さよならの余熱 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 108
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087466508

作品紹介・あらすじ

一緒に暮らす恋人に、最近わたしはすぐに苛立つ。好きなのに、優しくしたいのに、彼を追い詰める言葉ばかりが溢れ出し-(「つまらぬもの」)。退屈な日常を変えて欲しくて、会社員の芹澤さんと付き合い始めた。でも、高校で援交の噂を立てられて…(「暮れていくだけ」)。甘やかな恋心は、いつしか胸をしぼる切なさに形を変える。恋の至福ととまどいをひたむきに描いた全9話、文庫オリジナル。好評『ハニービターハニー』に続く第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 半身浴のおともに最適な恋愛連作短編集。

    最初の「つまらぬもの」は、わかるわかるという気持ちでいっぱい。
    恋の終わりとか始まりとか、大きな目で見ればそのへんにいくらでも転がっている。
    大きく見れば、特別じゃない。
    だけど、その人からみたら特別。それが恋愛ですよね。

    追体験できるような日常の恋愛を書いてくれる人は多くない。
    まして、今回は連作短編集。
    先生を好きな生徒の話があれば、彼女の浮気に気づいたその先生の話があり、かと思えば、その彼女の純愛浮気話があり・・・
    繋がる物語に、次は誰が主人公かとわくわくしながら読みました。
    それぞれの短編が思わぬところでリンクしている。連作短編集は好きだなあと改めて思いました。

    普通かもしれないけれど、非凡な著者が書いた物語に出会えて幸せです。

  • 後書きが西加奈子だったんだけども、おふたりはお友達だそうで、わたしはこちらの著者はお初だったので、えーそうなんだー!!!なんて少し喜んでしまいました。

    そんなこちらの恋愛小説。

    ホント、後書きでもあるよーに、とにかく普通なんだよね。短編に短く幾つもの恋愛を描いているんだけども、なぜかそれなんかわたしも経験したなぁ。と、おもうような甘辛い思いが一気に蘇るような一作一作で、どれも経験したような、体験したような、友達から聞いたような、いやいや、やっぱりわたしのできごとだ!って思うような、そんな恋愛小説で。

    この歳になって今更振り返ることもできないようなささやかな気持ちが蘇る、そんな不思議な体験ができる恋愛小説でした!!!!!

    40歳であの頃、17とか18歳の気持ちやら、二十歳以降のあのあたりやら。笑笑

    そんな振り返りと共に読めて、わたしの話じゃないけど日記を読んでるような、こんなふうに物語描けたら、誰の人生も本になるよなぁ。

    と、作者の巧みさに圧倒です。

    きっと、誰でも自分のことだと思える本だと思う、笑笑

    本の中にある、

    まさかという坂はある。

    という一文。

    まさにそうだわ。こんな恋愛してきて、まさかの今の旦那と結婚して子ども産んでるなんて、まさに、あの頃のわたしからみて、まさかという坂だったな。と、実感してます。

  • 「おままごとみたいなことを…」って言われるシーンがすごく好き。
    最大にバカにした見下し。言いたい。

  • これも切ないけれど、なんか好き!と思った本。

    長い間恋と無縁の日々を送る私も、キュンとしたり、誰かを愛おしいと思う気持ちを思い出した!

  • 「私が寝てたら何時に帰って来ようといいの?12時半が朝の5時になろうと関係ないの?」「なんでそんな極端なの?」って掛け合い、両方に対してそれなだった。書き写すの嫌になるぐらい、1.つまらぬもの、は自分のことだった。まとめると、切ないフェードアウトにとても惹かれる。共感しすぎて書き写すのも迷った。

    2022.9.15
    何も響かなくなってたけど、何にも共感できなかったけど、でもすごく面白かった。

  • 小さな繋がりが見え隠れする短編連作集。

    普通の人々の、普通の恋。その始まりや終わりを描いた作品が集められています。
    抑制が効いている、ニュートラル、そんな言葉が思い浮かびますが、修羅場一歩手前のギスギスした空気もあって…。
    我が事の様に感じてしまう女性も多いのではないかと思う。

  • 加藤千恵さんの小説はいいなぁ。どこにでもある日常。ひょっとしたら自分にも似たような恋をしたことがあるかもしれない。そんなひとこまを抜き取って書くのがうまい。不思議な標識だったり、登場人物だったりがほんの少しリンクしたとある一風景を切り取ったお話。西加奈子さんの解説がまたよい。2012/376

  • いくつかお話が入っているんですけど、全部がどこかでつながってるんですよね。
    友達だって、その辺の道ですれ違う人だって、みんなそれぞれ一生懸命いろんな形の恋愛をしているんだってことだと思いました。
    恋愛っていいことばかりじゃないけど、絶対無駄なことなんてない!
    と、信じています(笑)

  • 作者は若いのに、色んな感情の描写があり、すごいな。

  • 恋愛小説を読みたくて手に取った一冊。
    うーん…ちょっと違った。
    先は読者の想像に任せるというのも分かるけど、
    どれも終わり方がとても中途半端。
    普通のありふれた展開をどう落とし込んで面白くさせるかっていうのが
    小説だと思う。
    でも、今の若い世代はこういうのが好きなのかな。

    ちょっとした状況の描写もあまり好きではなくて、
    あまり話に入っていけなかった。

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著者プロフィール

1983年、北海道生まれ。歌人・小説家。立教大学文学部日本文学科卒業。2001年、短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビュー。2009年、『ハニー ビター ハニー』で小説家としてデビュー。その他、詩やエッセイなど様々な分野で活躍。著書に『あかねさす――新古今恋物語』『真夜中の果物』『こぼれ落ちて季節は』『この街でわたしたちは』『消えていく日に』『そして旅にいる』『マッチング!』などがある。

「2023年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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