- Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087468700
作品紹介・あらすじ
紀伊半島は熊野川の河口に位置する街、森宮。医者の槙隆光は貧しい者から治療費を取らないことから親しみを込めて"毒取ル先生"と呼ばれていた。ときは1903年、豊かな自然のなかで暮らす槙たちの周りには鉄道敷設や遊郭設置などの問題が起こり、一方で日露戦争開戦の足音がすぐそこに迫っていた-。歴史上の人物に材を取り、当時の情勢と熊野の人々を瑞々しく描いた第51回毎日芸術賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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2018.03―読了
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舞台は1903年、紀州の新宮(本書では”森宮”と表記)の地においてアメリカ・インドで研究を積んで地元に貢献する医師として活躍しつつ、そのリベラルな政治姿勢から影響力を発揮する槙隆光という人物を主人公に、日露戦争開戦や鉄道の敷設など、様々な歴史の中で活きる人々の姿を描く長編小説。
主人公のモデルは、幸徳秋水らと共に処刑された大石誠之助という実在の人物である。実際、幸徳秋水自身も、新宮で講演に招聘されるというエピソードが本書では綴られ、幸徳秋水をマークする地元警察との緊張感溢れるやり取りなどは強く印象に残る。
総じて、新宮という決して日本の政治・文化的な中心から距離のある街において、日本が帝国主義へ強く傾いていく日露戦争の時期の世相を追体験できるかのような面白さに満ち溢れており、辻原登の優れたストーリーテリングの才能もあり、全く上下巻、飽きさせない流れを楽しめる。
個人的には、主人公の槙がアメリカ留学中に知り合ったジャック・ロンドンと、日露戦争への従軍医師として赴任した中国の地で再開する、というエピソードもあり、驚くと同時にロンドン愛好者として非常に印象的。 -
日露戦争の史実と当時の町の人々の話と恋愛とか絶妙なバランスで描かれており、とても面白く読み進めた。特に後半はページめくりが止まらなくなった。心に残る良書でした。
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和歌山に行った気分にさせるような本。日露戦争の時の時代背景もわかる。読みやすい。
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オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
http://books-officehiguchi.com/archives/4091935.html
(1)あらすじ
舞台は和歌山県新宮市(作中では「森宮(しんぐう)」)である。この作品の主人公は槇隆光である。海外でドクター(博士号)を取得した槇は貧者から治療費を取らなかったので、「毒取る(ドクトル)先生」と慕われていた。槇のモデルは大逆事件で死刑になった大石誠之助である。
(2)感想
フェイスブックでこの本のことを知った。作中では槇など架空の人物がいる一方で、実在の人物が史実とは矛盾しないという点は、この作品の特徴としてあげられる。当時の出来事と当時の人々の様子を知る際、参考になると考えられる。
参考URL;http://book.asahi.com/author/TKY200907220268.html(2014年6月11日アクセス) -
読み始めたら止まりません.詳しくは下巻にて.
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大逆事件を題材にしており、事件自体にも興味が湧いた。他に大谷探検隊や二楽荘に関してとか初めて知る事が多かった。小説としてはTHE純小説だった。