桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

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レビュー : 1391
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468175

作品紹介・あらすじ

田舎の県立高校。バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。そこから、周囲の高校生たちの学校生活に小さな波紋が広がっていく。バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは…?瑞々しい筆致で描かれる、17歳のリアルな青春群像。第22回小説すばる新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 今から10年以上前、私は高校生だった。朝井さんとは同い年。だから書かれていることがすごくイメージできる。でも、私は高校生の頃のことをあまり思い出せない。きっとこの本のようなことが繰り広げられていたはず。
    当時の私はなんも考えずに仲間と戯れていた。おそらく。その場のノリに合わせて。人を見た目やキャラの雰囲気で判断して。空っぽだった。ただその時間を楽しく過ごしていた。それだけ。

    それにしても、なぜ中学生や高校生は目の前の世界が全てになるのだろうか。私もそうだったが。

    きれいな青春ではない、生々しい世界。そこに生きる登場人物のやりきれない心情がとても伝わってくるいい本だった。

  • ◯天才だ、朝井リョウ。
    ◯まず、もはや月並みな感想だが、タイトルからしてずば抜けたセンス。思わず口に出してみたくなるワーディング。
    ◯内容としては、ゴドーを待ちながらと同じ形式、と友人から聞いたものの、これはどちらかというと素直に青春群像劇。ストーリーも特段凝ったものではなく、等身大の高校生を描いている。
    ◯しかし特筆すべきは情景描写。映画の細かいコンテのような、漫画のコマ割りのような、シーンがカットごとに分かれて、詳細に演出されて、頭の中に入ってくるのが印象的。
    ◯文章がやや青臭い感じがするのだが、それも一つの演出と考えると、総合的には筆者の狙いどおりの作品に仕上がっていると思う。
    ◯この本で一番残念だったのは解説。本編からの流れで突入すると、脳の中にノイズが入ってくる感じ。

  • 朝井さんとは同い年。
    なので、この小説の高校生達の感覚はまさに自分の高校時代とおんなじだった。
    細かいところだとチャットモンチーの恋の煙とか、RADWIMPS流行り始めとか、ジョゼや岩井俊二、セブンティーンアイスなどなど。
    可愛い・かっこいいとされる制服の着こなしとか髪型とかも一緒だから、多分今の高校生からすると少し古いのかな?

    まぁ、それは置いといて。
    一軍、二軍だとか、
    スクールカーストだとか、
    イケてる・ダサいグループとか。
    大人になってみると馬鹿馬鹿しいものが世界の全てになっちゃう10代はほんとに息苦しい。
    深刻な現状や、嫉妬や、葛藤を見せられない「仲間」と馬鹿騒ぎして「空っぽ」を演じる自分。
    ほんとに「空っぽ」なやつが「空っぽ」ゆえに主導権もって周りを見下してたりして。
    あるあるー、と思いながらも
    好きなものを好きと言える大人になれて、よかったと思う。
    自分が子どもだって自覚してる実果が実は大人なのかも。一番しんどい現実に生きてるけど前向いてる。
    そして最後のかすみの話、好きだ。

  • 桐島くんが部活をやめたことがきっかけで、変化する日常を複数の生徒の目線から語られている話。
    容姿や愛嬌、社交性の高さが、ランキング要素で、それをもとに人をマウントする心理が良く描かれている。
    学校が世界のすべてで、そこでの人との関わりの中で自分がどういう立ち位置であるか、それが本当に大きなことと感じるのはよく分かるし、それがとてもリアルに表現されている。

  • 何度か読んだ作品だが、読むたびに印象に残るポイントが変わる。自分の高校時代と比べて当時を思い出してみたり、今の自分の状況に置き換えてみたり。
    でも、いつ読んでも、どの話もほんのり苦い。つい、高校時代のキラキラしたことばかりを思い出しがちだけど、そうだった。確かに甘くない。ジタバタしていたなあ。

  • 初めて読んだ朝井リョウ先生の小説。誰にでもストーリーがあり、考えがあり、ドラマがある。そんな一冊……。ところで桐島は何処に?


  • スクールカーストの中で生きる高校生のリアルな姿

    連作短編となっていて、桐島が通う高校の、6人の高校生が主人公の物語。

    学校の中心人物である桐島が、バレー部を辞めた。
    それぞれの階級に分かれる6人の主人公に、この事件が与える影響と、6人の心情がとても面白かった。

    スクールカーストが、この物語の軸となっている。

    1「高校って、生徒がランク付けされる。
    なぜか、それは全員の意見が一致する。授業で訳わかんない答えを連発する奴でも、ランク付けだけは間違わない。」

    クラスには必ず、そういったランクがある。
    そして、誰も言葉にはしないけれど、全員が認識している。自分より上か、自分より下か。

    2「本当は、世界はこんなにも広いのに、僕らはこの高校を世界のように感じて過ごしている。」

    高校生なら誰だってそうだと思う。
    だから、周りを気にするし、ランク付けもする。
    前田涼也は、下の階層にいる。でも、そんな自分でもいいと思っている。好きなことに全力で飛び込める涼也は、どんな世界でも輝いていると思った。

    3「一番怖かった。本気でやって、何もできない自分を知ることが。」

    菊池宏樹は、高校一年生の時に、野球部を辞めた。
    いや、正確には、サボり続けていた。そして、立ち向かうことも、逃げることもできない自分に、毎日イライラしていた。
    けれど、宏樹は、自分より下の階層にいる涼也が、夢中になって部活の話を見て、圧倒的な光を感じた。涼也にはあって、自分にはないモノに気がつく。

    高校という独特の世界観と価値観。
    その世界で、もがき苦しむ彼らが、とても共感できた。

  • 映画

  • 1度は手に取ってみようと思っていた朝井作品。正直、高校生ものだしなぁーと思いながら開いた一冊でしたが、若くて未完成な心の揺らぎがダイレクトに伝わってきて思わず作品世界に引き込まれました。甘酸っぱい青春ではなくほろ苦くそして、ちょっと心が痛くなるダークな部分をフューチャーした作品でした。読んでよかった。

  • 映画はだいぶ前に見てて、面白いとは思ったけど、世間が騒いでるほどにはハマらなかった。

    映画は上手いこと再構成してたんだなという印象。オムニバス形式の群像劇っていうのはどっかで聞いた気もするけど、こういう作品だったか。

    で、やっぱりどれも心に刺さる。何というか「あの頃の痛さ」が蘇ってくる。

    ただ、どの物語も、最後は少し前向きな形で終わるので、後味は良い。

    原作を踏まえて、改めて映画の方も見たくなった。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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