桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468175

作品紹介・あらすじ

田舎の県立高校。バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。そこから、周囲の高校生たちの学校生活に小さな波紋が広がっていく。バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは…?瑞々しい筆致で描かれる、17歳のリアルな青春群像。第22回小説すばる新人賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • この作品は作者が若い時に書いてるんですよね?
    実際、その年齢で物を書けるってのは凄いですよね

    自分は何も考えてなかったなぁ…

    学校生活も読んでて、これだけ一人一人世界の違いや、考え方も違う
    自分の時は何も考えないで 普通に毎日はしゃいで過ごしてた
    【何も知らないし、気付かない】って言う無神経さって
    ある意味 自分は恵まれていただけなんだと思いましたΣ(゜Д゜)

  • 私はスクールカーストを感じなかった鈍感な中高生だったが、皆は繊細で自分の立ち位置を確認しながら学校に行ってるのですね?

    読めば読むほどスルメのように考えさせられ味が出る
    これが「何者」「正欲」に繋がるのか…

    自身の青春時代と照らし合わせて、
    どの人物に共感・嫌悪するのかで皆違う感想を持つのだろう

    私はチャットモンチー大好きなので沢島亜矢とは
    いい酒飲めそうです

  • 自分がもう少し若かったらと後悔も残しながら感慨深く読了。
    誰が何と言おうと好きなものを好きと言えるって、若いうちはできないんだ。だからこの作品は尊い。
    自分もカーストの中で揉まれたんだよなーって、あの時何であんな下らない事で見栄を張ってたんだろうなーって、当時の感情を文体にして表現してくれた朝井青年は凄い。

  • H29.9.5 読了。
    ・桐島は、出てこないのかーい。と突っ込みたくなる作品。登場人物たちの楽しみや立場や苦悩などが描かれていて、面白い。自分にもこんな年齢の時があったなあと思い出した。

    ・「本当は、世界はこんなにも広いのに、僕らはこの高校を世界のように感じて過ごしている。」
    ・「人間関係は硝子細工に似ている。見た目はとてもきれいで、美しい。太陽の光を反射して、いろいろな方向に輝きを飛ばす。だけれど指でつっついてしまえばすぐに壊れるし、光が当たればそこら中に歪んだ影が生まれる。そんなもんだよな、と思う。」
    すごくわかるって思う。

  • とりあえず、桐島は出てこない!

    高校のスクールカーストがテーマとなっており、ピラミッドの一番上と底辺それぞれの立場が描かれる。
    どのランクにいても、各々がそれぞれの立場でそれぞれの悩みを抱えていて、だから、読み手は作中の登場人物の誰かしらにぐっと共感を覚えるのではないかなと思う。

    本作は高校が舞台だが、人によっては小中でスクールカーストにぶち当たる人もいるだろう。
    クラス、部活という小さな箱庭の中で、だけど彼らにとってはそこだけが世界の全てで、懸命にもがきながら学生生活を送るしかない。
    キャプテンが悪者になる、わかるなぁ。。。
    苦しかった、中学の部活を思い返される。

    でも、過ぎてしまえば、時間の流れと共に、あんな時代があったなと思えるようになり、さらに辛いことを経験すれば、可愛いものだったな、青春だったな、と振り返ることだってできる。

    現役の学生さんには勿論刺さると思うが、その時代を通り過ぎた大人にも青春の記憶を掘り起こしてくれる作品。

  • 主人公となるそれぞれの悩める高校生たちのリアルな描写に、自分もこんな時期あったな〜と懐かしくなる箇所もありました。
    しかし、群を抜いて宮部実香さんが可哀想すぎて、いたたまれない。周りに自分の悩みを聞いてくれる人がいないと辛いよなぁと思いました。

    登場人物が多い為か、読んでいて途中で迷子になり、若干疲れました。
    あと、桐島は最後まで出そうで出ません笑

  • 5年ぶりの再読。
    軽快に本質を突いてくる感がして、とても好きな小説。

    スクールカーストって概念を意識したのは、確かこの小説読んでからだったと思う。
    それぞれの立場で、みんな抱えているものがあって大変。
    でも、ひかりがあって眩しい。


    かすみが、いちばん輝いているなぁ、と思った。

  • 上。
    制服の着こなし。体育のサッカー。くしゃくしゃの茶髪。ぴかぴかの爪。ピンク色をした唇。
    かっこよくて目立つ男の子。ピンクが似合う女の子。

    それは、上だから与えられる特権なのかな?
    うーん、やっぱ特権を授かって生きている子が上になるんだろうね。
    努力しても追いつけない。これって一種の才能だよね。

    上。
    確立された格差社会で三年間、上を貫き通す。
    不安定な足もとに広がるのは、きみたちが嘲笑する下の世界。
    ほんの数ミリ目測を誤れば、滑り落ちる静寂な底なし沼。
    自分を守るために築く脆弱な関係は、繊細で危ういガラス細工のようだね。

    でもまだ、きみたちは気づいていない。

    下。
    目立たないように。失敗しないように。迷惑かけないように。
    バカにした笑い声。存在を無視された扱い。

    そんなもの気づかない振りをする。
    それが、きみ自身が選んで決めた学校という逃げ場のない世界での生き方。

    下。
    ねぇ。自ら下の立場を決めたきみたちには、描きたい世界があるんだよね。
    なかなか真似できないよ。
    それは誰にもジャマ出来ない、きみたちの特権。
    開けば風が生まれる扉を持っているきみたちは、ひかりなんだ。
    ひかりの前では、上のかっこよさもくすんで見える。

    気づくのは、まだまだ先のことかもしれないけどね。

  • 何ともリアル。その一言に尽きる。朝井リョウさん、これ19歳で描かれたのか。すごいな。

    中学生の頃から、おすすめ本にノミネートされていたりでタイトルは知っていた。その頃から10年が経ち、朝井リョウさん作品読んでみたいなぁと思いながらBOOK・OFFを歩いていたら再会してしまった。ご縁を感じ読了。

    何か大きな出来事が起こるわけではない。規模としてはタイトル通り、部活やめたってよ程度。(4つ目美果の話は少し重めに感じた。)なんだけど、これまでもかというくらい17歳のリアルな心情が描写されている。勉強できるできないに関わらず何故か全員の評価が一致する「上」と「下」というスクールカースト。周りから浮かないように、自分の感情を表せないもどかしい思い。この年齢特有の勝ち組の価値観。
    高校はおろか大学も卒業している年齢となった今、高校生の頃振り回されていた価値観は歳を経る度に、世界が広がっていく度に、あの頃特有のものであると分かっている。でもあの頃の自分は確実に今の礎であるし、学校という守られる代わりに逃げ場のないコミュニティの窮屈さも共感できる。懐かしい気持ち。
    もちろん今読んでも面白かったんだけど、中高生の頃にも読んでおきたかったな。どう感じ方が変わるのか、体感してみたかった。

  • 男子バレーボール部のキャプテン桐島が部活を辞めたことで、5人の17歳の高校生の日常に少しずつ影響を与えていく物語。登場人物が抱えているそれぞれの想いや悩み、葛藤、心情がリアルに描かれている。スクールカーストはいつの時代も重苦しくやっかいだ。7つの物語それぞれで主人公は違うが、別の話の中にも出てくることがあり物語同士の繋がりがあっておもしろかった。個人的には「菊池宏樹」の物語が好きで、
    「大丈夫、お前はやり直せるよ。と、桐島に言ってやろう。お前は俺と違って、本気で立ち向かえるものに今まで立ち向かってきたんだから、そんなちっさなことで手放してしまったらもったいない、って、言ってやろう。
    という文章がよかった。

    心に残った言葉
    ・「恋っていう文字には下に心があるから下心。愛は真ん中にあるから真心なんよ」(志乃)
    ・高校って、生徒がランク付けされる。なぜか、それは全員の意見が一致する。
    ・大きく分けると目立つ人と目立たない人。運動部と文化部。
    ・自分は誰より「上」で、誰より「下」で、っていうのは、クラスに入った瞬間になぜだかわかる。
    ・僕らは気づかない振りをするのが得意だ。
    ・自分達が傷つきそうなことには近づかない。
    ・ひとりじゃない空間を作って、それをキープしたままでないと、教室っていうものは息苦しくて仕方がない。
    ・僕らには心から好きなものがある。それを語り合うときには、かっこいい制服の着方だって体育のサッカーだって女子のバカにした笑い声だって全て消えて、世界が色を持つ。(前田涼也)
    ・くだらないかもしれないけど、女子にとってグループは世界だ。目立つグループにはいれば、目立つ男子とも仲良くなれるし、様々な場面でみじめな思いをしないですむ。
    ・どこのグループに属しているかで、自分の立ち位置が決まるのだ。
    ・だけど、時々、なぜだか無性に、どんな子でもいいからたったひとりだけの親友が欲しいと思うときがある。笑いたくないときは笑わなくてもいいような、思ってもないことを言わなくてもいいような、そんな当たり前のことを普通にできる親友が欲しいと思うときがある。私たちは、そんな気持ちを隠すように髪の毛を染めたり爪を磨いたりスカートをみじかくして、面白くもないことを大声で笑い飛ばす。(宮部実果)
    ・俺達はまだ十七歳で、これからなんでもやりたいことができる。希望も夢もなんでも持っている、なんて言われるけれど本当は違う。これからなんでも手に入れられる可能性のあるてのひらかあるってだけで、今は空っぽなんだ。
    ・ダサいかダサくないかでとりあえず人をふるいにかけて、ランク付けして、目立ったモン勝ちで、そういうふうにしか考えられないんだろう。
    ・一番怖かった。
    ・本気でやって、何もできない自分を知ることが。
                    (菊池宏樹)
    ・「友未が言ってくれたんやん、おいしいんやし、好きなんやから、食べればいいやんって。私、誰かが好きやからって、ヨーグルト食べたりするわけやないもん。自分が好きやから、食べるんやもん」(東原かすみ)

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著者プロフィール

1989年岐阜県生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で、「小説すばる新人賞」を受賞し、デビュー。11年『チア男子!!』で、高校生が選ぶ「天竜文学賞」を受賞。13年『何者』で「直木賞」、14年『世界地図の下書き』で「坪田譲治文学賞」を受賞する。その他著書に、『どうしても生きてる』『死にがいを求めて生きているの』『スター』『正欲』等がある。

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