追想五断章 (集英社文庫(日本))

  • 集英社 (2012年4月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784087468182

作品紹介・あらすじ

五つの物語にひそむ秘密。精緻な本格ミステリ
古書店に居候する芳光は、依頼を受けて五つのリドルストーリーを探し始める。やがてその著者が、未解決事件の被疑者だったことを知り──。精緻でほろ苦い、大人の本格ミステリ。(解説/葉山 響)

みんなの感想まとめ

精緻なミステリーが描く五つのリドルストーリーは、読者に深い思索を促す作品です。主人公が父の書いた物語を探しながら、依頼人との関係や過去の秘密が明らかになる過程は、感情の揺れを巧みに表現しています。物語...

感想・レビュー・書評

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  • 凝ってるな!
    しかし、通勤電車とかで、疲れている上に、更に途切れ途切れに、読むのには向かん…
    何度も読み返してしまった…(^◇^;)
    リドルストーリーっていうのは、答えを読者に任すみたいな感じで、明確な答えくれん話やけど、個人的には、本ぐらい答え欲しいな。
    常日頃が、答えのない世界やちゅうのに…

    父が書いたリドルストーリー5編の捜索依頼。
    お金に目を眩み引き受けたが…
    探していくうちに、依頼人と父との関係が徐々に明らかに…
    まぁ、お父ちゃんの気持ちも分からないではないけど…
    こんなん残すから…
    死んでから、依頼出されて…
    やっぱりか…

    になる。

    結構、練り込まれるので、
    じっくり読むのをお勧めしま〜す!

  • リドルストーリー、という言葉は知りませんでしたが、結末のない物語。
    無いはずの結末だけが手元にあるので、ソレを探して欲しいという依頼。
    どこからその着想は湧いてくるのでしょうか。冒頭からひきこまれました。
    しかし今一つスッキリとしないまま作品が終わってしまった感がありました。作中の人物達がリアルな苦悩を背負っていたのが影響していたのでしょうか。また時間をおいて読み直してみようと思います。

  • あえて結末は読者に委ねるリドルストーリー。
    本書では亡くなった父が昔寄稿したらしい5編の話を探す話であるが、その5編ともリドルストーリーでありながら、それぞれの結末の1行、答えともいえるのか、も読むことが出来る。
    その最後の1行を読む手前で読者は凡そ2択の選択肢のどちらなのだろうかと考える形なのだが、答えを知ることでスッキリ感もありながら、これは答えを知らない方が味があって良かったな、などと感じた。
    リドルストーリーの面白さを楽しみながら考えることができた。
    真相は思ったより定番のものだった。

    主人公自身もバブル崩壊により父の事業が失墜し、そのまま飲酒による事故で亡くなり、生命保険で借金は消え、父が仕事用に購入していたプレス機を売却するなどしていくらかの小金も得たが、その後の収入がなくなり、法学部に進学したものの休学。そのまま叔父の営む古書店を手伝いながら下宿。家で1人寂しいので帰ってきて欲しい母親と、帰りたくない息子。
    結局は大学を諦めて帰ることにしたようだが、そのどうしようもない現実と無念さが米澤さんらしい。

  • 満願以来、約三年ぶりの米澤穂信さん。
    暗がりの中を想像させるのが、本当に上手な作家さんだなと感じました。
    闇ではなく暗がり。似ているけど全く違う、不安やこころの揺れ。

    あとがきにありましたが、連載依頼時に「渋い話を」と頼まれたみたいですが、御依頼どおりの渋さです。
    真夏なのに背筋がゾクゾクと、読み終わった後でじんわりと冷たい汗をかいていました。

  • ある女性から死んだ父親が書いた5つのリドルストーリー(結末のない物語)を探して欲しいと依頼された青年。少ないヒントからその物語を集めていくが、ある事件の容疑者といつ繋がりが出てくる。文章も読みやすいし、謎が解けていくとまた読み返してしまう。「満願」や「儚い羊たちの祝宴」と同じような米澤さん独特の雰囲気がある。

  • 再読。
    大まかな事は覚えてたけど、細かい事は覚えてなくて、こういう話だったんだと夢中になって読んでた。

    松本から来た北里可南子が、伯父の古書店で働く菅生芳光に「父親の書いた五つのリドルストーリーを探して欲しい。」と依頼するとこから物語が始まる。少ない手がかりで探していくんだけど、こういう話はすごく好き。

    一つの話が見つかるごとに北里可南子の父親、北里参吾の人物像が明らかになり、それと同時に北里可南子の幼少期に起きた事件が浮き彫りになっていく。どうして五つのリドルストーリーを書いたのかが分かった時、北里参吾の気持ちを思うと悲しくなった。本当は秘密を墓場まで持っていこうと思ったのかもしれない。でもどうしても書かずにはいられなかった。これって『氷菓』に似てるかな。

    作中にこの五つのリドルストーリーが紹介されてて、それを読むとどこかで繋がっている、共通するものがあるとは思ってた。でも私はそれが何かは分からなかった。最後で全て分かった時、そして序章の『わたしの夢』の意味が分かった時、お見事って言うしかなかった。計算し尽くされた話だと思う。

    リドルストーリー(結末のない物語)はどうも苦手だな。解説でリドルストーリーの例として東野圭吾さんの『どちらかが彼女を殺した』と『私が彼を殺した』か挙げられてた。その2作品を読んだ事があるんだけど、結末が分からなくてすごくイライラした覚えがある。確かどっちかはなんとか分かったんだけど、分からなかった方はネットで調べた気がする。私は分かりやすい結末の話が好き。

  • 3冊並行読みしつつ、最初に読了。

    小説の中に散りばめられた短編小説。それらのラストは記載されておらず、バラバラな1行の結末を組み合わせながら真実に向かう話。

    ページを行ったり来たり、読んだり辞めたり。
    食べたり飲んだり(食欲の秋)

    面白い作りの一冊でした。
    没入しづらさはあったかも、、小説内小説に話が飛びまくるので、、



    かしこ(宇宙)

  • カバーの上にもうひとつ黒いカバーが付いていて、そのデザインとキャッチコピーの妖しさに思わず手にしてみた。
    この小説の中に死んだ登場人物が書き遺した数ページの五つの断章が出てきて、その内容と結末が無いことでなんとも言えない変な心地にしてくれた。この結末が無いことがこの小説の結末に関係する。
    著者の作品にはいつも何だか惹かれてしまうようだ。

  • この小説は暗いほうの米澤穂信だった。五つの「リドルストーリー」を探して紡がれる物語。後半になるにしたがい、どうもやばいぞ、自分が予想するふうにはなって欲しくないなあと思っていたが、残念ながらそうなってしまった。でも、主人公にとっては、それまでの人生を吹っ切るきっかけにはなりそうではある。後味はよくない。

    • やまさん
      goya626さん
      こんばんは
      いいね!ありがとうございます。
      やま
      goya626さん
      こんばんは
      いいね!ありがとうございます。
      やま
      2019/11/12
  • 結末のない物語『リドルストーリー』を探すという物語。
    ただ、それだけに終わらずどこか暗い雰囲気を漂わせながら物語が進んでいき、いつの間にかその世界に没入。
    読後はこの物語のその後の結末を考えさせられた。

  • 米澤さん=青春 なイメージがあるが今回は全体的に昭和のどんよりした雰囲気。
    結末をはっきり書かないリドルストーリーなので途中から「これってそういうことなのかしらー?」感があふれるけど読みやすく面白かった
    結末にはあぁそういうことなんだろうな。と、この夫婦あるあるのちょっと複雑な関係がよく理解できた気がする

  • 母が亡くなった真相は父親だけが知っていた。22年後に娘は父が書いた小説を探す。
    解説を読んでこれは、リドルストーリーという形式だと知った。結末がない物語という意味らしい。その中で東野圭吾の「どちらかが彼女を殺した」が上がっていたが、そういえばあれは最後の変わった話だったと思い出した。なんだか消化不良になりそうな感じだったが、そういえば似たようなものも読んだことがある、そういう形式のものだったのか。それで結末はどうなるの?自分で考えるの?というコメントも見たことがある。

    読後感が余りよくなかったので、形はなんとも言い切れないが、この「追想五断章」は面白かった。

    結末はある、真相も分かる。でも作者が書き残した最後の部分は読者が推測してもいい仕組みになっている。作者の意図通りに収まるのが当然だが、途中で自分なりに遊んでみるのも面白い。

    両親と娘の三人家族である、裕福な家に生まれた父は放蕩の末、女優の妻を貰い,娘も連れて海外を転々として暮らしていた。スイスに逗留中に、ベルギーのアントワープを訪れた。その時滞在していたホテルで妻が首をつって死んだ。その時夫は古い拳銃を持っていてその弾が妻の腕をかすっていた。
    自殺か、他殺か、当時は大事件として報道され、夫に疑いがかかった。しかし起訴はされず、22年前に帰国して、松本でひっそりと暮らしはじめていた。そして。

    成長した娘は手紙を見て、亡くなった父親が小説を書いていたことを知る。

    父が書いたはじめての小説が同人誌に発表されていた。帰国して二年後だった、筆名が「叶黒白」といい小説は五編あったことがわかる。

    娘は発表された同人誌「壷天」を探して古書店に来る。
    応対した店員にいきさつを話して、残りの小説捜索を依頼する。店員には一作見つかると10万を出すという娘の言葉もあって探すことを約束するが、だがいつどこに発表されたのか皆目見当がつかない。

    暗中模索、紆余曲折の末5編の小説は見つかるが、どれも結末の部分が抜けていた。

    ところが彼が逼塞して過ごした家の文箱に、五編分が一行ずつ書かれた5枚の紙が入っていた。
    娘は事件当時4歳だった。ぼんやりした記憶しか残っていないその時の出来事を知りたいと思った。
    ついに見つけた小説から、事件の輪郭や、当時の父の思いに気づく。

    そうそう、でちょっと思ったのだが、お父さんは白黒つけるために小説を書いた、それはいいけど、じゃそれを知った娘はって思う。(ネタバレじゃないつもりだけど)


    と言う事なのだが、父親の書いた小説と言うのが実によく出来ていて面白い、結末が知りたくてじりじりするが、最後の一行は文箱の中にある。
    これは読んでみなければ分からない、娘と店員の小説探しもあって二重に楽しめる。余り長い話ではないが真相がいい。 父と娘の少し暗い蔭のある悲しい出来事も深みがある。

  • '21年5月3日、読了。

    お見事!面白かった!

    しかし…こんな話、よくおもいつくなぁ…凄いです!

  • 結末を書かないで読者にゆだねる物語をリドルストーリーというらしい

    物語五つがそれぞれにリドルストーリーだった

    リドルストーリーを書いた者と彼の娘
    散らばっている物語を探す休学中の青年、彼が謎を探ってゆく

    物語を書いた者とその娘には劇的な人生があったが、
    青年とその家族は平々凡々な人生みたいだが、
    本当にそうだろうか?
    鬱屈している元大学生の彼には、
    若いから
    見えてないだけだろう、と思う

  • 物語を探して過去に遡って行く、不思議な物語。
    わくわくドキドキする展開はなく、迷いながらもどこか淡々と進んで行く印象。
    引き込まれた世界は、暗く鬱蒼としていて先が見えない。

    夏の終わりに読みたい一冊。

  • 米澤穂信というミステリ作家は本当に面白いことを考える人だなぁ、と思う。そして果敢にチャレンジし、きちんと形に出来るすごい人だとも思う。

    伯父の古本屋に居候する青年、菅生芳光(すごうよしみつ)のもとに、死んだ父親が書いた五篇の小説を探してほしいとの依頼が舞い込む。存在するかもわからない小説の行方を調査するうちに...

    リドルストーリーとは『結末をあえて書かず読者に委ねるかたちで謎を提示する物語』という解釈で良いのだろうか。
    物語の中で探す目的となる小説の五篇全てが、その『リドルストーリー』となっているが、その『小説内小説』の出来がすばらしく、一つの読み物として楽しめる。また、結末のない物語という趣向が『追想五断章』という小説自体の仕掛けにもつながっていて、謎が解明されていく後半は唸らされた。

    ミステリの仕掛けの糸と物語の糸が有機的に絡み合い、また解きほぐされていく様はいつもながらに見事。
    全編を通しての胸の中を風が吹き抜けるような寂しさ、哀しさ、苦さは好みの分かれるところだろうが、僕は好きだ。

  • ミステリ普段読まないし、いきなり耳慣れない「リドルストーリー」とはちゃんと追えるのだろうか?
    と思ったけれど、物語を追うことは小説みたく進められました。

    結局、登場人物の誰ひとりとして小説的な分かりやすいエンドを迎えなかったのが少しモヤモヤが残るような…。笙子が調査から外れたこと、芳光が自己を省みるところなど、なにかの伏線かなと考えたが特にそうでもないようで。でも終わり方を見るに、この物語も読者に想像を委ねる感じなのかなと思った。

  • これは凄い。
    プロットが精緻で、読み終えてびっくり。
    真相は序章に匂わせてあったけど、終盤に可南子が独白するまで辿り着けずでした。
    リドル・ストーリー本文と、「真相」を示す最終行の関係にズレがあるんだろうなあ、という点は、何となく察したけど。

    解説にもある通り、『アントワープの銃声』の雰囲気は、『ロス疑惑(疑惑の銃弾)』とそっくりで、もしもこんな真実が隠されていたとしたら、と思うと、ドキリとする。

  • 自分にとっては毎日寝る前に読んで丁度良い作品でした。
    のめり込みすぎず、程よく先の気になる展開、
    文学的なミステリー
    作品中に出てくる 結末のないストーリーって
    読んだ人が考える結末
    はっきり書いて欲しい気持ちもあるけど、

    わからない方がよりリアルで、味わい深いかなと
    思えるようになった。

    あとがきで「ロス疑惑」が出てきてなるほどなと思いました。あれも真実は永遠に氷ついていますね。

  • なんだかめっちゃ暗いお話だったなぁ。
    ストーリーは捻りが効いていて良かった。別に作ったたった一行の結末を入れ替えると違った解釈が出来るなんて展開がこのミステリの真相だなんて斬新でワクワクした。んだけど、この父親がねぇー、……娘を守る為にダンマリ決め込んだ割には匂わせ小説なんか書いちゃって…気持ち悪いわ。笑。
    私が娘なら傷付くわぁー。

    いろんな関係性を持った人達が出てくるけど、どの関係にもあんまり愛情が感じられなかったなぁ。

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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