アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087468601

作品紹介・あらすじ

アメリカの10代のステロイド使用者数、30万人! プロスポーツ選手になれる人は、たった2400人しかいないのに。なぜアメリカ人は副作用を知りつつ、ステロイドで筋骨隆々の体になろうとするのか…。その他、娘をチアリーダーにしたくてライバルを殺そうとした母親。マラソン10回分(421.95km)を75時間で走るエリート・ビジネスマン。1枚の野球カードに3億円払う人々、などなど。
「アメリカンスポーツ=富と名誉、夢と希望、強くてカッコいい」の思い込みをぶっ壊すエピソードの数々。「アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない」の著者が暴くスポーツバカ大国・アメリカの真実。

感想・レビュー・書評

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  • ハルク・ホーガン、ミッキー・ロークなど、アメリカのスポーツ界、映画界の第一線で活躍するスターの背後には、数え切れないほどの落伍者と根拠のない筋肉信奉主義がひそんでいた。
    彼らを駆り立てるものは何なのか。
    ときには命の危険も顧みずにアメリカンドリームに向かって突き進む、おバカで愛すべき人々の人間模様と、そこから見えてくるアメリカの実態を描いたエッセイ集。
    スポーツ奨学金や高額の年俸を目当てに子供をスポーツやチアリーディングのトレーニング漬けにして友達も作れず教養も常識もない人間に育てているバカ親、スポーツ界を蝕むステロイドなどの弊害、大リーグのホセ・カンセコと妻の泥仕合、ウルトラマラソンに挑戦する男たち、フランス発祥のパルクール、いい波を求めてさまようサーフィン一家、伝説的スタントライダー・イーブル・クニーブルの暴走人生、クライマーを熱狂させるハイライニング、スタローンのボクシング番組で起こった悲劇、ハルク・ホーガンの崩壊家庭、華やかなプロスポーツを陰で支える健気なファンの実態、ミッキー・ロークの再起、などが盛りだくさんに書いてあるので、アメリカスポーツ界の面白い裏話が読み応えがあります。

  • アメリカンスポーツエッセイ。
    日の当たるスターダムがある一方で、その影には敗れ去った無数の人々がいる。そのような人たちの話から、アメリカならではの無謀な挑戦やおバカな行動、人種問題などアメリカンスポーツに関わる様々なことが散り散りに書かれています。
    色んな意味でアメリカの広さが実感できます。

    著者が映画評論家なので、スポーツ映画の紹介にもなっていて一石二鳥だと思いますw
    色んな小話をちょろっと読みたいっていう人には最適だと思います。

  • 2020/5/11購入
    2020/8/6読了

  • 読んでいる時は、面白いのだが、情報量が多いせいで、どうも内容の大部分を忘れてしまう。
    馴染みのない人物が多く登場するのも、一つの要因かもしれない。
    ハルクホーガンの転落していく人生と、ミッキーロークの波乱の人生が、名前も知っているので、印象的だ。
    ホーガンは、確か「グレムリン2」に出ていたが、ビデオで借りて見た時には、カットされていたが、その頃にはもう転落していたのだろうか。
    「ナインハーフ」「イヤーオブザドラゴン」「エンゼルハート」そして、「ランブルフィッシュ」、「バーフライ」というブコウスキーを演じた映画もあった。
    「レスラー」という映画でカムバックしたのは知っていたが、まさかそんな波乱があったとは。
    「宇宙人ポール」という映画を見てみたい。

  • アメリカのスポーツ界隈を中心としたコラムをまとめた本。それぞれ1話完結式なので、全体を通して何かのテーマを掘り下げていく、というタイプではない。

    何も持たない者がアメリカン・ドリームを目指す場合、スポーツは選択肢の一つとなる。しかし、成功確率はとても低く、成功してからも破滅が待っていることが多々ある。勉強しておくこと大事。

  • とどまることを知らない「進撃の巨人」がこの夏、たどり着いた謎の実写映画版の脚本家にして、アメリカ在住の映画評論家である町山智浩さんのアメリカンスポーツについてのコラム集。表紙のステロイドムキムキ男のイラストがまさに「進撃の巨人」を連想させ、ついつい手にしてしまいました。取り上げられているエピソードのどれもが、あまりに過剰であまりに愚かしくあまりに動物的であまりに純粋で、そのバカバカしい肉体信仰こそがアメリカをアメリカ足らしめているように感じました。「しょうがないなぁ〜」と苦笑気味に語る筆致には実は著者のクレイジーを愛する気持ちが溢れていて、インターネットで日本では知られていないおバカ映画を語る彼の声が聞こえてくるようでした。そして、批難轟々の映画「進撃の巨人」は日本の誇るコンテンツを「進撃の巨人アメリカン」にしちゃったのでみんな受け付けることが出来なかったのではないか?と思い至りました。違うかも知れないけど…

  • 絶対読ませる。アリとミッキーロークのトコはヤバイ。
    皮肉ばっかじゃなくネタ元に愛があんだよなー

  • スポーツ業界を通したアメリカ文化コラム。「アメリカとは○○であるから~」みたいな決めつけ論調にこういう「いや、そうではないものもあるよ」と例外を示してくれるものは、視野が広がって楽しい。善悪を断じることもなく。

  • アメリカンドリームを夢見た男たちの挫折と転落の人生。でも、なんとなく滑稽で憎めない、アメリカという国家と国民の実態を描いたエッセイ集。
    ある教授の講演で、アメリカ人は日本人以上に組織に縛られていると聞いたことがある。自由の国アメリカなのになんで?って思ったが、教授曰く、映画でもホームパーティーのシーンがたくさんあるでしょ。あれこそが縛りの象徴的なイベントです。休みの日に夫婦揃って、子供も連れて、日本のサラリーマンが会社の上司同僚とパーティーしますか。日本では勤めている本人だけが、平日の飲み会と休日ゴルフをするぐらいです。
    なるほどって思った。このエッセイ集にも、知られざるアメリカの実態がたくさん暴かれます。

  • 今回は、ちょっと重い目の話が多かったような気がします。

    でも、よく考えれば、いつだってこの人の話って、なんか、笑い話みたいな嘘みたいな本当に話の中に、ものすごい怒りとか、悲しみとかが入っています。
    そこが、すごいと感じるところです。

    ロックだ。そして、この人の生き方自体もロックの様です。

    多分、アメリカでなくても、ぼくたちの周りにも、こんな悲劇と喜劇がチャンポンされたようなお話は、あふれているんだと思います。

    でも、それを見つめる目がないと、それはけっして見つからない。

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著者プロフィール

1962年生まれ。映画評論家。1995年に雑誌『映画秘宝』を創刊した後、渡米。現在はカリフォルニア州バークレーに在住。近著に『トランピストはマスクをしない コロナとデモでカオスのアメリカ現地報告』(文藝春秋)、『映画には「動機」がある「最前線の映画」を読む Vol.2』(集英社インターナショナル)、『最も危険なアメリカ映画』(集英社文庫)、『町山智浩のシネマトーク 怖い映画』『町山智浩の「アメリカ流れ者」』(スモール出版)などがある。

「2021年 『町山智浩のシネマトーク 恋する映画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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