最後の冒険家 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 295
レビュー : 38
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467420

作品紹介・あらすじ

熱気球の滞空時間と飛行距離で世界記録を樹立、ヒマラヤ8000m峰越えも達成した日本人がいた。その名は神田道夫。2008年に自作の熱気球で太平洋単独横断に挑み、海上で消息を絶った。命がけの空中散歩に魅せられ、あえて難しい挑戦ばかり選び続けた姿勢。かつて一緒に飛んだパートナーである著者が、不屈の精神で駆け抜けた稀有な冒険家の軌跡を追う。第6回開高健ノンフィクション賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • めっちゃ面白かった!一気に読了!!

    気球で太平洋横断ですが、記載内容から、気球自体が品質的・機能的に絶対アウトだし、計画に緻密性もなく、お金では決して変えない”命”を落とすリスクがあるのに実行するなんて狂気沙汰としか思えない。
    しかしクルーは”冒険”を求めている。確実に目的が遂行できる計画自体、それはもはや”冒険”ではない。
    自身アウトドアが好きで、クライミングや山スノボといった命を懸けた遊びをしてますが、0.1%でもリスクを感じたら実行を中止する。冒険は好きですが、好きなだけで、それをこなせる人間ではないなと。
    登場人物の「神田さん」は絶対的に自分にないものを持っており、”すごい”といった言葉しか出てこない。現代社会で神田さんのような人物は煙たがれる人物の再筆頭だと思うけど、僕はそういったチャレンジャー側を圧倒的に応援したい、そんな気持ちです!

  • 文章がとても好きだ。
    冷静でいて臨場感にあふれている。

    今年はこの著者のものを読み漁りたい。

  • 文章も写真も登山も上手いとは才能ありすぎだ。面白い。開高健賞の作品は全部このレベルなのか。

  • 著者の石川直樹氏は、1977年生まれの写真家。2001年に、当時世界最年少(23歳327日)で七大陸最高峰登頂を成し遂げている(それでも本人は「自分は冒険家ではない」と本書でも語っている)。本作品は、2008年に出版され、開高健ノンフィクション賞を受賞。(2011年文庫化)
    本作品は、熱気球(中軽量級)で、長距離世界記録、高度世界記録、滞空時間世界記録などを樹立した冒険家・神田道夫氏の、太平洋横断の挑戦を描いたものである。著者の石川氏は、2004年の初回の挑戦に副操縦士として同乗し、失敗して太平洋に着水しつつ神田氏とともに九死に一生を得たが、神田氏は2008年に単独で再挑戦し、失敗、行方不明となった。
    通常の冒険ノンフィクション物は、自らの体験を冒険家本人が綴るもの(植村直己氏、角幡唯介氏など)とノンフィクション作家が描くもの(沢木耕太郎が、山野井夫妻のヒマラヤ行を描いた『凍』など)に大別されるが、本作品は、初回の冒険行で同乗しつつ、再挑戦においては、リスクがとれないとの自らの判断で同行を断念した石川氏が、「神田道夫さんに捧ぐ」として書いたものである点が、ある意味異色である。(神田氏の再挑戦が成功していたら、この作品は書かれなかったのではあるまいか。。。)
    そして、本作品は、「冒険家」石川氏によるものだからこそ、神田氏の他人とは異なった冒険スタイル、神田氏の神田氏たる所以(魅力とも言えようか)が浮き彫りになっていると言える。初回の太平洋横断に失敗し、奇跡的に救助された船で米国に向かっている最中に、既に再挑戦のアイデアを口にする神田氏に対し、石川氏は、「冒険はリスクをどんなに減らしていっても、最小限のリスクだけは最後まで払拭できない。だからこそ、その行為は冒険といわれる。運も実力も必要だけれど、実力さえあればほとんど乗り切れて、あとの数パーセントを運に賭けるというの冒険ならぼくにも理解できるのだ。しかし、実力よりも運が試される比率のほうが多いのであれば、その遠征に参加すべきではないとぼくは考える。・・・というやり方は、神田らしいと言えば神田らしいのだが、ぼくは同意できなかった。彼の冒険に対する姿勢は、傍から見ると危なっかしいほどに攻撃的であるとともに感覚的で、だからこそ数々の優れた記録を残せたともいえるのだろうが、石橋を叩いて渡るという発想からはあまりにも遠く離れ過ぎていた。「楽観的」、少なくともぼくにはそう感じずにはいられなかった」と記している。
    石川氏にして描き得た、「最後の冒険家」神田道夫氏の軌跡である。
    (2017年6月了)

  • 2008年気球での太平洋横断に挑戦し、気球ともども行方不明になった神田道夫。第一回目の太平洋横断に共に気球に乗り込んだ石川直樹が、その神田の気球に対する冒険をドキュメンタリーとして記した本。この世界にはもう新たな空白はどこにもなくなってしまった。未踏の地はどこにもない。だとすれば冒険とはどうすれば冒険と言えるのか、冒険家とはどのような人を言うのか。それを考えると題名の「最後の冒険家」が心にしみる。

  • 石川直樹による、気球を使っての太平洋横断を試みた、神田道夫の物語。

    石川直樹の神田への言葉は、はっきりとしていながら、しかし敬意に満ちています。気球に取り憑かれた男と同行した冒険と、そこから九死に一生を得た経験だけでなく、神田の再挑戦になぜ参加しなかったのか、「命がけ」の意味をほんとうに知っているからこその言葉を感じました。写真家なだけあり、時折挟まれる写真も素晴らしい。

    生きるとはなんだろう、とあらためて思います。こういう、「いつ死んでもおかしくない」ような冒険家たちは、その最期の時に何を思うんでしょう。僕らと同じなのかなあ。
    気球に懸ける人生、それも楽しそうかもしれません。

  • なんでわざわざ危ない気球なんて乗るんだ。大怪我もしてるのに…と思いながら読みましたが、そういう人たちには睡眠欲、食欲、性欲の他に冒険欲が産まれながらにして備わってるんじゃないかなーという気がしました。久々ノンフィクションだったけど、フィクションを読んだ気分です。

  • 良かった。
    石川さんの淡々とした(良くも悪くもクール)文章がとても良い。普通の状況ではない世界の話なのに感情の機微も織り込みながら激情に流される事なく書かれた処が本当に良かった。賞をとるのは必然と思う。

  • ずっと前から読みたいと思っていて忘れていて思い出してやっと読んだ。気球冒険家のお話。なんで気球なのかはわかんないけど、感動した。男の生き様を見た。プロ冒険家ではなく公務員兼の著者の師匠、神田道夫の軌跡。記録を打ち立てる事に対する執念、野性的なカン、行動力。冒険とは男の子が憧れる言葉だけど実際は試練であり苦悩に満ちている。なにもそこまでしなくともという事をやらないと冒険家ではないんだな。生ぬるいサラリーマン生活を送ってる自分には良い刺激となった。

  • 絶対に成功するとわかっていたら、それは冒険じゃない。でも成功するという確信がなければ出発はしない。前人未到の地など今や地球にはないが神田道夫の挑んだものはまさに冒険だったと強く印象付けられた。一緒にチャレンジした冒険家だから書けるノンフィクションというより手紙。

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著者プロフィール

1977年東京生まれ。写真家。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞。『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。最近では、ヒマラヤの8000m峰に焦点をあてた写真集シリーズ『Lhotse』『Qomolangma』『Manaslu』『Makalu』『K2』(SLANT)を5冊連続刊行。

「2019年 『ぼくらはみんな たびをする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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