オール・マイ・ラビング 東京バンドワゴン

  • 集英社 (2012年4月20日発売)
4.15
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本 ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784087468250

作品紹介・あらすじ

笑いと涙の下町ラブ&ピース小説、第5弾!
ページが増える百物語の和とじ本、置き去りにされた猫の本…。下町の老舗古書店“東京バンドワゴン"に舞い込む古本と謎を、ワケあり大家族・堀田家が解決! 大人気シリーズ第5弾。(解説/狩野大樹)

感想・レビュー・書評

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  • 世の中の移り変わりも目まぐるしく、つまらないことで心を悩ませ、美しいものを見逃してしまうのはもったいない…。ほんとうにそう思います。
    サチさんの語りに毎回心が和みます。
    カフェと古本屋。本とコーヒーの絶妙な組み合わせも、本好きにはたまらなく嬉しくて、切り離せないものですよね。
    ふと気がつくと、物語のあちらこちらで恋の花が咲いていて、我南人の「LOVEだねぇ」の一言を聞くと、思わず顔がほころんでしまいます。

    前作の、番外編「マイ・ブルー・ヘブン」から繋がる話もあり、家族や本の知識のことなどはもちろん、その他にも話題は盛りだくさんでいろんなことを教えてくれるし、読みどころ満載で毎回圧倒されてしまいます。

    大家族で行われるクリスマス、雛祭りに続いて、物語の締めくくりは、紺の息子研人の小学校の卒業式でした。
    卒業式って、ほんといいものです。人生の節目というか、我が子のことを思い出してうるっときてしまいます。
    本のタイトルにもなっている「オール・マイ・ラビング」も聴けて大満足でした。

    老いも若きも家族みんなが少しずつ年を取っていくけれど、サチさんにはまだまだこの先の堀田家を見守っていてほしいです。

  • 『東京バンドワゴン』の第5弾。
    前作が番外編だったので、久しぶりに本編のみんなに会えるのを嬉しく読んだ。

    夏。
    亜美の弟・修平が道ならぬ恋!?
    これには亜美も心配、堀田家のみんなも放ってはおけないよね。

    そして今回の同時進行は。
    それはちょっぴり怖~い百物語を巡るお話。
    九十九話しかないはずの和綴じの怪談本を順繰りに読んでいくと、何故か無いはずの百話目が現れた…!?
    しかもその物語には自分と恋人の名前が書かれていて。。。
    これってどういう事!?

    秋。
    ある朝、東京バンドワゴンの店先に見知らぬ段ボール箱が置き去りにされていた。
    中身は『三毛猫ホームズの冒険』、『吾輩は猫である』、『What's Michael ?』・・・などなど八冊。
    捨て猫ならぬ、捨て猫本。
    誰が何のために???

    同時進行するのは不審な新聞記者と役人。
    この辺りの下町の歴史について聞いて回っているという。
    それなら一番の老舗古本屋である東京バンドワゴンを訪れればよいのに、何故かなかなかやって来ない。
    う~ん…何を調べてるんだろ…。

    心に残った文章。
    「人が生きていれば、たくさんの人と関わります。その中で背負っていくものも増えてきます。……(略)……その重さに耐え切れなくて、軋みを立てることだってあるでしょう。
    でも、背負っていくものを、その身体でまっすぐにきちんと受け止めていれば、それを周りから支えてくれるものだって、たくさん増えていくんです。
    人生とはそういうものだと思いますよ。」


    続く冬の章、春の章も、いつも通り温かく人情で事件を解決してゆく。

    『東京バンドワゴン』は既に沢山の続編が出ているので、今はのんびり追いかけているところ。
    各章で毎回紹介される朝御飯のメニューはいつも美味しそう。
    これはとある朝のメニュー。
    レンコンのきんぴら、ニラ入り玉子焼き、鶏ささみとレタスと玉葱のサラダ、納豆汁、鮭とキャベツの炒め物、焼海苔、胡麻豆腐。
    ね?
    いいでしょう?

    古本屋側のガラス戸にさがっている土鈴もお気に入り。
    からんころんと音が鳴れば、「よぉ、いらっしゃい」と勘一の声が響く。
    こんな古本屋&カフェがある下町、住んでみたいなぁ。
    いつまでも東京バンドワゴンのみんなと年を重ねていきたい。
    今、一番お気に入りのシリーズ本だ。


  • 「偉大なるマンネリ」。これぞ醍醐味。いつもながら温かい堀田家。下町の老舗古書店・東京バンドワゴン、勘一を中心に起こるドタバタ劇。今回のミステリーとしては、「百物語の謎」、置き犬・置き猫ではなく「置き本」の謎。堀田家の蔵にまつわる重要文書。堀田家が解決する。この推理力はポアロ級。すべての話しに「LOVE」がある。ポカポカした陽の当たる陽だまりのような堀田家、こういう場所は絶滅しつつある。堀田家に助けられた人達がこの陽だまりを守っていく構図も嬉しい。我南人の喉の調子が気になるがLOVEがあれば大丈夫だねぇ~⑤

  • ☆4

    シリーズ第5弾

    「東京バンドワゴンシリーズ」を読んでいる間は、自分も堀田家の一員になったような気持ちでいつも読ませてもらっております❁⃘*.゚
    本作は、花陽や研人の成長を感じられた1冊でした。これから2人がどんな風に成長していくのかとても楽しみです!
    我南人の言葉も、とても心に響きました。

    • やんばるさん
      のんさん、こんばんは。
      この巻でも、勘一さんの格好よい場面がありとても気いっております。
      木島さんが味方となってくれるシーンも感涙いたしまし...
      のんさん、こんばんは。
      この巻でも、勘一さんの格好よい場面がありとても気いっております。
      木島さんが味方となってくれるシーンも感涙いたしました。ホントに人との繋がり、感謝を感じる物語であると思います。
      2022/12/30
    • のんさん
      やんばるさん、こんばんは。
      私も木島さんのシーンでは、思わずうるっと感動してしまいました…!
      これからも大切に読ませて頂きたい作品です❁⃘*...
      やんばるさん、こんばんは。
      私も木島さんのシーンでは、思わずうるっと感動してしまいました…!
      これからも大切に読ませて頂きたい作品です❁⃘*.゚
      2022/12/30
  • シリーズ5作目。4作目は前時代の振り返りだったけど、これは3作目までの続き。
    花陽や研人が世界が広がってきているのが分かって、成長を見守っているような気持ち。我南人の次作以降も気になるし、研人の将来もなかなか気になる。

    「日々の暮らしや仕事をきちんと続けられる意思こそがこの世でいちばん強いもの」
    「人が生きていけば、たくさんの人と関わり背負っていくものが増える。でもそれをまっすぐきちんと受け止めていれば、それを支えてくれるものだってたくさん増えていく」

  • 四季を通して繰り広げられる様々なお話。
    ほのぼの どきどき そしてLOVE!
    いいお話ばかりです。
    堀田家の家訓 文化文明に関する些事諸問題・・・万事解決 にのっとってちゃんと収まっていく。ドキドキするけど安心して読めます。研人くんのこれからの成長を楽しみに見守りたいな。

  • ほっこり穏やかな日常。でもないか。
    ただ、忍び寄る影は常にあるけれど、周りの人にも助けられ、収まるべきところの収まる、いつもの安心感があります。

    登場人物はやはり多くて、東京バンドワゴンのメンバーはわかるけれど、亜美さんの弟とか、藤島さんのお姉さんとか…存在は朧気ながら覚えていても、どんなエピソードだったっけ…と、続けて読まないとすぐに忘れてしまう。
    そして、子どもたちの成長のはやさに目を見張るばかり。
    特にかんなちゃんや鈴花ちゃんは我が子と比べて、もうその頃に言葉を話すの?!など、今の自分ならではの楽しみ方もあっていい。
    それにしても研人もいつの間にやら随分大人びてしまって…と、気分はすっかり親戚のおばさん。

    年月が経てば、体調面でも変化はでてきますよね。
    元気な勘一とて不死身なわけではないけれど、いつかのその日がもっとずっと先だといいな。

    これだけの大人数、繰り返し人手があっていい、ということも書かれているけれど、ほんとに炊事などは大変だよなぁと読むにつけ思ってしまう。
    うちは核家族だけれど、こんな風に本の中で賑やか暮らしに触れると楽しさもあって気持ちが元気になる気がします。

  • 今回も良かった!
    特に最終章「オールマイラビング」
    1巻から読んでいると、子どもたち大きくなったなぁと成長する姿が嬉しくなる。
    登場人物が増えすぎて 誰だったっけーと思いながら相関図を見たりするのもまた楽しい。

  • 東京の老舗古書店『東京バンドワゴン』を中心に繰り広げられる、シリーズ第5弾。

    1冊のなかで夏から春へと四季が一巡する4つの章からなっていて、堀田家とその周りを巻き込んで今回もいくつもの事件や出来事が起こる。家訓<文化文明に関する些事諸問題なら、如何なる事でも万事解決>とあるように円満な解決へと向かって・・・。

    今回の見どころは・・・。
    『夏』の章では、きらめくようなイケメンの青が亜美さんの弟・修平くんに一芝居打つシーン。
    『秋』には花陽の友人、双子の神林兄弟(これまた、イケメン予備軍!)のしゃれたいたずら。
    藤島さんの友を思う気持ちとかすかな憂い。
    雑誌記者・木島さんの東京バンドワゴン、滋味あふれる堀田家に対する思い。
    『冬』には知にあふれ学問を真摯に追及する紺だからこそ、自分の到達できない高みを目指すことができる大学の恩師に対する敬愛の情。
    そして、なんといっても我南人さんのLOVE!LOVE!LOVE!
    『春』は小学校を卒業する研人くんのクラスメートと我南人さんに対するLOVE。

    どの場面も読み手の琴線に触れる数々の言葉で、味わい深いものになっている。どれも印象深く、じんわりと熱く、涙腺がゆるむけれど、何といっても紺と我南人さん、そして研人くん!

    紺の穏やかで、温かく、思慮深い面だけでなく、学問に対する熱い思いが読み手を惹き付ける。
    この人がいてくれるから、ストーリーが締まるとというか、厚みを増していると思う。

    そして、今まではあえて主人公をあげるなら、勘一さんなのかなと思っていたけれど、我南人さんの存在感が大いに増しました!
    「前向きのぉ、前のめりの失敗はぁ、絶対に後悔なんか連れて来ないんだねぇ。生きてるうちにできることをやってみなきゃあ、それが良かったかも悪かったかもわからないんだよぉ。」(P278)

    で、今回、私のイチオシは研人くん!
    今までは年上の花陽ちゃんに押され、おっとりしたよい子の印象が強かった。時折ドキッとする男前な態度を見せてくれることがあり、将来有望だなあとは思ってました。
    しかーし、
    今回、その聡いところと度胸のあるところ、そして、背筋の伸びた頼りがいのあるところ全開で、きゅーんとなるのは間違いありません!!
    う~ん、いい男が多すぎて目移りします。

    もちろん、日常を支える女性たちの存在も忘れてはいけません。彼女たちのやりとり、食卓や家の周り、犬や猫などへ丁寧な描写があってこそ、バンドワゴンワールドにどっぷり浸れるのですから。
    かんなちゃんと鈴花ちゃんという新たなアイドルも登場し、楽しみは増す一方!

    藤島さんの恋の行方(しばらくシングルでいてください!)、子ども達の成長、次々巻き起こる出来事などなど・・・。
    巻を重ね、ますます楽しいシリーズに目が離せません!

  • シリーズものは、よほどしっかりした骨組みとストーリーのアイデアがないと、マンネリになってくるけど、このシリーズは飽きさせない。一つ一つの物語がとても味わい深い。本当に懐かしい昭和のドラマだ。

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著者プロフィール

一九六一年旭川市生まれ。札幌の広告制作会社に14年勤務。退社後執筆活動へ。
二〇〇三年『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』(講談社)でデビュー。著書に『HEARTBEAT』(東京創元社)、『東京公園』(新潮社)、『東京バンドワゴン』シリーズ(集英社)など。ほかに『うたうひと』(祥伝社)、『空へ向かう花』(講談社)、『brother sun 早坂家のこと』(徳間書店)などがある。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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