- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087468175
感想・レビュー・書評
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スクールカーストの描写に覚えがありすぎる。学校という世間から見れば小さい世界、だけど学生時代はそれが全てだった世界にクラス、部活、友達それぞれの場所で各々の立ち位置に縛られていたと思う。
光の描写が所々にあったのが印象的だった。
あと創作ダンスの話はやめてくれ。それは私に刺さる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今でも覚えている。この本が発売され、本屋に平積みされていたのが丁度17歳の頃。こんなふざけた題名の本が面白いわけがないと食わず嫌いをした。
当たり前だけど、描かれている時代背景は自分の高校生時代そのもの。当時読まなかったのは損だったのかもしれない。非常に懐かしい気分となった。 -
最初はこんな感じかぁと思ったけど、いろんなエピソードがつながり始めて面白かった
実果の話は電車で泣いちゃった
でもスクールカーストとか、女子の中のいざこざとか、めちゃくちゃリアルで中高校生にもどった気持ち -
桐島が部活をやめたという一石が波紋となり、周りに多大なる影響を及ぼす。霧島自身がどうではなく霧島が辞めたという。その事実のみに影響が及ぼされることは世界における縮小図のようにも思える。
17歳という世代が、ことさら世の中では神秘化されているが、まさにその通りなんだなと思う。
17歳の彼ら彼女らが感じたことは世界の皆が感じうるものなのかもしれない。
良くも悪くも心にチクチクくることもある。少しだけ心構えして読むと良い。 -
桐島という不在の主人公を中心に、5人の高校生の多感で瑞々しい感情が丁寧に描写されている。音楽や映画などのエンタメコンテンツもたくさん登場し、ド世代なので読んでいて懐かしい気持ちになった。
特に菊池宏樹と沢島亜矢に感情移入した。何かを全力でやって失敗したら恥ずかしいと思って、全部が中途半端になってしまったことは今でも後悔してるし、クラスにおける立場が自分より少し「上」の人に淡い恋心を抱いて、でもその恋心は自分の中に留めておこうと自制していたこともある。そういう記憶が呼び起こされて、少しつらくもあったが、それが青春だったんだな、と思う。
クラスにおける立場が「上」だとか「下」だとか、今思うとなんだそれと思うが、でも確かにあの時はクラスの全員が心の中で自分の立場を理解していて、そのせいで特に「下」の人たちは(自分も含めて)自己肯定感がかなり低いままその後の人生を過ごすことになる。スクールカーストがいつから存在するものなのか分からないが、これからの高校生にはそういうものに縛られずに、ありあまる若さと時間を好きなことに全力で注ぐような高校生活を送ってほしいと思った。 -
この人の綴る文章が好き。
何気ない学校生活を舞台にしたオムニバス形式の小説。学校という空間、高校生という立場の"普通"な特異性を、どうやったらこれだけ解像度高く表現できるのか。
学校という小さな社会で確かに存在しているように見える絶対的価値観には、実は誰もが疑問を感じていて、だけどその中でしか生きられない自分への嫌悪を各々が胸にかかえている。本書のテーマだが、よりそこに焦点を当てた「菊池宏樹」編が一番良かった。 -
こんなに面白いなんて、正直舐めてた。
学校生活の閉塞感と、ふとしたきっかけで生まれる心の開放感。
あの頃はみんな未熟でみんな何かに怯えていたような気がする。
登場人物全員が似通った詩的な表現で情景を描写している部分は少々食傷気味ではあったが、それはそれで統一感を感じ、この人たちは同じ世界の人間だと思えて良い。
高校生のリアルな心情を描いていて切なくなりながらも前に一歩進めそうだと思った。