おいしいコーヒーのいれ方 Second Season 5 雲の果て (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1114
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468410

作品紹介・あらすじ

すべての現実から顔をそむけ、自分を責め続けて膝を抱えているのは、ある意味いちばん楽なことだ。でも、人は、生きている限り永遠に立ち止まっているわけにはいかない-。勝利が逃げるようにオーストラリアに来て、半年がたった。秀人の仕事の手伝いにも生活にも慣れてきたが、かれんから送られてくる手紙を読むことは、まだできないでいた。そんな勝利のもとに、かれんの弟、丈からの手紙が届く。

感想・レビュー・書評

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  • セカンドシーズン5作目、シリーズ15作目。
    冒頭からいきなりオーストラリアに場面が変わっていて驚いたけど、「やはり…」というのが正直なところ。勝利、つらいな。踏ん張りどころだけど、現在の彼の周りにいる人のことが読んでみて分かると少し安心した。
    ウルルやアボリジニのことを調べてみたくなった。

  • おいコーはずっとシリーズで読んでいます。今回突然オーストラリアが舞台となって、途中の巻を飛ばしてしまったのかなと思いましたがどうやらそうではないようです。今までの登場人物と舞台背景では行き詰まりのようなものを感じていたので、今回のこの変化は良かったと思います。かれんと勝利の関係も少しマンネリを感じていました。
     オーストラリアでも勝利の料理の腕前はみんなの関心の的で、ちょっとうらやましいです。
     考えたことがありませんでしたが、そういえばオーストラリアではクリスマスは真夏なのですよね・・^^とても読みやすくてこの作家の本は好きです。

  • JOEの手紙で涙。
    読んでいると、私の頭の中でみんなが動く。
    そして生きてる。
    景色が浮かび、
    まるで自分も物語の一員みたいに感じる
    この文章の力、すごいな。

    苦しいんだけど、
    どこかしこにあったかさがある。

  • たとえ事故だったとしても取り返しのつかない罪を犯してしまった時どうしたら良いのだろう。
    勝利が居場所を失って逃げ出したわけだけど新たな場所でも自分自身から逃げる事はできず、苦しむ姿がリアルに描かれていた。
    アボリジニの問題についてもストーリーに組み込まれていてこちらも興味深く面白かった。

  • Second season5巻。

    4巻の終わりを受けて、どんな形で始まるのかと思いきや、まさかのオーストラリアで開幕。あの出来事から半年後のオーストラリアからです。
    秀人さんの元で、アボリジニ研究所のバイトとして過ごす日々。半年後でも、あの出来事の後悔は癒えてはいない様子。あの直後、どんな状況だったのかは語られていないので想像するしかないのですが、見るに耐えないものだったのだろうと思います。
    その勝利を見たくないから、5巻を読むのが怖い、と思ったので半年後から物語が始まったのは一安心か。
    ただ、それは物事と向き合わずに目を逸らしていることでもあるので、一時的な緊急回避ではあります。

    南半球のオーストラリア。日本とは文化も生活リズムも違う場所で、精神を通常運転ができるくらいまでは戻すことが今は優先することなのでしょう。そうでないと向き合うことすらできない。星野りつこが弱ってどうにもならなかった時に、原田先輩と勝利が支えてあげたように、あの事件に向き合うための精神を取り戻すために。
    でないと、贖罪はできない。たとえ、マスターと由里子さんが許してくれたとしても、自分で自身を許せずに、堕ち続けるだけになってしまいそうです。

    そのキーパーソンになりそうなのが、アレックスか。
    今まで出会ってきた人とは、全く違うキャラクターの彼女。劇薬のような気もするけど、予想外のアプローチで支えになってくれそうです。
    今のところ、第一印象も間合いの詰めかたも最悪ですが。

    丈の手紙が不器用だけど、真剣に勝利を案じてくれているのが伝わってきて優しい。弟分で悪友だったりするけども、親友と呼べる存在は勝利にとって、丈のことなんだなぁ。マスターや原田先輩、秀人さんと年上の存在ばかりが、勝利の支えであり憧れだったりするのだけど、丈もそういう存在でありました。

  • 舞台はオーストラリアへ。「これ、おいコーじゃないのかな?」、読み出してしばらく頭に浮かんでいた疑問符。なるほど、そういうつながりですか。物語としての幅を一気に広げる、2ndシーズン第5弾!

  • 読む順番を間違えて『彼方の声』を先に読んでしまった

  • 自分のしてしまったことでみんなが辛い思いをしているのに、自分に優しくされるとすごく辛くなる。
    勝利は自分の味方になってくれる人と
    辛い思いをしている人みんなが近すぎて
    より辛くなっているように思える。
    それでも勝利にとっての丈のように
    全面的に肯定してくれる存在に救われる。
    これは自己肯定感を高めるためにも必要で、
    自分が許される存在だと実感できたら
    人のことも許せるような気がする。

  • ラストで

  • すべての現実から顔をそむけ、自分を責め続けて膝を抱えているのは、ある意味いちばん楽なことだ。でも、人は、生きている限り永遠に立ち止まっているわけにはいかない―。勝利が逃げるようにオーストラリアに来て、半年がたった。秀人の仕事の手伝いにも生活にも慣れてきたが、かれんから送られてくる手紙を読むことは、まだできないでいた。そんな勝利のもとに、かれんの弟、丈からの手紙が届く。

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著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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