オール・マイ・ラビング 東京バンドワゴン (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
4.15
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  • (3)
  • (3)
本棚登録 : 2028
感想 : 164
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468250

作品紹介・あらすじ

東京バンドワゴンシリーズ、第5弾!
ページが増える百物語の和とじ本、店の前に置き去りにされた捨て猫ならぬ猫の本…大家族が営む下町の古本屋に持ち込まれた謎が、家訓に従い解決される。おせっかいで温かい、堀田家の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 世の中の移り変わりも目まぐるしく、つまらないことで心を悩ませ、美しいものを見逃してしまうのはもったいない…。ほんとうにそう思います。
    サチさんの語りに毎回心が和みます。
    カフェと古本屋。本とコーヒーの絶妙な組み合わせも、本好きにはたまらなく嬉しくて、切り離せないものですよね。
    ふと気がつくと、物語のあちらこちらで恋の花が咲いていて、我南人の「LOVEだねぇ」の一言を聞くと、思わず顔がほころんでしまいます。

    前作の、番外編「マイ・ブルー・ヘブン」から繋がる話もあり、家族や本の知識のことなどはもちろん、その他にも話題は盛りだくさんでいろんなことを教えてくれるし、読みどころ満載で毎回圧倒されてしまいます。

    大家族で行われるクリスマス、雛祭りに続いて、物語の締めくくりは、紺の息子研人の小学校の卒業式でした。
    卒業式って、ほんといいものです。人生の節目というか、我が子のことを思い出してうるっときてしまいます。
    本のタイトルにもなっている「オール・マイ・ラビング」も聴けて大満足でした。

    老いも若きも家族みんなが少しずつ年を取っていくけれど、サチさんにはまだまだこの先の堀田家を見守っていてほしいです。

  • 「偉大なるマンネリ」。これぞ醍醐味。いつもながら温かい堀田家。下町の老舗古書店・東京バンドワゴン、勘一を中心に起こるドタバタ劇。今回のミステリーとしては、「百物語の謎」、置き犬・置き猫ではなく「置き本」の謎。堀田家の蔵にまつわる重要文書。堀田家が解決する。この推理力はポアロ級。すべての話しに「LOVE」がある。ポカポカした陽の当たる陽だまりのような堀田家、こういう場所は絶滅しつつある。堀田家に助けられた人達がこの陽だまりを守っていく構図も嬉しい。我南人の喉の調子が気になるがLOVEがあれば大丈夫だねぇ~⑤

  • ☆4

    シリーズ第5弾

    「東京バンドワゴンシリーズ」を読んでいる間は、自分も堀田家の一員になったような気持ちでいつも読ませてもらっております❁⃘*.゚
    本作は、花陽や研人の成長を感じられた1冊でした。これから2人がどんな風に成長していくのかとても楽しみです!
    我南人の言葉も、とても心に響きました。

    • やんばるさん
      のんさん、こんばんは。
      この巻でも、勘一さんの格好よい場面がありとても気いっております。
      木島さんが味方となってくれるシーンも感涙いたしまし...
      のんさん、こんばんは。
      この巻でも、勘一さんの格好よい場面がありとても気いっております。
      木島さんが味方となってくれるシーンも感涙いたしました。ホントに人との繋がり、感謝を感じる物語であると思います。
      2022/12/30
    • のんさん
      やんばるさん、こんばんは。
      私も木島さんのシーンでは、思わずうるっと感動してしまいました…!
      これからも大切に読ませて頂きたい作品です❁⃘*...
      やんばるさん、こんばんは。
      私も木島さんのシーンでは、思わずうるっと感動してしまいました…!
      これからも大切に読ませて頂きたい作品です❁⃘*.゚
      2022/12/30
  • シリーズ5作目。4作目は前時代の振り返りだったけど、これは3作目までの続き。
    花陽や研人が世界が広がってきているのが分かって、成長を見守っているような気持ち。我南人の次作以降も気になるし、研人の将来もなかなか気になる。

    「日々の暮らしや仕事をきちんと続けられる意思こそがこの世でいちばん強いもの」
    「人が生きていけば、たくさんの人と関わり背負っていくものが増える。でもそれをまっすぐきちんと受け止めていれば、それを支えてくれるものだってたくさん増えていく」

  • ほっこり穏やかな日常。でもないか。
    ただ、忍び寄る影は常にあるけれど、周りの人にも助けられ、収まるべきところの収まる、いつもの安心感があります。

    登場人物はやはり多くて、東京バンドワゴンのメンバーはわかるけれど、亜美さんの弟とか、藤島さんのお姉さんとか…存在は朧気ながら覚えていても、どんなエピソードだったっけ…と、続けて読まないとすぐに忘れてしまう。
    そして、子どもたちの成長のはやさに目を見張るばかり。
    特にかんなちゃんや鈴花ちゃんは我が子と比べて、もうその頃に言葉を話すの?!など、今の自分ならではの楽しみ方もあっていい。
    それにしても研人もいつの間にやら随分大人びてしまって…と、気分はすっかり親戚のおばさん。

    年月が経てば、体調面でも変化はでてきますよね。
    元気な勘一とて不死身なわけではないけれど、いつかのその日がもっとずっと先だといいな。

    これだけの大人数、繰り返し人手があっていい、ということも書かれているけれど、ほんとに炊事などは大変だよなぁと読むにつけ思ってしまう。
    うちは核家族だけれど、こんな風に本の中で賑やか暮らしに触れると楽しさもあって気持ちが元気になる気がします。

  • 四季を通して繰り広げられる様々なお話。
    ほのぼの どきどき そしてLOVE!
    いいお話ばかりです。
    堀田家の家訓 文化文明に関する些事諸問題・・・万事解決 にのっとってちゃんと収まっていく。ドキドキするけど安心して読めます。研人くんのこれからの成長を楽しみに見守りたいな。

  • 今回も良かった!
    特に最終章「オールマイラビング」
    1巻から読んでいると、子どもたち大きくなったなぁと成長する姿が嬉しくなる。
    登場人物が増えすぎて 誰だったっけーと思いながら相関図を見たりするのもまた楽しい。

  • 東京の老舗古書店『東京バンドワゴン』を中心に繰り広げられる、シリーズ第5弾。

    1冊のなかで夏から春へと四季が一巡する4つの章からなっていて、堀田家とその周りを巻き込んで今回もいくつもの事件や出来事が起こる。家訓<文化文明に関する些事諸問題なら、如何なる事でも万事解決>とあるように円満な解決へと向かって・・・。

    今回の見どころは・・・。
    『夏』の章では、きらめくようなイケメンの青が亜美さんの弟・修平くんに一芝居打つシーン。
    『秋』には花陽の友人、双子の神林兄弟(これまた、イケメン予備軍!)のしゃれたいたずら。
    藤島さんの友を思う気持ちとかすかな憂い。
    雑誌記者・木島さんの東京バンドワゴン、滋味あふれる堀田家に対する思い。
    『冬』には知にあふれ学問を真摯に追及する紺だからこそ、自分の到達できない高みを目指すことができる大学の恩師に対する敬愛の情。
    そして、なんといっても我南人さんのLOVE!LOVE!LOVE!
    『春』は小学校を卒業する研人くんのクラスメートと我南人さんに対するLOVE。

    どの場面も読み手の琴線に触れる数々の言葉で、味わい深いものになっている。どれも印象深く、じんわりと熱く、涙腺がゆるむけれど、何といっても紺と我南人さん、そして研人くん!

    紺の穏やかで、温かく、思慮深い面だけでなく、学問に対する熱い思いが読み手を惹き付ける。
    この人がいてくれるから、ストーリーが締まるとというか、厚みを増していると思う。

    そして、今まではあえて主人公をあげるなら、勘一さんなのかなと思っていたけれど、我南人さんの存在感が大いに増しました!
    「前向きのぉ、前のめりの失敗はぁ、絶対に後悔なんか連れて来ないんだねぇ。生きてるうちにできることをやってみなきゃあ、それが良かったかも悪かったかもわからないんだよぉ。」(P278)

    で、今回、私のイチオシは研人くん!
    今までは年上の花陽ちゃんに押され、おっとりしたよい子の印象が強かった。時折ドキッとする男前な態度を見せてくれることがあり、将来有望だなあとは思ってました。
    しかーし、
    今回、その聡いところと度胸のあるところ、そして、背筋の伸びた頼りがいのあるところ全開で、きゅーんとなるのは間違いありません!!
    う~ん、いい男が多すぎて目移りします。

    もちろん、日常を支える女性たちの存在も忘れてはいけません。彼女たちのやりとり、食卓や家の周り、犬や猫などへ丁寧な描写があってこそ、バンドワゴンワールドにどっぷり浸れるのですから。
    かんなちゃんと鈴花ちゃんという新たなアイドルも登場し、楽しみは増す一方!

    藤島さんの恋の行方(しばらくシングルでいてください!)、子ども達の成長、次々巻き起こる出来事などなど・・・。
    巻を重ね、ますます楽しいシリーズに目が離せません!

  • シリーズものは、よほどしっかりした骨組みとストーリーのアイデアがないと、マンネリになってくるけど、このシリーズは飽きさせない。一つ一つの物語がとても味わい深い。本当に懐かしい昭和のドラマだ。

  • シリーズ第5段。
    【夏 ー あなたの笑窪は縁ふたつ】
    久しぶりの「バンドワゴン」。やっぱりイイねえ、この世界観。珍しくミステリ色濃い目な仕掛けなものの、最後はほっこりとして終えてくれるのが、ありがたい。
     浮気は、ダメよ(笑)。
    藤島社長の友情と恋の行方も、先が楽しみ。

    前々作で登場した 十郎、 ジョー、 マリアさん・・・のように、東雲文庫の親爺たちの若かりし頃のエピソードも、今後語られるのだろうな、と、それも楽しみ。

    【秋 ー さよなら三角また合う日まで】
    双子くんの恋が、可愛いくて微笑ましくて、懐かしい。
    蔵の蔵書の秘密…、前々作あたりからこういう“きな臭い”話が盛り込まれるようになってきたが、そこもまた面白し。
    いや、そのテイストが、シリーズをさらに面白くしてきている気もする。

    【冬 - 背で泣いてる師走かな】
    若き経営者の友情と恋、イイね。
    今回は、紺くんと恩師とのあれこれに心揺さぶられた一遍。百々先生が桐箱を開けて出てきたのが源氏物語の直筆清書本・・・・とのくだりで、不覚にも落涙。(通勤電車の中で)

    【オール・マイ・ラビング】
    さすが。表題作が一番面白かった♪
    研人の成長っぷりが素敵すぎる一編。
    若社長の願いは友人に届き、小さき恋人(未満)の真摯な想いにほっこりし、老いた英雄の輝きに目を細める…そんな幸せな読書時間が詰め込まれていた。


    ・・・総括・・・
    やっぱりイイね、「東京バンドワゴン」。いま現在、一番好きなシリーズものだな。
    堀田家の面々が自然に歳を重ねていくのもいい感じだし、なによりひ孫たちの成長著しい様を見ていられるのも、このシリーズの魅力のひとつかと。

    ★5つ、10ポイント。
    2018.11.14.新。

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著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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