七人の敵がいる (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 904
感想 : 118
  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468052

作品紹介・あらすじ

編集者としてバリバリ仕事をこなす山田陽子。一人息子の陽介が小学校に入学し、少しは手が離れて楽になるかと思ったら-とんでもない!PTA、学童保育所父母会、自治会役員…次々と降りかかる「お勤め」に振り回される毎日が始まった。小学生の親になるって、こんなに大変だったの!?笑って泣けて、元気が湧いてくる。ワーキングマザーの奮闘を描く、痛快子育てエンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 働く女性の子どもの学校・PTAにおける不条理を突き詰めた。クラス、学童保育、地域自治会、スポ小、登校班の旗振り等の役割り。夫は「仕事を休めないよ、忙しいから」と妻に押し付ける。しかし、兼業主婦には切実な問題だ。専業主婦だろうと兼業主婦だろうと子どもを思う気持ちは変わらない。でも兼業主婦は役員となる時間がないのだ。PTAの役割は重要だが、いっそのこと、学校業務を委託業者に任せれば良いと昔から感じていた。主人公・陽子の立ち居振る舞いは爽快感のみ残った。これまでの妻への感謝と、子を持つ日本の夫が読むべき本だ。

  • 小説すばる2009年4月号女は女の敵である、6月号義母義家族は敵である、8月号男もたいがい,敵である、10月号当然夫も敵である、12月号我が子だろうが敵になる、2010年2月号先生が敵である、4月号会長様は敵である、の7つの連作短編を2010年6月集英社から刊行。2012年3月集英社文庫化。陶子シリーズのスピンオフ1作目。やり手の編集者の陶子さんがPTA、学校、町内会の人々との丁々発止のやり取りを繰り返す痛快生活戦闘ストーリー。謎や不思議とは無縁の加納さんの新ジャンルですね。次作に進みます。

  • まずは、著者あとがきの引用から。
    <blockquote> PTA小説? なんか小難しくて、つまんなそう……。
     そう思った方、ぜひとも本書を読んでみて下さい。これはあなたのすぐ隣にある、日
    常であり現実でありコメディであり……時にはある意味ホラーです。「身につまされる
    わー」という方にはもちろん「自分とは無関係」と思っている方にも、ぜひ読んでいた
    だきたいのです。知っておいて損はない……はずです。たぶん。</blockquote>
    加納さんのあとがきを読むのは、これが初めてかもしれません。
    普段、加納さんは、あとがきを書かない印象です。
    つまり本書は、それくらい意気込んだ作品である、と言えるのでしょう。
    そして、その意気込み通り、本書は相当に面白く、素晴らしい作品でした。

    陽子の言動、初めはちと眉をひそめるように読みました。
    男勝りで勝ち気、傲岸で傍若無人とすら思えてしまうような発言。
    それでも、読者は先を読み進めることになります。
    なぜなら、彼女は決してそんな人物ではないことがよく分かるからです。

    そこにあるのは、煌めく知性であり、れっきとした理性なのですから。
    様々な困難から逃げることなく、真っ向から立ち向かう勇気なのですから。
    時にそれは暴走したり、単なる意地っ張りに過ぎなかったりもします。
    しかし、そういう失敗からも、彼女は逃げません。
    しっかりと反省し、同じ失敗を行わないように、前を向いて進み続ける姿勢が眩しいです。

    読み進めるにつれ、そんな陽子の態度も少しずつ変わっていきます。
    けれど、その芯は最後まで変わることはありません。
    彼女の核を為しているのはただ一つ。「我が子への愛」です。
    そして、もっと良い方法はないか、という改善への挑戦です。

    いまの教育界に蔓延する閉塞感や、様々な課題。それらを見事に描ききった作品です。
    そしてもちろん、加納さんならではの暖かく優しいストーリィテリングも健在です。
    エピローグでの一幕は、読む人に、元気と勇気を与えること間違いなし、です。
    爽やかで力強いラストシーンは、本当に素晴らしいのひと言に尽きます。

    様々な立場の人たちに、ぜひ読んでいただきたい作品です。
    特に、「俺は家庭のために働いているんだ」と公言してはばからない亭主たちにこそ。
    同じ男として、その影で繰り広げられている女性たちの戦いを、知って欲しいと願います。

  • 編集者としてバリバリ働く主人公。
    一人息子がいざ小学校へ入学。少しは手が離れると思いきや…?

    PTAや自治会役員、父母の会など、子どもがいる家庭にはなかなか切っては切り離せない繋がりや、少し煩わしい責任たち。
    どれもこれも私は未経験ながらも、幼い頃母親が「PTA役員になったらいやだなあ」とか、「何年に1回はやっておかないと」なんてぶつぶつ話していたのをよく覚えています。

    ジャンルの違う様々な人の集まりで1つのことを成し遂げるのは、なかなか容易じゃないでしょう。
    だからこそ、主人公がビシッと突き進む姿は痛快です。

    物語の本筋ではないのですが、主人公家族の関係性には驚かされたりもしました。
    こういうことを織り交ぜてくるあたりに、加納さんらしさを感じました。いろんな人がいて、いろんな家族の形がある。
    同じ立場に立った時にまた改めて読み返したいですね。

  • 家のことや育児のことは女性がするものと思っている全ての人に読んで欲しい本。

    女性も働くのが普通になってきた世の中で(というか女性も社会進出を!!とどんどん促される中で)男性と対等であるはずなのに、負担を強いられたり損をするのは女性のことがまだまだ多い。

    子供は2人の子供でしょ。
    自治会の付き合いなんて、そこに一緒に住んでるんだから妻だけの仕事じゃないよね?とか
    読んでて本当にうんうんと、主人公のかっこよさに胸がスカッとしました^_^面白かった!!

  • 評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    編集者としてバリバリ仕事をこなす山田陽子。一人息子の陽介が小学校に入学し、少しは手が離れて楽になるかと思ったら―とんでもない!PTA、学童保育所父母会、自治会役員…次々と降りかかる「お勤め」に振り回される毎日が始まった。小学生の親になるって、こんなに大変だったの!?笑って泣けて、元気が湧いてくる。ワーキングマザーの奮闘を描く、痛快子育てエンターテインメント。

    初めての作家。兎に角女性の心理をついている。その上文章の言い回しがクスリと笑えて面白い。主人公の自己分析が毒舌で的を得ていて・・・こういう人いるよねぇ~。
    あっという間に読了。

  •  すごくコアなジャンルです。「PTA小説」!一部の人(特に男性)には全く受けないジャンルかもしれないけれど、来年にお母さんデビューする私にははまりました。
     
     バリバリのキャリアウーマンとして働く主人公の陽子は、一人息子が小学校に上がったのをきっかけに、PTAや自治会という保護者が避けては通れない世界に足を踏み入れることになる。
     題名の七人の敵がいる、という言葉の通り小説は7章に分かれていて、それぞれの章で、陽子は他のママたちや、義母や、夫や、先生や、最終ボス?のPTA会長などと真っ向から対立していきます。思ったことをすぐ口に出し、行動第一、男勝りの陽子は、敵を作りやすい。でも、会社でブルドーザーなんて呼ばれている陽子が突き進んでいく姿は、たくましく、爽快。読んでいて気持ちよく、応援したくなる。
     よかったのは、陽子が戦うことになる敵たちが、単に悪役というわけではないというところ。単に働く女性VS専業主婦という図式でもなく、理不尽な保護者たちから嫌がらせを受けるという内容でもない。それぞれが、それぞれの立場での主張があり、抱えているものがある。陽子を含めて、加納朋子さんの小説によく出てくる、つらい現実を心の奥に抱えながらも懸命に生きる女性たちが何人も描かれる。
     PTAという組織や、子育てや地域との在り方などの問題。働く女性にとって、まだまだ社会が厳しい場であること。人が悪役なのではなく、そういう社会の枠組みが悪役であり、陽子が立ち向かっていく敵である。そう感じたうえで、迎えるラストの言葉に感動しました。

    自分の子供が小学校に入る前にはもう一度読み返して覚悟を決めるといいかも(笑)

  • こどもはいないけどこどもがいたらこんな感じ?ってでも読んでいくうちに大きな間違いがありました。それは読んでのお楽しみ。旦那さんの優しさもありこんな家族いいなって思います。

  • 誰一人として共感できる人がいない。なんだか期待外れ。どういう立場の人が読んだら面白いのかわからない。■そして、主人公も含めて実はいろいろな事情があったりして…。そういうところが逆に楽しくなくなる。現実をデフォルメしたコメディとして読めたら、まだ良かったのかも。結末もかなり白けた。

  • ばりばりのキャリアウーマンの陽子が一人息子の小学校入学と同時にPTAをはじめとする様々な困難に巻き込まれていく。これに戸惑いつつも果敢に立ち向かう痛快ストーリー。陽子のキャラクターが良い。男勝りのブルドーザー(通った後にはぺんぺん草も生えない!)、頭が良くて仕事ができる。しかし、女性の集団の空気を読んだり察したりすることが苦手で、まぁ色々たいへん。保護者会の役員決めの場面からあるある!わかるわかる!が満載でした。陽子は色々とやらかしてしまうんだけど、やっぱり強いです。子どもを人質に取られてるという表現になるほど。かわいいわが子にかわいそうな思いはさせられないと。それでも私はここまでできないわ。子ども会、自治会は関わらないようにしてるし、PTAは最低限の任期を満了して無難にやり過ごすつもり。陽子のストーリー、すかっとして読むのは面白かったぁ。でも実際にこのキャラがそばにいて一緒に仕事するのは大変かも。まぁ裏表なくて頼もしいからいいのかな。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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