので、深い事情や思いが分かるのも嬉しい。
    家族がいるからか何となく先が明るく見えていて、内容的に暗くないので読みやすかったです。

  • 『小さいおうち』しか読んだことがなかった中島京子。直木賞受賞作のそれは映画化されたさいに原作ということで読み、とても心に沁みました。その作風しか知らなかったら、これは森見登美彦などにも通じるコミカルなタッチ。びっくりしましたがさらに好きになりました。

    72歳の緋田龍太郎と66歳の妻・春子。90歳を過ぎた姑と30歳のひきこもりの息子との4人暮らし。いろいろ文句はあるものの、穏やかに暮らしていたはずだった。ところが、事業に失敗して破産した長女一家が同居させてくれと言う。続いて次女が出戻ってきて、一気に倍の8人所帯に。

    本作はそのひとりずつの目線で語り継ぐ11話。なにしろ1話ごとのタイトルからして面白い。龍太郎が好んで使うややこしい横文字に始まり、「酢こんぶプラン」、「公立中サバイバル」、「時をかける老婆」などなど。特に好きだったのは長女の息子編。家にお金がなくなったせいで、猛勉強して入学した私立から公立への転校を余儀なくされ、公立でどう生き延びるかをひたすら考えます。各話にたびたび姿を現す少しボケ気味の姑もなくてはならない存在。時折声に出して笑ってしまうほどユーモラスでした。

    『小さいおうち』以外ノーマークでしたが、これは大人買いしたくなってしまう作家です。

  • 要介護の義母と妻、
    そして引きこもりの息子、
    4人で生活しているところへ
    長女夫婦とその息子、
    そして次女までもが実家にやってくる。

    いると、煩わしかったり気がかりも多かったりするが、
    いよいよ旅立ちます、となると
    妙に寂しい。

    引きこもりの理由、それぞれの家族の事情が平成風。
    なんだかんだで面白かった。

    結局、緋田家は春子さんが家長みたい。

  • 初めて読んだ作家の本。
    タイトル通り、現代の4世代同居の大家族の話。
    おばあちゃん、息子夫婦、その息子の三人の子供、その孫という構成の家族のそれぞれの家族の目線で描かれた11話からなる本。

    昔の大家族と違い、現代ならではの家族の様子、引きこもり、離婚、破産、認知症・・・そんな問題がそれぞれの話から見えてくる。
    かと言って、それほど深刻でもシリアスでもない。
    けれど、大家族ならではのコミカルなドタバタ劇という訳でもない。
    すごく中途半端な印象を受けた。
    ユーモアをもって描いたと思われる場面も全く面白味を感じないし、文章がこういう話を書くのに向いてないように感じた。

    特にもったいないと思ったのは、大家族のそれぞれの立場で描いているのに、その人たちの会話ややりとりが薄く心の交流みたいなのが感じられないということ。
    もっと一人ひとりの登場人物を生かして書いてたら面白くなってたのに・・・と思う。

    読んでいて思ったのは、これを他の人が書いたらどうなるんだろう・・・ということ。
    もっと面白くなりそうな気がする。
    とにかく、私にとっては読んでいる間ただただ退屈な本だった。

  • 【2016.5.3】
    タイトル通り、まさに「平成」の「大家族」の物語なのだな、と。
    考えてみたら家族というのは定義が難しい。血がつながっている、一緒に暮らしている、そうしたことが必ずしも家族を作るわけではないだろうと思う。たとえば祖父母を含む2世帯6人暮らし、これを6人一家族とするのかどうかだってきっと誰から見るのか、角度によって見え方がちがう。平成のこの世はとりわけ家族の色が様々だ。(ちなみに6人暮らしは我が家の家族構成で、私にとっては6人家族でした)

    『平成大家族』で描かれる緋田家は、老夫婦ふたりと15年間家から出られない長男、92歳の老母の4人暮らし。そこに会社を潰して帰ってくる長女一家3人。離婚、かつ身重で出戻る次女。
    誰と誰がどこまで家族なのか、みんなまとめて大家族なのか、それともそれぞれ孤独を抱えて一人なのか。
    異なる登場人物から切り取られる家族像が色とりどりで読み応えがある。距離が近ければ近いほど衝突が起きて家族じゃない!という気持ちを強めることもあれば、そこまで衝突できるような関係性は家族だからこそ、と思ったり、奥行きがある。
    さらりと読めたけれど、深い後味を残す一編でした。家族って寄せ植えのよう。うまく育ったりそうでなかったり、植え替えたり場所を変えただけで育ち直せたり。

  • 緋田夫妻は引き籠りの息子克郎、認知症の母との4人暮らし。
    問題が有りながらも静かな日々を送っていたが、長女の夫が事業に失敗し、孫を連れて身を寄せてきた。次女は夫と離婚し戻ってくるがお腹には子供がいる。
    居住人数が4人から倍の8人(お腹に+1人)となり喧々諤々の生活が始まった。

    8人それぞれの人間模様を描いた連作集で、ひとりひとりの考えている事は本人しか分からずバラバラに動き回っているように見えるけれども、各々は自分の人生をより良くしようと必死にもがいている様子がとってもプリティー。
    誰も彼もちょっと自分勝手で、それでいてなんだかんだ繋がっているのに、お互いの心はちっとも分かっていない。きっとそんなもんなんでしょう家族って。

    緋田家の構成
    龍太郎
    72歳当主 元歯科医で事なかれ主義。

    春子 
    龍太郎の妻 タケの介護と家事全般を受け持つ主婦。龍太郎には気障なセリフで口説かれて結婚した想い出がある。

    タケ 
    春子の母 認知症だが自分の事は自分である程度出来る。現在と過去が入り混じるが概ね健康。

    克郎 
    30歳過ぎ 長男 存在感が希薄ですぐに忘れられてしまう。太っているのは少年時代にイカふりかけと出会いごはんを食べすぎたせい。働いた事が無く絶賛ニート中。

    逸子 
    長女 夫が会社を潰し財政的に立ち行かなくなったため実家に身を寄せる。夫を責めたりしないが、息子が市立高校を辞める事に心を痛めている。

    友恵
    次女 フリーライタ 結婚していたが妊娠計画のあまりの鬼気迫りっぷりに夫がドン引きし離婚する。離婚前に目を掛けていた若手芸人とイタシテしまい妊娠、シングルマザーへ。

    聡介 
    逸子の夫。会社を潰し途方に暮れるが基本的にやろうと思った事は追及するタイプ。何故かブドウ畑の手伝いのバイトをするが、農業に目覚めその経営手腕に一目置かれる。

    さとる 
    逸子、聡介の息子。名門校い進学していたが経済的理由で公立へ転校。いじめをされないように自分でマニュアルを作成し実行している。いじめを受けない為にいじめを見て見ぬふりをする自分に葛藤する。


    僕のお気に入りは克郎君で、ニートながら株で小銭を稼いでいる。一応お風呂なんかも夜中に隠れながら入っているので臭くは無さそう。タケの介護をしている女の子と可愛らしい恋愛をするが、その時に彼女からは森のくまさんという評価を受ける。
    森のくまさんのような風貌とうまい棒大好きという所がとってもシンパシー。とても他人とは思えません。

  • 出ていった家族が戻ったきて大家族になり、また出ていって大家族が終焉する。その間に家族各々に起こる心の変化を軽妙洒脱に書いた作品。中島京子はおもしろい。

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著者プロフィール

中島京子(なかじま きょうこ)
1964年東京都生まれの作家。『FUTON』でデビュー。著書に『小さいおうち』(直木賞)、『かたづの!』(河合隼雄物語賞・柴田錬三郎賞)、『長いお別れ』(中央公論文芸賞)等。2019年5月15日、新刊『夢見る帝国図書館』を刊行。

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