マイ・ブルー・ヘブン 東京バンドワゴン (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.17
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本棚登録 : 2328
感想 : 210
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087466867

作品紹介・あらすじ

終戦直後の東京。華族の娘、咲智子は父親からある文書が入った"箱"を託される。それを狙う敵から彼女の窮地を救ったのは、堀田勘一という青年だった。古本屋「東京バンドワゴン」を営む堀田家で、咲智子はひと癖もふた癖もある仲間たちと出会い、敵に連れ去られた両親の行方と"箱"の謎を探るため奮闘する。いつも皆を温かく見守るおばあちゃん・サチの娘時代を描く人気シリーズ感動の番外編。

感想・レビュー・書評

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  • 「東京バンドワゴン」シリーズの番外編。
    サチさんの娘時代のお話です。

    五条辻咲智子は、子爵の父親から木箱に入ったある重要文書を渡され、静岡の伯母の家へ持って行くよう頼まれる。
    〈箱〉を狙われ、アメリカ兵に連れて行かれそうになる咲智子を助けたのは、堀田勘一だった。
    命の危険から身を守るために、咲智子は勘一の結婚相手堀田サチとして、堀田家に世話になることになる。
    勘一の父親も母親も温かく、堀田家に寝泊まりする混血の若者や元軍人や戦災孤児など、終戦直後の東京ではそれぞれみんなが何かを抱えて生きているけれど、堀田家に悲しい顔は似合わない。
    堀田家の家訓に従って事が運ばれていきます。
    ジャズバンド〈TOKYO BANDWAGON〉も登場し、粋な流れになっていきます。

    この物語を読んで、勘一とサチの素敵な馴れ初めを知ることができ、堀田家をますます好きになりそうです。
    そして、サチを重い荷物から解放し、命がけで守ってくれたあの頃の仲間たちがいたからこそ、いつも家族を温かく見守るサチおばあちゃんの存在があるのですね。

    あの昭和20年の夏に見た、まるで台風の過ぎ去った後のような空の色、紺、藍、青は、のちに生まれるサチさんの孫たちの名前になっているようです。

  • 久しぶりの東京バンドワゴン!妻から4巻目はちょっと違うよ~ということで期待度大。なるほど、今回は戦後すぐの堀田家で、番外編だったんだね。国家秘密の重要文書を託された子爵の娘・咲智子(サチ)が、両親から逃げろと言われ、浜松に移動するが、途中で米軍につかまりそうになる。そこで堀田勘一に助けられ、東京下町・古本屋に辿り着く。いつもながら堀田家の優しい仲間達に守られてサチが奮闘する。秘密文書を狙いに来るヤバいやつら。それに対応する堀田家と優しい皆さん。このコントラストが良かった。勘一とサチの馴れ初めも堪能した。⑤

    堀田家の家訓「文化文明に関する些事諸問題なら、如何なる事でも万事解決」

    • moboyokohamaさん
      「マイ・ブルー・ヘブン」
      良かったですねー。
      堀田家がここから始まるっていう感じでした。
      勘一とサチの出会いがなんとも堀田家らしい。
      シリー...
      「マイ・ブルー・ヘブン」
      良かったですねー。
      堀田家がここから始まるっていう感じでした。
      勘一とサチの出会いがなんとも堀田家らしい。
      シリーズの中で一番味わいを感じました。
      2022/09/19
    • ポプラ並木さん
      moboyokohamaさん,
      こんんいちは~コメントありがとう!
      堀田家の起源でしたね。
      サチのさばさばしたところが一気にファンにな...
      moboyokohamaさん,
      こんんいちは~コメントありがとう!
      堀田家の起源でしたね。
      サチのさばさばしたところが一気にファンになりました。
      5巻目も一気にいこうと思います。
      図書館から立て続けに予約本が届くので困りました。。。
      2022/09/19
  • 東京バンドワゴンの番外編。通常版の語り手である堀田サチと勘一との出会いを含めて壮大な過去の事件の話。いつものほんわかした話とちょっと違ったが戦後の混乱期の様子が描かれていてとても面白かった。まさに東京バンドワゴンのルーツの話でした。

  • ☆4

    シリーズ4作目(番外編)

    勘一とサチさんとの出会いや、サチさんの生い立ちを知ることが出来ました。
    これまでのシリーズに登場した人物も出て来て、とても楽しめた番外編でした❁⃘*.゚

    • やんばるさん
      こんばんは。
      勘一さん推しキャラです!
      毎年年を重ねて行く展開に人物の成長を感じますね。
      いつか勘一さんが居なくなっちゃうのか不安になること...
      こんばんは。
      勘一さん推しキャラです!
      毎年年を重ねて行く展開に人物の成長を感じますね。
      いつか勘一さんが居なくなっちゃうのか不安になることも。
      ずっと続いて欲しい作品ですよね。
      2022/11/12
    • のんさん
      やんばるさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます❁⃘*.゚

      いつも素敵な勘一さんですが、若かりし頃の勘一さんもとっても素敵でした!...
      やんばるさん、こんばんは。
      コメントありがとうございます❁⃘*.゚

      いつも素敵な勘一さんですが、若かりし頃の勘一さんもとっても素敵でした!
      まだ4作目を読み終えたところですが、これからの物語の展開がとても楽しみです。
      やんばるさんと同じく、ずっと続いて欲しい作品だと思っております(*´˘`*)
      2022/11/12
  • なんて楽しい展開!
    まさかの戦後の物語。登場人物は馴染みのあの人たち。
    こうきたか!と、わくわくしながら読みました。
    名前だけは知っていた人たちが生き生きと動き出す様子にすっかり引き込まれました。私の知っているおじいちゃん、おばあちゃんじゃない。二人の恋模様にもきゅんとする。

    ちょうどこの前やっていた朝ドラ、カムカムエブリバディを少し思い出したりもして、戦後の大変な時期ながらも復興の熱気や格好いいジャズの音色が感じられるようでした。

    振り返ってみると、本当に盛沢山で、読み応えがあるのですが、草平さんが特に素敵。
    「何かを得た人間は、その得たものをどう使うかで値打ちが決まる」なんて考え、好きだなぁ。

    時間はまたいつもの日常に戻るのかな?サチさんも今までとは違った目で見てしまうこと間違いなし。

  • 東京バンドワゴンシリーズ第4弾。
    第3弾で、少しだけ触れられていたサチさんと勘一さんが出会うきっかけとなった事件から結婚までを描く番外編。

    終戦直後のごたごたの中で、日本の行く末を左右するかもしれないある文書の存在。
    その秘密をにぎる子爵のお嬢さまを狙うGHQや旧陸軍などの関係者たち。
    やさしく魅力的な彼女を敵から守りながら、ともに楽しく生活を送るナイトのような面々。
    ストーリも文句なくわくわくドキドキし、楽しめる。

    「有閑倶楽部」のメンバーのように得意技を持ち、洒落た気のいいひとたちとその親世代にあたる思慮深い大人たちが策をめぐらせ、敵に立ち向かう冒険小説の趣が楽しい。
    と同時に、戦後の困難な時代を明るく前向きに歩いていこうとする姿に勇気が湧いてくる。

    さらに、あとがきがとにかくうれしい。
    この魅力的な登場人物たちがいきいきと躍動する1冊を書店員さんが愛情を持ってオススメし、見どころを見事に解説してくれる。(さすがプロ!)
    『解説』とあるけれど、好感度の高いレビューといった方がいいでしょう。

    3巻までのサチさんがあまりにも素晴らしく、できた人過ぎて、最初はうらやましく憧れた私も、心の奥の方にあるあまのじゃくな部分が顔をだし、少しばかりうんざりして、自己嫌悪に陥ることもあったのだけれど、それすらも掬い上げてくれた。

    ありがとう、店員さん!
    おかげで、大好きな本がやっぱり大好きなシリーズであると再確認できました!

    「わたしは、それが人の本質ではないかと思うんです。美しいものを美しいと感じられる。素晴らしいものを素晴らしいと思える」(P274)

    人の持つ良心を信じさせてくれるサチさんのつぶやきに共感し、じわーっと温かな気持ちが満ちてくるおすすめの1冊です。

  • 東京バンドワゴンシリーズのスピンオフ
    いつもの天の声 サチさんが勘一のお嫁さんになった頃のお話でした。
    どことなく上品な雰囲気が漂う素敵な方だなぁと思っていましたが、元華族のお嬢様!なるほど‼︎
    戦後のゴタゴタの中個性的なほんとに素敵な仲間たちとのお話 とてもよかった。
    このお話を読んでグンと親近感が増して更に次回からが楽しみになった。

  • 本シリーズの語り手であるサチの堀田家の一員となったくだりを描いた番外編。若き日のサチ、勘一、前作に登場するジョーやかずみなどが生き生きとした姿で登場し、物語はあたかも時代活劇のように展開する。登場する人々の優しさ、おおらかさは変わらないが、前作までとは多少趣きの違う作品。これはこれで面白く読ませてもらった。

  • 勘一とサチが出会ったころ、戦後まもなくの東京バンドワゴンのお話。草平、勘一、サチに加え、かずみ、マリア、ジョー、十郎といったメンバーが活躍します。正直、勘一とサチの出会いにこんなエピソードがあったとはと驚かされました。あと意外な特技にも。このお話を読むと、今までのこのシリーズで、曖昧だった部分のうちのほとんどが線でつながったような感じでした。そして、現在の東京バンドワゴンの堀田家の家族の性格や特技がどこからきたのか、納得してしまいました。早く続きが読みたいです。

  • サチと勘一にこんな過去があったとは。
    シリーズで1番面白かったけど、前作までを読んでない人には、順番が来るまで待って、と言いたくもなる作品。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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