- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087466980
作品紹介・あらすじ
チェルノブイリ原発事故で消えた村。いつかみんなが戻ってくる日を信じて教会を再建するおじいさん。がんのため痛みと闘いながら、歌い続けたジャズ・シンガー。阪神大震災で隣に寝ていた母を亡くし、自分を責めて生きてきた女の子-。過酷な状況、深刻な病気でも、ひとつのいのちを丁寧に生きる人々。大切なかけがえのないものをなげださない姿をあたたかく見つめる医師の希望と感動のエッセイ。
感想・レビュー・書評
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「がんばらない。でも、あきらめない。希望を捨てない」
「私はこの体て生きていくしかないんだ。だったら、うじうじせず前向きに明るく生きて、一度きりの人生を思いっきり楽しんでやろう」(本文より)
私は双極2型障害の当事者です。病気が再発して20年が経ちます。良くなってきているとはいえ、日常生活に支障が出ることがあります。
いろんな薬を試してきましたが、症状は思うように改善されず、失望しそうになることがあります。
でも、いつか自分に合う薬ができるかもしれない、希望を持って暮らしていこうと自分を励ましてきました。
上記の2つの言葉は、私の思いを顕在化してくれていると思い、勇気づけられました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
困難を抱えながらも、自らの人生を投げ出さずに、しっかりと向き合って生きてこられた方々のノンフィクション。
「心がつらいときほど、日常的なことを丁寧にやっていくことが大切」とのこと。
もっと日々を丁寧に過ごしていこうと思います。 -
今日は、新宿・京王プラザホテルのラウンジで医師の鎌田實さんを取材。
鎌田さんの取材は7年ぶり、2度目。我が家は夕食どきに日テレの「news every.」をいつも見ており(なんとなく習慣で)、そこにレギュラーコメンテイターとして鎌田さんが出ておられるので、お久しぶりな感じがしないのであった。
一昨日書いた『アハメドくんの いのちのリレー』のほか、近刊のエッセイ集『なげださない』(集英社文庫/630円)を読んで臨む。
2年前に出た単行本の文庫化だが、あたかも東日本大震災をふまえて書かれたものであるかのように、いまの日本で読まれるにふさわしい内容の本だ。
鎌田さんが出会った、さまざまな困難に直面しながらいのちを投げ出さず、ていねいに生きる人々の物語を10編収めている。
がんの痛みと闘いながら最後まで歌いつづけたジャズ・シンガー・石野見幸さん。
阪神大震災で横に寝ていた母を亡くして以来、自分を責めて生きてきた女性。
ノーマン・カズンズ氏(米国のジャーナリスト)との出会いを機に蘇生した、元「原爆乙女」の女性。
アルコール依存症で地獄を見ながら、傷ついた子どもたちをカウンセリングするなかで自らも蘇生していった男性etc.
……いずれも、“人との絆によって人が蘇生していく物語”といえる。
『がんばらない』『あきらめない』などに比べると、鎌田さんご自身のことにはあまりウエートが置かれておらず、「語り部」に徹している印象。
私は、これまでの鎌田さんのエッセイで本書がいちばん好きだ。苦難に直面しても人生を投げ出さず、それでいて「がんばりすぎない」ためのヒントが満載の本である。 -
資料ID:92113336
請求記号:
配置場所:文庫本コーナー -
なぜこの本を手にとったのか、忘れてしまったけれど。。
東北の震災、そしてそれに端を発した原発事故から1年と少し。いまこの時期に読む本として、本当にいいものだったと思う。
人生半ばで目が見えなくなった女性、アフガンの戦火に傷ついた子供たち、の他に、チェルノブイリ原発事故やヒロシマ原爆の被爆者、阪神大震災の被災者のリアルな話がつづられる。
希望を捨てないで、毎日毎日を大切に生きていく人達の姿はもちろんのこと、今なお放射能汚染の危険が自らの身に降りかかるリスクもあるのに、事故現場に足を運ぶ鎌田先生のような人達。
自分の生き方を反省させられる一冊でした。
(といっても、すぐに何かができるわけではない弱い自分。少なくとも、こうやって日々を投げ出さないで生きている人達がいることを忘れないよう、何度もこの本を読み返す機会を作ろうと思う。) -
思いがけないところで昔懐かしい名前を聞いた・・羽仁もと子女史
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とにかく「なげださない」ことがどれだけまぶしいことであるか、という感想しかない。
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なるほど、「なげださない」か。
もうだめだ、って思うような状況でも、できることをやる。
終わりの時が見えたとしても、その終わりの時までの時間を大切に使う。
チェルノブイリの影響で人が住めない地域とされ地図から消されたベラルーシのドゥヂチ村に暮らすニコライおじいさんは、自分の夢だった飛行機を売ったお金で、村の教会を再生している。
遠い祖国アフガニスタンを緑の地に戻すため、ドイツ国際平和村で傷ついた子ども達を快復させ、故郷に木を植えるマスード。
どんなことでも、投げ出してしまったらうまくいくはずがない。
とても叶いそうにないくらい途方もない小さな希望でも、なげださなければ、叶うことはある。 -
『かんばらない』の著者の2008年刊行のエッセイ集。
震災後の私たちの生き方を示してくれているようです。